1回戦
1回戦です。
書き終わるのにかなりの時間がかかってしまった…泣
リアルが忙しかったとはいえ、やっぱり小説書くのって難しいなぁ…
《最強武神祭》
それは創造神により始められた帝国最強の者、すなわちメセトライト帝国の国王を決める大会である。
参加出来るのは女神に選ばれた者のみ。
総勢6名でのトーナメントを行う。
トーナメントには2人分のシード枠があり、公平なクジ引きによりどの国主に与えるかを決める。
大会は2回行われ、1回目は参加者全員が11歳以上になった時に行われる。
2回目はその5年後に開催される。
3回目はない。
なぜ2回なのかというと、1回目で優勝した者が2回目の大会も優勝を死守出来るほどの圧倒的実力を発揮出来るかが試されるためである。
逆に1回目の大会で優勝出来なかった者も、2回目で優勝することが出来るチャンスが与えられているということでもある。
1回目が終わってからの5年間で、どれほど実力を高められるかが試されるのである。
国王になるための資格を得るには、2回目の大会で優勝する必要もあるにはあるのだが、だからといって1回目の大会を適当に流していい訳ではない。
あくまで現国王が2回の大会を総合的に見て資格があるか判断するので、2回目で優勝出来なくても、1回目で優勝していれば充分資格はあるとは言える。
最強武神祭は国王の座を巡る、小国同士の全てをかけた大会であるのだ。
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「では、これより最強武神祭を開催します!」
「「「「「わーーーーーーー‼︎‼︎‼︎」」」」」
競技場のありとあらゆるところから歓声が湧いた。
競技場は楕円形で、周りにぐるりと観客席が設置されており、楕円形の中に2つの四角い武台がある。
武台の長さは一辺約20メートル。
高さは約1メートルある。
その2つの武台の間にレオ達は並んでいた。
目の前には国王が王座に座りこちらを見下ろしている。
「それでは、国王様より激励の言葉をいただきます」
国王が王座を立つと会場は水を打ったように静まり返った。
「お前達は成長した!これからのメセトライト帝国を担ってくれると期待している。各々が今日の日のために自らを鍛えてきたものが、十分に発揮出来るよう祈っておる。全力で大会に挑め!以上だ」
拍手喝采が湧き起こる。
「では、国王様から向かって右にレオ・エスティーア様対リリィ・ウェンダスト様の試合を、左にアレスティン・モルボントラ様対カナ・ユニエント様の試合をしてもらいます。」
初老の言葉と同時に4人がそれぞれの武台に上がる。
「いい試合をしような、リリィ!」
「…負けない……」
「よろしいですか?それでは始めて下さい!」
レオとリリィが同時に剣を抜き、駆け出した。
2人の間合いが2メートル程にまで縮まった時、リリィが右に体を捻り右手のレイピア【ウィンド・ルミナス】を引き絞った。
「ハッ!」
鋭い声と共に物凄い速さで突きが繰り出された。
狙いはレオの左腕だ。
レオは反射的に狙いを外そうと、双剣を交差させレイピアの刺突点に合わせる。
そのまま突っ込んできたレイピアは双剣に勢いを減らされ、更にレオが左へと双剣を振り払ったことにより、完全に狙いが外れた。
「もらった!」
そう叫びながら、レオは右手の片割れをリリィの頭に向けて振った。
もちろん殺すことはルール違反なので、寸止めのつもりではあるが。
「甘いよ…」
その時、リリィが眼前から消えた。
「何⁉︎」
驚きの余り、レオの動きは一瞬止まった。
「こっち…」
後ろから声がする。
振り向くとそこにレイピアを中段に構えたリリィがいた。
どうやらレオに頭を狙われた時、一瞬でしゃがみ込みながらレオの背後に移動したらしい。
刺突時の体の勢いをそのまま利用し、前傾姿勢を保ちながらレオの左側を駆け抜けて行ったようだ。
(速いな。一瞬捉えられなかった…)
「速いね、リリィ」
「これでも鍛えてるから…」
言葉を交わしながら、レオは思考する。
(流石は風の国の国主ってか?たぶんスピードだけならこの中では1番だろう。だが、手数なら俺の方が上だ)
「私は今日、勝つためにここに来た。レオには悪いけど、奥義を使わせてもらう…」
「へぇ、奥義か。いいね、その方が盛り上がる!」
リリィは一瞬でレオに肉薄して来た。
「奥義【風撃連続刺突】!」
リリィが先程の倍近くの速さでレイピアを放ってきた。
狙いはまた左腕だ。
レオは左手の片割れでレイピアを弾こうと試みる。
しかし、レイピアの速度は想像以上に速く、勢いこそ多少殺したものの、完全に弾くことは出来なかった。
「ウッ…」
左腕にかすり傷をつけながらも、狙いをずらすことには成功する。
だが、これで終わりではなかった。
リリィは一旦レイピアを引き絞り直し、今度は左脚を狙って来た。
左手の剣で弾こうとするが、やはり完全には弾けず、かすり傷を負ってしまう。
(なんて速さだ!これに風の加護の力が加わったらと思うと……想像したくないな)
リリィはそこから更に右脚を狙ってくる。
今度こそはとレオは双剣を交差させ、レイピアの刺突点に合わせて弾こうとした。
それでもリリィのレイピアを弾くことは出来なかった。
【ウィンド・ルミナス】がレオの右脚にかすり傷を作りながら通過して行く。
しかし、一瞬で引き戻され次の狙いへと標準を合わせられる。
次は右腕のようだ。
(まだあるのかよ!)
