裏喜利大会(一)
「裏切らさせてー!」
ツルギ、悲痛の叫び。
「…え゛」
「あ゛」
やっちゃった感満載の表情をするツルギ。
「りょ、りょーりゅーりょりょりゃ、りゅりゅり…?(ど、どーゆーことだ、ツルギ…?)」
「…………。」
すると、バジリスクが、
「フハハハハハ!引っ掛かったな、ツルギ!わしはわざとボケて貴様の失言を誘発させようと…」
「おだまんなさい、マルボーズ」
「ぐっ、サラマンダー…赤ちゃん用の焼菓子の様に言いやがって…」
「バジリスクさんねぇ、アンタ天然ボケのくせにナニ威張ってんだよ。立場わきまえろよ」
「ボケという意味ではこの小説に出てくるキャラクター全員天然だぞ…」
「で、ツルギさん、どういう事だ」
「待てサラマンダー!わしの出番を持ってい…」
「大龍火炎!で、ツルギさん、どういう事だ」
「くそっ!」
ツルギが刃を出す。
「せやっ!」
サラマンダーに斬りかかる…はずだった。
「りりゃりぇんりょ、りゅりゅり(斬らせんぞ、ツルギ)」
「ありがと、ペガサスさん」
「りゃいりょうりゅりゃ、りゃりゃりゃんりゃー(大丈夫か、サラマンダー)」
「ペガサスさん…アンタ呂律さえ回ってればめっちゃ格好良いのに…何だよりゃりゃりゃんりゃーって…」
すると、ペガサスがツルギの手を離した。
「え、ちょ、ペガサスさん、助けるなら最後まで助けてよ」
「りゃっりりょりぇりゃりゅりりゅりぇりゃ(さっきのでやる気失せた)」
「じゃあ呂律直せよ!」
「りゃりりゃり(はいはい)」
「とんだ邪魔が入りましたが、いきますよ。せやっ!」
サラマンダーに襲い掛かろうとする。
「…ドラゴンフレア!」
逆に火の龍がツルギに襲い掛かる。
「ぐ…!」
飛び退いた。
だが、そこには水神がいた。
「ツルギさん、見損ないましたよ」
「そんな事知りません」
水神の首を断とうとしたが、
「きっ、斬れない!?」
水神は避けもせずに首で受け止めていた。
「あなたは私を斬れません」
「パクらないで決め言葉」
「良いじゃないですか、女同士の仲…」
水神の右目を刃がかすった。
目蓋から血が流れる。
「油断してましたね、水神さん」
すると、水神が何かを呟いていた。
「え…今何と?」
ツルギが聞き返す。
「…さない…!女の顔は命なのに…傷付けた…許さない…!」
「え゛」
水神、乙女モード。
眼が青く光る。
「消陸禁水之踊!」
「どぅおわーッ!伝説の五禁出たーッ!」
あ、五禁って言うんだって。
作者は禁呪とか禁術とか言うのかと思ってた。
だが、ツルギは間一髪で避ける。
そして、ツルギの後ろ、一直線上にあったものが全て水に飲み込まれた。
「こ、これが五禁の力…!」
ツルギが圧倒される。
「次は外しませんよ…。消陸…」
「ストップ、水神さん!」
「な、何で止めるのですか、クラーケンさん…?」
「このままじゃ天上界消えますよ!大体、アンタ自分の傷ぐらい治せるでしょ」
「あ、そっか。ヒール」
傷が消えた。
「ああ、あっさりと治るんだね」
水神の傷が治ったところで、六人でツルギを囲んだ。
「りょりゅりゅりゅりゅりゅり?りょりゅりゃりりりりゃりょ(どうするツルギ?六対一だぞ)」
「フッ、誰が一だと言いましたか」
ツルギが指をパチンと鳴らす。
「なっ…!」
現れたのは、サイゴと地下界王だった。
最も、地下界王と解ったのは遠くで見物していた天上界王だけで、他の六人はサイゴしか解らなかった。
「呼んだか、ツルギ」
「はい、地下界王。お久しゅうございます」
「何ーッ、地下界王!?」
この言葉で、解ったのだ。
すると、天上界王がやって来た。
「地下界王」
「おや、久しいな、天上界王」
「…何用だ」
「決まっておる。貴様らを殺しに来たのだ」
「え、何だって?良く聞こえん」
「ったく、天上界王…。ちゃんと補聴器は付けておるのか?」
「いやぁ、さっき取れたかもしれん」
「二王仲良いのね」
サンガーが言う。
天上界王、
「当たり前じゃ。わしと地下界王は無二の親友だ」
「あっそう。なら、帰ってくれるよう説得して」
「地下界王、悪いが帰ってくれんか?」
「無理だ。お前らを殺さねばならんでな」
地下界王がツルギとサイゴ以外全員に向けて、謎の物体を撃った。
全員間一髪で避ける。
だが、彼らがいた場所の床は無くなっていた。
「次は外さんぞ」
地下界王が黒く光り始め…
「滅世禁炎之舞!」
「絶人禁草之生!」
「貫地禁雷之槌!」
「隠天禁土之建!」
「はわーッ、四重五禁やんけ!」
聞いたか、皆。
ツルギ曰く、五禁が四つ同時に発動すると四重五禁と言うらしいぞ。
とにかく、これで五禁全てが紹介された。
いささか語呂が悪いのがある気がするが、それは神のネームセンスが悪いのであって、作者の語彙力が無い訳ではない。
まず、本を執筆する人間に語彙力が無いなど有り得ない。
絶対に。
…多分。
…………。
ゲホッ、ゲホン!
因みに、五禁五つが同時に合わさった時、世界の終わりが来るらしい。
「良く来てくれましたね、火神、草神、雷神、土神!」
「久しぶりだな、水神!千二百年ぶりか」
「神さん、悠長に話してる場合じゃないぞ!」
サンガーが怒鳴る。
煙の中から、地下界王がボロボロになって現れたのだ。
「ぐ…これが四重五禁…!だが、地下界の王であるわしは不死身じゃ!何をくらおうと死にはせん!」
そんな事を言われると、前話を読んだ事のある読者にとっては、「じゃあ、どんぶりうなぎはどうなったんだ」という話だが、そんな事作者の知ったことではない。
すると、バジリスクが言った。
「フェニックス達が…!」
「どうした、バジリスク?」
「フェニックス達が負けそうだ!助けに行かねば!」