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五人の覇者  作者: コウモリ
番外編
105/147

空舞う炎(七)

「フェニックス!良く聞け!」

「い…言うな…」

どんぶりうなぎが起き上がって言う。

「ここは過去なんかじゃない!」

「え?」

「ここは、過去なんかじゃない。『今』だ。お前がスピーチした後の、『今』だ」

「で、でも、街も二百年前の…」

「全て兄さんが操っているんだ。

過去に戻ったと思ったのは兄さんが人と物を操ったから。時までが昔に戻った訳じゃない。お前の家族ももういない。

天上界に行けないのは、ラストオブヒーローズのせいじゃない。兄さんがお前をブロックしたからだ。だから、天上界にはお前はいない。いるのはお前の帰りを待つサラマンダー、クラーケン、ペガサス、サンガー、バジリスク、ツルギ、水神だけだ」

「ジームは?」

「彼は他の場所に作られたそっくりの部屋に移され、拘束されていた。既に解放している」

どんぶりどじょうがフェニックスの後ろを指す。

「ジーム!」

「フェニックス殿!」

「そして、兄さんを殺せば全てが元に戻る」

「無駄だ」

どんぶりどじょうに、どんぶりうなぎが反論した。

「兄さん、しらばっくれるな。兄さんがかけた魔法、兄さんを殺せば必ず元に戻る。」

「無駄だ」

「まさか、私達三人に勝てると思っているのか?」

「どんぶりうなぎ。俺は情に流されたりしねぇ。アンタを殺す」

フェニックスも、どんぶりうなぎを睨み付けた。

「無駄だ」

だが、どんぶりうなぎはそう言い続ける。

そして、

「無駄だ。この魔法をかけたのは俺ではない」

「は?何言ってんだお前」

どんぶりどじょうがそう言ったが、その強気な顔は青ざめていった。

「まさか…まさか!兄さん…まさか!」

「どうしたんだ、どんぶりどじょう!」

フェニックスが心配する。

「兄さんまさか…私のノウマインドの間違いだとは思うが、魔法をかけたのは…地下界王じゃ無いだろうな?」

「え゛」

情報を知るジームが硬直する。

良く知らないフェニックスは怒鳴った。

「ジーム、何なんだ!?地下界王とは!」

「天上界王と同じく、地下界の王です。どんぶりうなぎと呪い火で因縁を結ばれ、どんぶりうなぎが死んだ時に共に死んだはずなのですが…」

どんぶりうなぎがニヤリと笑う。

「そう、ジーム。俺と地下界王は因縁で結ばれた。だから、俺が生き返った際に共に生き返ったのだ」

すると、フェニックスがどんぶりうなぎに言った。

「なぁ、まずアンタは誰の手助けで蘇ったんだ?」

どんぶりうなぎがクククと笑う。

「ツルギだよ」

「は!?」

「タマがお前を裏切ったときに気づかなかったか?」

「何だそれ…」

「一度目はお前の親父…もう一人のどんぶりうなぎとタマでお前を攻撃した。だが、それは父親愛などという馬鹿なもので失敗した。第二の作戦が、俺とツルギだ」

「あの時親父は、アンタが死んだから俺を攻撃する、と言っていた」

「ああ、俺が死んだ後、確かに奴は貴様を殺そうとした。そこに、ジンギが来たのだ。カガミが死に、タマとツルギが俺と奴の間を取り持ち、作戦を練ったのだ」

「どうして…命をも分けてくれた俺に攻撃するんだよ」

どんな質問から始めても、結局はそこに辿り着く。

「気が変わったからさ」

「え…?」

「地下界の暮らしは良い。天上界などとは比べ物にならない。そして、地下界の長達に、俺は説得された」

お前が復活すれば地下界王も復活する、と。

「…………。」

「全ての謎は解けたか?そろそろバトルをしようじゃないか」

「最後に一つだけ」

「なんだ、フェニックス」

「今ツルギはどうしてる」

「残りの覇者達と戦っているはずだ」

「水神もいるぞ」

「だから、地下界王と復活したサイゴも向かった」

「…!」

「仲間の事は諦めろ。まぁ、すぐに自分も諦めることになるだろうがな」

「冥臨!」

「冥臨!」

「決死輪!」

フェニックス、どんぶりどじょう、ジームが技を出した。

どんぶりうなぎは守る暇もなかった。

確実に死んだ。

はずだった。

「な…何で生きている!」

「俺には地下界が付いている。幾ら殺しても無駄だ」

どんぶりうなぎが不敵の笑みを浮かべる。

本当の不死身が、現れた。

「だったら、植物人間にしてやる!どんぶりどじょう!ジーム!」

「おう!」「はい!」

フェニックスが結界を描く。

「神臨!」

「神臨!」

「呪い火!」

五体系全てを操る神が二人、当たった者が永遠の苦しみを味わう火が一つ現れた。

「命ず、あの男を殺さずに潰せ!」

「命ず、あの男を殺さずに潰せ!」

だが、二人の神は跡形も無く飛び散った。

呪い火が襲い掛かるが、どんぶりうなぎはシールドを使った。

「これが神臨?弱々しいな…。闇の魔術の方がよっぽど良いぜ」

「テラフレア!」

「マインドジャック!」

「フリーザー!」

マインドジャックは相手の思考を制御する技、フリーザーは相手を凍らせる技だ。

だが、二つとも避けられ、テラフレアは波動で消された。

「全く強くない」

「何も効かない…!」

絶体絶命だった。

それに、

「まぁ、若しお前らが俺を植物人間に出来ても、俺が死ななければ一連の魔法は解けないからな」

「あ…!」

万事休す。


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