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全世界戦争 序
全世界戦争。地上界も加わった戦争になる
「北へ200km…。もうすぐ着くかな…」
サラマンダーが呟く。
その言葉に応えるように、宮殿らしき物が現れた。
「あれか…?」
現れた宮殿は、真っ黒だった。
黒曜石でも使っているのだろうか、ガラスのような艶がある。
だが、黒曜石でない事は明らかだった。
神秘の森のように、フェニックスの家のように、宮殿自身が、いや、宮殿の壁自身が力を放出していた。
力を持たない地上界の人間なら、中に入る事は出来ないだろう。
「準備は良いか」
サンガーが聞いた。
全員が頷く。
「さぁ、入ろう」
一方、フェニックスとパックンチは二界道を出て、五人を追いかけていた。
だが、もうお姫様抱っこはしていない。
「ホントに、その姿で良いの?」
「良いンチ!こっちの方が、フェニックスにも迷惑掛からないンチ!」
虫に戻ったパックンチが答える。
「…………。」
「どうしたンチ?」
「残念だなぁ…と」
「…?」
「俺は人間の姿の方が好きだったからね」
「これから戦うというのに、無駄な体力消費はやめた方が良いンチ」
「…合理的な女の子なんだね」