全世界戦争(三)
出られずの階にて。
「ふぅ…やっと戻ってきたな…」
「ったく、何のために頑張ったのか…」
五人が到着していた。
「さて」
サラマンダーが言った。
「地下界王を探そう」
「てんてんてん」
心なしかやる気を失っているようなてんてんてんであった。
「どうやって探す?前来たときは何も見つけられなかったじゃねーか」
「僕の、隠し扉をさがすという平和な案を実行していれば結果は違っていたかも知れませんね」
「根に持ってるな、クラーケン」
「いえ別に」
「こらこら、喧嘩するなお前ら」
「バジリスク…」
「身内で言い合う暇があればさっさと敵を潰すぞ」
「へいへい」
「で、どうやって探すんだ?」
サンガーが仕切り直した。
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
全員が黙る。
すると、一人が手を挙げた。
「五人別れて探そう」
「それ良いな、ペガサス」
「名案だな」
普通誰でも思い付く。
という訳で。
「俺はここ、サラマンダーはあそこ、クラーケンはそっち、ペガサスは向こう、バジリスクはそれ。良いな?」
「てんてんてん」
「そろそろ使うのやめろよ」
「…行くぞ!」
読者の皆さんは、隠し扉を探すならどのような方法を使うのだろうか。
壁をコンコンと叩き、音が変わった所を突き破る?
仕掛けがありそうな時計や置物をいじくる?
正攻法(?)で敵から情報を聞き出す?
そもそも、自分ならこの階に地下界王がいることを聞いた、あの兵士から行く方法を聞いていた?
いや、正直読者の皆さんのやり方などどーでも良いのだが、一応聞いておいた。
では、彼ら五人のやり方を紹介しよう。
サラマンダー:壁をぶち壊しまくる。部屋があったらラッキー。
ドグァーン…。
「ここもただ穴が空いただけか…」
ドグァーン…。
「ここは…あれ?部屋…?」
クラーケン:四対の手をフル活用。壁を叩きまくって音の違いを聞く。
コンコンコンコンコンコンコンコンカン。
「おや…」
カンカンカンカン。
「明らかに音が違いますね…アイスキャノン!」
ダァーン…。
「部屋…!」
ペガサス:時計、置物をいじくりまくる。
「この時計も…一周したけど違うな…こいつも…違う…こいつは…?」
カラカラ…ギチ。
「おっと、何だァ?」
ガララン!
「へ、部屋が出てきた…!」
サンガー:兵士を脅して聞きまくる。
「ギガサン…」
「ひいぃい!た、確かあっちの方に…」
「もっと詳しく!」
「あっ、あの壁はスライドするんです!」
「フン、命は見逃してやろう」
ガララー。
「マジで部屋が現れた…」
バジリスク:ご自慢の弓矢を射ちまくる。
「岩石弓矢!」
ヒュン!カッ!
ヒュン!カッ!
ヒュン!カッ!
ヒュン!ガスッ!
「お、当たりが来たかな…?ギガクラック!」
ガザザザ!
「お〜当たり〜」
さて、良く考えれば解るか解らないかの瀬戸際まで来れるような問題を出そう。
五人が入った部屋は、全て同じか、全て違うか、それとも?
A.全て同じ
B.全て違う
C.同じのもあれば違うのもある
答えを教えよう。
答え:B
考えてみれば当然だ。
五人違う道に進んだのだから。
では、サラマンダーの部屋から見ていこうと思う。
サラマンダーが入った部屋には、ボタンがあった。
部屋の真ん中に、堂々と。
「押してみるか」
何も疑わずに行動する、これが覇者への第一歩だ。
将来の夢が覇者の子供達よ、何も疑うな。
ポチ。
なお、この一連のボタン事件は他四人の部屋でも起きている事が判明。
なので、以下略
五人がボタンを押すと、部屋が揺れ始めた。
「地震か!?」
違う。
部屋だけが揺れているのだ。
そして、遂に部屋が動き始めた。
五人は、何かに掴まっていないと立っていられなくなった。
「この部屋はどこに向かっているんだ…」
外の状況が解らないので、彼らは知らないが、五つの部屋はある部屋に向かっていた。
五人が見つけなかった、最後の隠し部屋へと、
ドッキングした。
一枚壁が消える。
そこから、他の部屋が全て見えた。
この状況を全て説明しよう。
まず、真ん中に正五角形の部屋がある。
その五つの辺に彼らがいた正方形の部屋がくっつき、星の様な何の様な、という訳だ。
五人は、無人の五角形の部屋越しに再会を喜んだ。
だが、それも束の間だった。
「会いたかったぞ、五人の覇者」
「ど…どこにいる!?」
「私は、真ん中の部屋に今から現れる」
五人が真ん中の部屋に目の焦点を合わせる。
床に穴が空いた。
そこから現れたのは、五人の宿敵。
地下界王。