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五人の覇者  作者: コウモリ
第二次極界戦争
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第二次極界戦争(六)

「私が使うのは、己の拳だ」

「マジか…」

「技は面白くない。自分が使える技は限られている。どれほど努力しようとも、生まれた時に全て決まっている」

AIH値。それは、他人に力を与えられない限り増える事はない。そして、自分が使える体系は変わらない。

「だが、体は違う。生まれた時にどのような格好であろうと、いくらでも強くなる」

「…………。」

そう言うと、地下界王はフェニックスの胸ぐらを掴んだ。

「技などという脆いものに頼っている貴様に、私に勝つ術はない」

「ぐ…放れねぇ…!」

「無駄だ。神の力を手に入れたとは言え、体はまだ脆弱な子供のまま。力で私に勝てはしない」

「くそ、テラフ…」

フェニックスの顔色が変わった。

フェニックスに、炎がぶつかる。

「フハハ、自分に技が当たったか?知っておるか、私の力を。私に攻撃しようとすると、自分に当たるのだ。何度も言う、何をしようと貴様に勝ち目はないッ!」

地下界王は、手で胸ぐらではなく、首を掴んだ。

「かはっ!」

「この勝負の判断は気絶だ。頸動脈を絞めて落としてやろう」

だが、すぐには実行しなかった。

逆に、地下界王はフェニックスの絞首を緩めた。

「終わる前に、何か聞いておきたい事はあるか?」

「ゲホッ…一つ…だけ…」

「何だ?」

「お前…本当は…地下界王じゃないだろ…?」

突然、馬鹿のフェニックスが凄い事を言い出した。

「は!?昨日あたり、お前に会っただろう?その時に私が地下界王だとは解ったはずだ。サイゴもツルギもどんぶりうなぎも、私を地下界王と呼んでいたではないか!」

「それは、本当に地下界王だったかもしれない。だが、お前の力を聞いた時に解ったよ。お前は地下界王ではないと。お前は、ツルギとタマの姉妹、カガミなんだろ?」

「ぐ…!」

カガミ。自分に当たる技を相手に跳ね返す事が出来る。

男の体から煙が出て、中から女が現れた。

「やっぱり、カガミか」

すると、カガミはフェニックスの首を放し、逃げようとしたが、

「逃がすかよ、サーカスフレア!」

逃げる事は叶わなかった。

炎が床に穴を空け、そこに落ちる。

フェニックスが上から聞いた。

「さて、いろいろ教えて貰おうか。まず、地下界王が死んだら地下界が消えるっつーのは嘘だろ?アイツ一回死んだもんなぁ。その時地下界が消えていたなら、どんぶりうなぎがツルギのおかげで生き返る訳無いもんなぁ。お前が死にたくないからついた嘘だろ?負けた時の保険として」

「…そう…」

「じゃあ、主役でない俺の所に現れた理由は?俺に勝つ自信があるっていうのも嘘だよな?本人じゃないもんな?じゃ、本物の地下界王はどこにいんの?」

「…………。」

黙秘しようとしたが、

「更にでかい穴空けてやろうか?」

「ひぃっ!宮殿です!二界道を出て、北に200km!」

「本当だな?」

「はい」

「賭けで勝ったら云々も嘘だな?」

「はい…そんな事出来ません…」

「チッ。最後に。お前のように、まだ俺達の知らない敵はいるのか?」

「…………。」

「答えろ!」

「…います。何人も。私も把握しきれていません…」

「ふーん…じゃあ、埋めよっか」

「え、待ってく…」

「サーカスフレア!」

カガミ、埋没。

「さて、宮殿に向かうか」

読者の中には、馬鹿で有名なフェニックスが何故突然あんな事を言い出したのか、解らない人も多いだろう。

フェニックスは、ポケットから虫を取り出した。

「助け舟、ありがとな」

「いやいや、パックンチの見込んだ男をこんな所で死なせる訳には行かないンチ!」パックンチ。知る人ぞ知る、脇役だ(二百年大修行 波動編【二】 フェニックス編【一】 サンガー編【一】【二】【三】参照)。

「で、パックンチ。いつから俺のポケットにいたんだ?」

「どんぶりどじょうから知らせを聞いて、フェニックス達が二界道に入る前からいたンチ!」

「マジか。あと、どんぶりうなぎとどんぶりどじょうは人間に変身できたけど、パックンチは?」

「出来るンチ。見ておくンチ」

そして、フェニックスの目の前に現れたのは、美少女だった。

「どう?これがあたしの人間の姿よ」

「あ…」すっかり見とれていた。

死人には申し訳ないが、フェニックスは、リーナや李伊奈よりも可愛いと思えた。

「どうしたの、ずっと黙ってるけど」

「…女だったんだ…それと、語尾無くなってるし…」

「フフフ」

彼女が笑うと、フェニックスは顔を赤くした。

「五人を探し、宮殿に行きましょう」

「あ…ああ、そうだな…。飛べるのか?」

「ううん、飛べない。サンガーにしてた様に、持ってってくれる?」

「おぉ…解った…」

フェニックスは、数分どこら辺を持つべきか戸惑っていたが、結局お姫様抱っこにした。

フェニックスがキザな訳ではない。

この方法が、最もわいせつと言われにくい(はず)。

「早く二界道を出ましょう」

「そうだな…五人も探さないと…」






二人は二界道を出ると、五人も既に宮殿に向かった事を知った。

「急いで追い付かなきゃ」

「そうだな…」

「大丈夫?顔が赤いよ?風邪引いたの?」

そんな悠長な事を言えるほどの状況ではない。

戦争中である。


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