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五人の覇者  作者: コウモリ
番外編
107/147

空舞う炎(九)

「おい、どんぶりうなぎ!この二界道の番人は誰だ!」

「地下界精鋭部隊」

「また奴等か…」

二界道は、中にいる番人が全員死ねば消滅する。

つまり、二界道を消すには番人を殺されなければならない。

「だが、フェニックス。今のお前じゃ奴等は倒せんぞ」

「…何故だ」

「サイゴも、俺同様不死身だからだ」

勝ち目0だ。

不死身なんて言われたら戦意喪失する。

「…………。」

「どうした、フェニックス。顔に諦めが出ているぞ」

どんぶりうなぎが嘲笑う。

「もう無理だ…」

フェニックスがそう、呟いた。

その時だった。

ズゥーン…。

空から何かが落ちてきた。

土埃が舞う。

「誰だ!」

どんぶりうなぎが叫ぶ。

予知していなかったようだ。

現れたのは、燃えている男だった。

変な意味で捉えないでほしい。

マジで燃えているのだ。

その男はくるりと周りを見渡すと、最後にフェニックスを見た。

「誰だお前?味方か?敵か?」

フェニックスが聞く。

すると、どんぶりうなぎが、

「こいつは俺の仲間じゃねぇ…。」

と言った。

即ち、フェニックス達の仲間である。

「ぅお…救世主来たか…?」

フェニックスが微笑する。

確かに、この最悪な状況で現れた味方だ、良い仕事してくれるかもしれない。

すると、その男がフェニックスに対して、

「お前がフェニックスか?」

と言った。

「え…ああ、そうだけど」

「そうか…お前が…。」

その後、そこにいた全員が驚いた。

男の眼が赤く光り出したのだ。

「なっ…!」

その赤い眼は依然としてフェニックスを見つめている。

十数秒が経った。

「もう、良いだろう」

そして、男は帰った。

「え゛」

フェニックスが驚いて言う。

「アイツ…結局何したの?」

「さぁ、フェニックス殿を十数秒見つめていましたが…」

「何もしなかったな」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

…救世主では無かったらしい。

だが、呆れている暇はなかった。

扉が開いたのだ。

「どんぶりうなぎさん、やりましたよ」

中から出てきた男はそう言った。

だが、出てきたのは一人では無かった。

「十人…十一人…十二人…………。これ、精鋭部隊のサイゴ以外全員来たんじゃねぇか!?」

フェニックスが驚いて言う。

どんぶりうなぎが全員に言った。

「二界道、ご苦労だった。次は、コイツらを処分しろ」

全員が三人に向かってくる。

「どうする?」

「どうします?」

「どうする?」

囲まれた。

すると、フェニックスの体が疼いた。

「え、マジかよ…」

「どうした、フェニックス」

「喜べよ、二人とも。さっきの奴はやっぱり救世主だったぜ」

「え、何言ってんの?あ、おい、フェニックス!」

フェニックスは謎の言葉を吐いて、火炎の翼を出し、空に上がった。

「逃がすかよ!」

数名も飛び立つ。

「何する気だ、フェニックス…。」

どんぶりうなぎが空を見つめる。

フェニックスが、遥か上空から下を見て大声で叫んだ。

「敵も味方も聞け!俺はさっきの男に新しい技を与えられたぞ!良く見ていろ!」

だが、魔術で倒せなかったどんぶりうなぎを、たかが技で倒せるとは誰も思わない。

だが、味方の二人はそれを信じるしかなかった。

「うらああああ!」

敵がフェニックスに近づいてくる。

だが、フェニックスは落ち着いて目を閉じ、こう言った。

「我が翼に宿りし炎、この空に舞え!

滅世禁炎之舞めっせきんえんのぶ!」

ああ、「空舞う炎(五)」の最後で作者が言った事を覚えているだろうか。

だが、いつかきっとタイトルらしくなるだろう。

マジでなりました。

我が翼に宿りし炎、この空に舞え!だなんて♪

「話に水を差すな、作者」

どんぶりどじょうに叱られた。

いや、この凄い状況、叱られた程度で見逃すわけにはいかない。

フェニックスの火炎の翼が、どんどん大きくなっていっている。

縦にも横にも広がっている。

下を向いた状態で翼が縦にも横にも広がっているのだから、青空を赤が侵食しているように見える。

そして、視界にある青空を埋め尽くした。

この世が一変した。

空は赤く揺らめく雲で覆われ、

度々落ちてくる火の粉はまさに火の雨。

物という物が赤く光り、

触れば指が溶けるほどの熱気を帯びた。

そして、文字通り炎が舞い始めたのだ。

空で火が形を作っている。

それは鳳凰だった。

赤のはずだった炎は七色に変わり、美しく大きな鳥が現れたのだ。

しかも、一匹ではない。

数匹の鳳凰が空で舞い始めた。

そして、フェニックスを攻撃しようとしていた奴等に火を吹き、燃やし尽くした。

敵も味方も恐怖しか感じなかった。

これは技などではない。

魔術でもない。

人知を越えた、神の力だ。

名前からして解るだろう。

滅世禁炎之舞。

世を滅ぼす、禁じられた炎の舞い。

魔法をお題にした小説では、たまに「禁呪」や「禁術」という言葉が出てくるが、これが値する。

「どんぶりどじょう殿…」

「どうした、ジーム」

「これはちょっと、ヤバくないですか…?」

「ちょっとどころじゃない。最悪だ。下手すりゃ地球が燃え尽きる。今この世にいる人間は地獄を見ている」

史上最悪の力。

だが、コントロール出来るなら史上最強の力になる。

「に、逃げろ!」

精鋭部隊の男の掛け声で全員が二界道の中に入った。

だが、それに続いて炎の竜巻も入っていく。

数秒後、扉から物凄いスピードでマグマが溢れだした。

どんぶりうなぎ、どんぶりどじょう、ジームが跳んでビルの屋上に避難する。

「フェニックス!一旦止めろ!」

どんぶりどじょうが言うと、空に青空が戻り、フェニックスが降りてきた。

「なんか俺、越えちゃいけない一線を越えた気がするんだけど」

三人が頷く。

「なぁ、客観的に見てたお前ら三人に聞くけどさ、俺は何してた?」

「い、意識がないのか!?」

ヤバイ。

意識がない=何でもしかねない。

「あのですね…………。」

ジームが説明した。

「マジで!?そんな事があったの!?」

フェニックスが驚愕する。

「あの男、何でそんな技を俺に…」

「とにかく、あの技は封印しろ」

どんぶりどじょうが忠告する。

だが、皆さんは誰か一人お忘れじゃなかろうか。

「死ねぇ!」

「ゲッ、兄さんが攻撃してきやがった!」

「滅世禁炎之舞!」

「さっき封印しろと言っただろー!」

どんぶりどじょうよりも炎の方が早かった。

キンッ。

ズドーン…。

何かが、起こった。


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