第二次極界戦争(一)
再び二界道にて。
「課題は二界道ですね」
「どうやって抜ける?」
「まずは、強行突破かどうかを選ぼう」
「どうかって何だよ、どうかって」
「歌を歌いながら縦一列に並んでパレード風に」
「それだ!」
フェニックスの案に賛成したのはサンガーであった。
「それが駄目なら…強行突破ですね…」
クラーケンも賛成した(はずだ)。
「良いよ」「良いぜ」「解った」
全員賛成。
フェニックス司会。
「じゃ、選曲は?」
「自然に歩ける感じが良いよな」
「ここ数十年の曲は権利的に使えないしなぁ〜」
そして、サラマンダーが一声あげた。
「あの曲は?」
「どの曲だよ」
「手まり歌だよ」
「手まり歌ァ?何だそれ」
無論、フェニックスは知らなかった。
「まぁまぁ、良いから手まりを買おう」
サラマンダー案、決行。
「さて、行きますよ…」
クラーケンの合図でバジリスクが扉を開けた。
全員、手まりを手に持っている。
「皆、手まりは練習した通りだからね、本番で練習の成果を出しきろう」
どこのお遊戯会だろうか。
ともかく、六人は入った。
「天上界の奴等、ホントに攻めてくるかねぇ…」
「さぁな。兵は全部いな…」
…てんてんてん…てんてんてん…
「んだァ?」
「誰か他の番人がふざけてんじゃねーの?」
てんてんてん…てんてんてん…
「どんどん音がでかくなってるぞ」
「何か近付いてきてるな」
すると、彼ら六人が現れた。
「てんてんてん♪」
「天上界のお祭りで♪」
「てんてん手まりを買いました♪」
「てんてん手まりはどこでつく♪」
「地上界の下でつく♪」
「下でつく♪」
第一ステージ、無事通過。
「何だったんだアイツら…」
番人が彼らが敵だと気づいた時には、既に時遅し。
一旦休憩。
「一つ目は無事クリアだな」
「何で通り抜けられたんでしょうかね」
「て言うか、微妙に歌詞違ったよね」
「…さ、次行くぞ」
第二関門。
「ここは絶対に誰も通さねぇぜッ!」
「そう力むなよ、敵なんか来ねぇよ」
…てんてんてん…てんてんてん…
「…?」
「誰か遊んでんのか…?」
「ったく、やる気あんのかよソイツ…」
てんてんてん…てんてんてん…
「でかくなってるぞ…この音…」
さぁ、ショータイムだ。
「てんてんてん♪」
「天上界と地下界との二界道は♪」
「だんだんかぞえていくつある♪」
「だんだんかぞえて二十km♪」
「kmの数ほどつきましょう♪」
「つきま…」
「誰だお前ら六人」
まりつき隊、バレた。
いや、バレない方がおかしいのだが。
「誰だお前ら六人」
「…しょう♪」
「てんてんてん♪」
「てんてんてん♪」
「スルーすんなァ!」
…てんてんてん…てんてんてん…
「…通したね」
「…………。」
「さっき君、『ここは絶対に誰も通さねぇぜッ!』とか言ってたよね」
「…………。」
第二関門、突破。
一旦休憩テイク2。
「危なかったね…」
「いやぁ、フェニックスの『…しょう♪』はナイスフォローだったよ」
「自分でもあれは凄いと思ったぜ」
それほどの事ではない。
「次行こうか」
こうして、彼らは第十関門までを楽々でクリアした。
「さて、いよいよ第十一関門だな」
「いよいよだね」
何がいよいよなのだろうか。
とにかく、行ってみよう。
「おい…何か聞こえねぇか…?」
「ああ、聞こえるな」
てんてんてん…てんてんてん…
「何の音だろうな」
「二界道を手まりつきの歌で突破しようとする天上界軍兵士の音じゃないか?」
さすが第十一関門の兵士、勘が当たっていらっしゃる。
「そろそろソイツらが来るぞ…」
そして、来た。
「てん…」
「お前ら誰だ」
早っ。
「…てん…」
「お前ら誰だと聞いている」
「…てん♪」
「早く答えろ」
六人、窮地。
「天上界のお祭りでてんてん手まりを買いましたてんてん手まりはどこでつく地上界の下でつく下でつくてんてんてん天上界と地下界との二界道はだんだんかぞえていくつあるだんだんかぞえて二十kmkmの数ほどつきましょうつきましょう♪」
バジリスク、怒濤のワンブレス。
からの、
「逃げろ!」
「てんてんてんッ!」
「もうええって!」
「追え追え!」
今度こそ、バレた。
クラーケンが走りながら言った。
「作戦2、強行突破です!アイツら倒しますよ!」
「解った!合言葉は『てんてんてん』だッ!」
「てんてんてん!」
「てんてんてん!」
「てんてんてん!」
「てんてんてん!」
まりつき教てんてんてん派。
信者、六人。
讃美歌、手まり歌。
聖書、五人の覇者(未製本)。
合言葉はてんてんてん。
「俺はテラフレアするから、お前らは奥義しろ!」
「てんてんてん!」
「てんてんてん!」
(以下略)
「テラフレア!」
「総力奥義!」
『主は水の覇者』
「出でよ水鞘!」
「ぎゃあああああああああああ!」
第十一関門、突破。
ぎゃあああああああああああ!
「何だァ、今の?」
「二界道を手まりつきの歌で突破しようとする天上界軍兵士が来ているんじゃないかと予想し、それが当たったが敵の方が強かったと悟った第十一関門の兵士じゃないか?」
第十二関門、更に勘が凄い。
「そろそろ来るぞ」
「そうだな」
六人、危うし。