裏喜利大会 序
裏喜利大会。ツルギが六人を裏切る
天上界にて。
「行っちゃいましたね、フェニックス君」
「ああ、逝っちゃったな…。」
クラーケンとサンガーの会話だ。
これがこの「裏喜利大会」一発目のギャグなのだが、どこがギャグかお解りだろうか。
そう、「行っちゃいましたね逝っちゃったな」である。
喜利なのに一発目をこんな不吉なギャグにするのもどうかと考えたが、裏喜利だからきっと大丈夫だ。
因みに、裏喜利も、裏切りと喜利を掛けているのが解っただろうか。
取り敢えず、シリアスすぎた前話の落ち込みを取り戻すため、ここらでパーッと笑おうという訳だ(つまり、読者は面白くなくても笑え、という訳だ)。
え、ストーリー的には何をするかって?
前話で言った通り、ツルギが六人を裏切るのだ。
そんなストーリーなのに、どうしてギャグを入れるかって?
大人の事情だよ、大人のね。
とにかく、話を戻そう。
「二人ともそう悲しむなよ、フェニックス君もきっと向こうで頑張ってるんだから…」
サラマンダーが二人を慰める。
フェニックスは下にいるはずなのだが、何故か上を向いて。
そして、胸の辺りで手を合わせているが、これは死者の弔いではなく、お願い事だ。
きっと。
「天上界王」
「なんだ、ペガサス」
「何でいきなりフェニックスだけで行くことになったんだ?」
「軍幹部からのアドバイスだ」
「ふーん…」
さて、まだ話していない残る覇者一人は誰かお解りだろうか。
そう、バジリスクだ。
「バジリスクさん、ナニ、ボーッとしてるんですか?そーゆーお年頃ですか?」
「相変わらずキッツイね、水神」
「で、何をしていたんですか?」
「千里の眼でフェニックスを見てたんだよ」
「え、遠距離ストーカーですか…?」
「何でも遠距離付ければ良いんじゃないよ、まるで遠距離恋愛じゃねーか」
「はっ、男色…!」
「だまらっしゃい、水神さん」
「え、違うのですか?」
「違う」
「違うの違うは合ってるですね」
「そーじゃない」
「じゃあ、ホモですか?」
「一緒じゃねーか」
「フフフ♪」
その様子を、クラーケンがボーッと見ていた。
「妬いてるねぇ、クラーケン」
「え、サンガーさん…」
「俺がフェニックスにタマ取られた時と同じ顔してんだよ」
「マジすか」
「ああ。恋のトライアングル成立だな」
「え゛」
「告白するならさっさとしちまえ。バジリスクに取られる前にな」
「…………。」
すると、クラーケンが水神に駆け寄り、
「あの、水神さん」
「えーと、誰でしたっけ。フランケンでしたっけ」
「話の始まりそこから!?」
「で、何さんですか?」
すると、バジリスクが言った。
「おい水神。いい加減にしてやれ」
「はい。で、『クラーケン』さん、何の用ですか?」
「いや…何でもないです」
テクテク。
「なんで告白しなかったの」
「する気失せましたよ」
「なんで?」
「バジリスクさんが注意した途端あれですからねぇ…」
だが、そのバジリスクは水神の事を何とも思っていない。
というか、それどころじゃ無かった。
「地上界が大変なことになってる…」
「どういう意味だ、バジリスク?」
サンガーが聞く。
「時間が巻き戻っているんだ…二百年前に!」
「は!?」
「わしの千里の眼で今地上界を見ているのだが…」
そう言うと、バジリスクはフェニックスがどんぶりうなぎと会った事を伝えた。
「マジで!?」
ペガサスが叫ぶ。
「て事は、マジで過去か…」
「こっちには影響無いみたいですけど」
すると、ツルギが立った。
「どうした、ツルギ?」
ペガサスが聞く。
「ペガサスさん…短い間、ありがとうございました」
「え、ツルギ…」
ペガサスがごくんと唾を飲み込む。
「浮気してたの…?」
「そんな小事じゃありません」
「ま、まさか妊娠したのか!?別の男と!?俺達もまだ…」
「ウォーターフォール!」
「ふぐあああああああああああ!」
バカ共のせいで中々裏切るタイミングが掴めないツルギであった。
「あンのねぇ、ペガサスさん…。下ネタは極力使わないのが作者の意向なんですよ…」
さすがは覇者一の紳士クラーケン、解っていらっしゃる。
嘘だと思うなら、数えてみると良い。一桁ぐらいしかない。
「れろ、おれろりらりり…(でも、俺より先に…)」
「ロックハーデン!」
「ふぎゃああああああああああ!」
「裏切らさせてー!」