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五人の覇者  作者: コウモリ
番外編
104/147

空舞う炎(六)

「失礼しますッ!」

フェニックスは慌ただしく大日本出版を出ていった。

フェニックスを見送った担当は、その姿が見えなくなると、ニヤリと笑った。

「好きにはさせないよ…兄さん…。」

そして、消えた。






まわりに誰もいないのを確かめると、フェニックスは火炎の翼を出した。

リミットは刻々と近づく。

それまでにアイツを探さなければならない。

「何でこんな事を…!」

フェニックスは歯ぎしりをした。


推理小説では無いので、さっさと種明かしをしてしまおう。

嬲木雨曇と右大軍ロビン。

この二人は「同一人物」だ。

二人は、似通っていた。

担当の話を聞けば解るだろう。

両作とも、両作とも…。

二作は違う人が書いたにしては、似すぎていたのだ。

だが、その時点ではまだ推測。

では、担当はあの後紙に何を書いたか。

嬲木雨曇→naburigiudon

a×1

b×1

d×1

g×1

i×2

n×2

o×1

u×2

右大軍ロビン→udaigunrobin

a×1

b×1

d×1

g×1

i×2

n×2

o×1

u×2

これが何を表すか解るだろうか。

そう、嬲木雨曇も右大軍ロビンもローマ字に変換すると全く同じなのだ。

こう言えば解るだろうか。

アナグラム、綴り換え。

そう、並び替えると二つの名前はもう片方になる事が出来る。

そして、第三の名前を表すことも出来た。


donburiunagi→どんぶりうなぎ


「どんぶりうなぎ…何で俺はアンタを殺さなきゃいけないんだ…!」

全速力で空を飛んだ。殺す、殺さずは別として、今は何としてでもどんぶりうなぎを見つけなくてはならない。

「いた…!」

どんぶりうなぎは堂々とビルの屋上にいた。

「フェニックス…。解ったか、嬲木雨曇と右大軍ロビンの正体が!」

「ああ…。どんぶりうなぎ、アンタだな。アナモグラって言うんだろ…。ルーマ字並び替えて解ったぜ…。」

「アナグラムとローマ字だ」

「そんな事より、どうして俺がアンタを殺さなきゃいけないんだ!」

フェニックスはどんぶりうなぎを睨み付ける。

「理由は簡単。どんぶりうなぎが抵抗するためだ」

「…え?」

「どんぶりうなぎだって死にたくない。だから、どんぶりうなぎを殺そうとするお前に抵抗する。すると、手違いでお前は死ぬ」

「意味解んねぇよ…。何言ってんだ…?」

どんぶりうなぎが悪魔に見えてくる。

「人を殺せば裁かれる。それを防ぐには正当防衛に仕立てあげるしかない」

「じゃ、じゃあ…!」

どんぶりうなぎが光り、人の形になっていく。

「お前は俺の掌で踊らされていたんだよ」











フェニックスが過去に連れ戻された魔法。

それを解くには嬲木雨曇と右大軍ロビンを殺さねばならなかった。

だが、その二人の名はどんぶりうなぎの偽名。

魔法を解くにはその魔法をかけた人を殺さなければならなかったのだ。

しかし、それはどんぶりうなぎの作戦。

全ては、どんぶりうなぎがフェニックスを正当防衛として殺すための道作り。

フェニックスは窮地に陥っていた。

「元の世界に帰るには、アンタを殺さなければならない…。だが、そうすればアンタが俺を正当防衛として殺す…。

しかし、殺さなければ元の世界には帰れない…。」

「どちらにしろ貴様はこの世界で死ぬのだ。いつまで経ってもこちらの世界にはこちらのフェニックスがいるからな」

「…………。」

「どうした、何か俺に言いたいことでもあるのか?」

「こっちの世界のフェニックスが二百年後、あの二冊の本で過去にタイムスリップしたらここに残るフェニックスは俺だけになる」

「過去に行かせなければ良い」

「そうすれば、俺は元の世界に自然に帰れるんじゃ…」

フェニックスの言ってる事は正しかった。

タイムスリップしなければフェニックスは過去に来るはずは無いのだ。

「ギャーギャーうるさい。貴様みてぇなバカには解んねぇ事が沢山あるんだよ」

そう言うどんぶりうなぎの人間の顔には冷や汗が浮かんでいる。

すると、どこからか声が聞こえてきた。

「何ではぐらかすんだ、兄さん?」

「誰だ貴様!どこにいる!」

どんぶりうなぎが大声で叫ぶが、誰か出てくる気配はない。

「何で兄さんがはぐらかしているか、私が当ててやるよ」

「出てこい!」

すると、そいつはフェニックスとどんぶりうなぎの間に現れた。

「あ…アンタは担当の…!」

そう、現れたのは大日本出版の担当だった。

「よう、フェニックス!」

「何でアンタが俺の名前を…?」

すると、担当はみるみる小さくなった。形も変形する。

現れたのは、

「あ!どんぶりどじょう!」

だった。

「どうしてどんぶりどじょうがここに?ていうか、何で『今』のどんぶりどじょうが俺を知ってるの?」

「それはな…」

「言うな!」

どんぶりうなぎが遮った。

どんぶりどじょうが人間の姿になる。

「兄さん。初対面がこれだなんて、フェニックスから聞いていたどんぶりうなぎとは大違いだな」

「くそっ!」

どんぶりうなぎが波動を出そうとする。

だが、どんぶりどじょうはそれを読んでいたかのように、遮った。

どんぶりどじょうがどんぶりうなぎの首を絞める。

「ぐ…が…」

「兄さん…俺の力はノウマインド。心を知ることが出来る。そして、その力でアンタのやったことを全て知ったよ」

ダンッ!

どんぶりどじょうはどんぶりうなぎを叩き落とした。

「フェニックス!良く聞け!」


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