胸中でそう叫びながら、少しでも狙いをずらそうと最低限の努力をするレオだったが、やはりかすり傷を負うのは避けられなかった。
4連撃目の突きが終わると、リリィが一旦バックジャンプし、間合いをとる。
「流石に奥義はすごいな。速すぎて狙いをずらすのがやっとだよ。しかも4連続攻撃とは」
「…本当ならまだあの後、へそを狙って終わるはずの5連撃奥義……でもへそを狙って万が一レオが対処出来なかった場合殺してしまう可能性がある……だから4連続で止めておいた…」
「まだ先があったんだ。しかもへそって…」
レオは苦笑いしながら答える。
「…私は負けられないの……風の国の民のためにも、そして自分のためにも…」
「それは俺だって同じさ」
「…いつまでも話してはいられない…」
「そうだな」
リリィが接近して来る。
レオは双剣を構えた。
先程の奥義ほどではないが、それでも通常攻撃としては十分の速度の突きが放たれる。
それに今までの攻撃より更に狙いが正確になっている。
ピンポイントで左腕の関節を狙って来た。
だが、レオとていつまでも負けてはいられない。
(今度は弾くというよりも吹き飛ばす勢いで!)
関節に突っ込んでくるレイピアに左の剣を思いっきり叩きつけてやった。
すると、今度は完全に弾くことが出来た。
次はレオが接近する。
リリィに体当たりしつつ、左脇腹を少し斬りつける。
「あッ…」
リリィが小さな悲鳴を上げる。
「ごめんよ」
振り向きざまに謝る。
リリィは左手で脇腹を抑えていた。
どうやら思ったより深手に斬ってしまったらしい。
(やっぱり女の子だから、男と違って無駄な脂肪とかないからだろうな)
「…この程度では……まだまだっ…」
そう言ってリリィは突きを放ってくる。
突いて、突いて、突きまくる。
的確な狙いのそれを、レオは馬鹿力で弾いて、弾いて、弾きまくる。
2人の剣撃は会場を彷彿とさせた。
「そろそろ、この試合も終わりにさせてもらうよっ!」
「…それは負けてくれるということ…?」
リリィが剣撃の中、笑いかけてくる。
「そんなわけないじゃん‼︎」
そう叫ぶと、今度はレオから攻撃を仕掛けた。
右手の片割れを上段に振りかぶり、中段に構えられているレイピアに思いっきり叩きつけた。
「……‼︎」
リリィは無言で受け止めたが、あまりの力に細剣を両手で持った。
「いくよ!」
レオは双剣を振り回す。
もちろん急所は狙わない。
リリィはレオの攻撃を回避していく。
余程さっきの一撃が堪えたのだろう。
もう二度と受けたくないといった様子だ。
そしてリリィは回避の技術も素晴らしかった。
するすると、まるで捉えどころのない風のように避ける。
だが、それも長くは続かなかった。
「ここだぁ!」
ガキィン!
とうとうレオがリリィの動きを捉えた。
回避は不可能と判断したリリィがレイピアを両手に持ち変え、レオの攻撃を受ける。
「まだまだぁ!」
レオはどんどん剣を打ち込んでいく。
双剣なのでその手数は2倍。
懸命に受けるリリィだったが、徐々に後退して行く。
左の剣を下から叩きつけ、その場で体を縦に左回転させる。
「うおぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」
気合いと共にレオの下からの連撃がリリィのレイピアをもぎ取っていった。
【ウィンド・ルミナス】が空を舞う。
「…そ…んな……」
リリィは動けなかった。
ただ驚きの言葉を口にすることしか出来なかった。
チャキ…
レオがリリィの首に双剣を交差し、当てがう。
「終わりだよ。俺の、勝ちだ」
カシャーン
その言葉と同時にリリィの相棒は武台に突き刺さった。
「この試合、レオ・エスティーア様の勝利といたします!」
会場に大歓声が満ち、レオも剣をしまう。
「お疲れ様、リリィ」
手を差し出したレオにリリィも答える。
「…今回は完敗…けど、次こういった機会があったら絶対負けない……」
「楽しみにしてるよ」
2人は手を取り合った。
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「お、どうやら向こうも終わったようだな」
2人が武台を降りると、反対側の2人も丁度武台を降りるところの様だ。
「レオ〜!負けちゃったよ〜」
泣き顔でこっちに走って来るカナはどうやらアレスに負けたらしい。
「なんだ勝ったのか?容赦ないなぁ…」
抱きついてくるカナの頭を撫でながら、アレスに話しかける。
横から鋭い視線を感じる気がするが、怖いのでそちらを見ないようにする。
「容赦がないのはお互い様だよ。レオも勝ったんでしょ?」
「まぁな」
2人は苦笑いを交わす。
「おい、レオ。決勝戦に行くのは俺だ。覚悟しておけ」
そこへ、ゴルが宣戦布告してくる。
「ハイハイ、ゴルは何でそう怖そうに言ってくるかなぁ。楽しくやろうって考えはないの?」
「楽しむという考えは俺にはないな。国王になるため、俺はここに来ている」
「それはみんな同じだって。ま、俺も負けるつもりはないけどね」
双方が睨み合う中、2回戦の時が迫って来ていた…
読んでくれている優しい方々が増えているようです!
泣きそうなくらい嬉しいです泣
てか泣いてますww
感想やレビュー等して下さると、自分感激のあまり倒れるかもしれませんww←言い過ぎ