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五人の覇者  作者: コウモリ
番外編
102/147

空舞う炎(四)

「で、どんぶりうなぎ。俺に続きを話してくれ」

「解った。まずは、お前がどうやってここに来たかを説明しよう。」

そう言うとどんぶりうなぎはフェニックスに二階に上がるよう指示した。

「その二冊の本でお前はここに来た」

「それは解ってた。本が浮いて、光ってここに来たからな」

「うむ。そして、その仕組みは簡単。どんぶりうなぎが魔法をかけた」

「…そう言うと簡単そうに聞こえるけどね」

フェニックスは溜め息をついた。

「どうせその魔法は激ムズなんでしょ?」

「ほぉ、少しはオツムが進化したようだな。想定外だ」

「そこで想定外を使うな」

「ゲホン。詳しい仕組みを話す。まず、これがくっついているのは湿気などではない。お前に両方の本を取らせるためにどんぶりうなぎがしたトリック。そして、そうすればお前が両方の本を開くことを予知していたからな。」

確かに、ラストオブヒーローズが好きなフェニックスなら、くっついていたら二冊とも取るのは解っていた。

「この魔法のポイントはそこにある。二冊を同時に開いていないと魔法は発動されなかったのだ」

そして、この二冊の小説を利用したには意味がある。

「今宵十五夜也は、時代小説。だから、タイムスリップには欠かせない。

そして、ラストオブヒーローズは、お前の目を引くためという意味と…」

「意味と?」

「…そのまま、最後の英雄という意味がある」

フェニックスが硬直した。

「…どういう意味だ」

「天上界に『行こうとすれば』解る」






という訳で、フェニックスはどんぶりうなぎを持って上空へと上がっていっている。

「なぁ、このまま行ったら『今』の俺達と鉢合わせになるんじゃないか?」

「心配するな、フェニックス」

そして、フェニックスは本能的に、天上界が近くなったと感じた。

天上界は、下からでは見えないが、天上界の人間(フェニックス達も含む)が上空へ進めばいつの間にか着いているのだ。

「そろそろだぜ、どんぶりうなぎ」

「…………。」

フェニックスの手から、どんぶりうなぎが消えた。天上界に着いたのだろう。

だが、フェニックスは消えなかった。

「…あれ?どんぶりうなぎ?」

フェニックスはどんどん上昇する。

どんどんどんどんどんどん…………。

窒息&気絶&落下。






「目が覚めたか」

「懐かしいね、このフレーズ」

フェニックスが目覚めた場所はフェニックスの家。そして、どんぶりうなぎがいた。

「どういう事だ、どんぶりうなぎ?俺だけ天上界に行けないぞ?」

「…お前はラストオブヒーローズ、地上に残された最後の英雄なんだ」

「なっ…!」

「勿論、あと数時間もすれば『今』の五人が帰ってくる。だから、お前にはその前にやって欲しい事がある」

「それをクリアしたら?」

「クリアすれば、『お前の今』、つまり、二百年後に戻れる」

「失敗すれば?」

「お前はこの『今』に残り、実際の五人に隠れながらひっそりと暮らす」

「え゛」

「それが嫌なら、何がなんでもクリアしろ」

「わ、解った。何をすれば良い?」

「…その二冊の本」

「ラストオブヒーローズと今宵十五夜也か?」

「そう、その作者を殺せ」

「はい?」

「右大軍ロビン、嬲木雨曇を殺せ」

「…どんぶりうなぎ?マジで言ってんの?」

「ああ。そいつらを殺せ」

「二人は何をしたんだ?」

「言えない」

「…………。」

フェニックスは絶句した。

殺人を犯してジームの元に帰るか。

命を守りここに隠れて残るか。

だが、自分には二百年後の地上界を守るという使命がある。

「…解った。殺す」

「今の五人が帰るまでに仕上げるんだ」

どんぶりうなぎが帰ろうとしたので、フェニックスは慌てて聞いた。

「ちょっと待て!二人はどこにいるんだ?」

読者の皆さんはもうお解りだろう。

そう、作者か…

「無論、地上界だ」

「…解った」

「お前は頭が悪いから見つけるのは苦労するかもな」

「え゛」

「どんぶりうなぎも地上界にいる。何か聞きたいことがあれば頑張って探せ」

「あ…。」

どんぶりうなぎが消えた。

フェニックスの試練が始まった。


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