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Over Drive...  作者: KeiTa
Story 1 灼熱の飛竜編
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007;盗賊の根城

このあたりの話が第一章のメインになります!


「盗賊と灼熱」編?でしょうか?

「よし、作戦は単純だ!突撃して殲滅するだけだ!」


 セウルドが物騒な単語を並べながら二人に言った。一般市民でもわかるほどの邪気に満ちている小屋は、おそらく前を通りかかっても誰も近づかないだろう。彼は言った後、数十メートル先にある小屋に向かって歩き出していた。焦っているのか、はたまた別の理由があるのか。


「まって!!、ほかにも反応がある!」


 フィオナは止めるべくセウルドに駆け寄り、その服を引っ張った。この声の大きさならば、盗賊団にも聞こえているかもしれない。彼女の魔法はまだ発動していて、小屋の内部を探っていた。


「村の人っぽい反応があるの。盗賊と明らかに違う感じだからそうだと思う。」


「それはもしかして、村長じゃないですか?」


 アスロがそういうと、二人の脳に、森林都市で聞いた話がよみがえった。あの地域の村長は、今貿易のためにこの北峰を訪れているらしい。もしその貿易品を盗賊(山賊)が狙っていたとすれば………。


「トンネルには列車があるが、そこまでは歩いて品を運ぶみたいだからな。襲われて捕えられている可能性が十分にある。」


 盗賊団に捕えられた人たちの末路は、大都市の地下で行われる「人身売買のオークション」に売り出されるか、盗賊団の下働きとしてこき使われる。そうなってしまえば、魔法機関が捜査に乗り出さねば救われる道はない。盗賊団に市民が捕まるという事件はあまり多くはないが、事件の収束が困難であり、盗賊団が行方をくらませば、見つけ出すのがほぼ不可能になってしまう。


「下手に突撃すれば村長たちの命に関わるな………。」


 三人は、ここにきて作戦の練り直しを要求されたのであった。もともと練ったような作戦ではなかったため、時間がかかりそうだ。全員考え込んでいる。…すると、何か思いついたように、セウルドが顔を上げた。


「……少々危険な作戦だが、俺が奴等に捕まってアジトに潜入し、アスロは正面からぶち破る。…その隙を見て俺は人質を逃がし、二人でギブロアを相手取る……はどうだ?」


 少々……というより、ミスをすればかなりの危険を強いられる作戦だ。何より盗賊団たちに隙ができなかった場合、自由にアスロは動けなくなり捕まってしまう。


「リスクが高くないか?」


「大丈夫だ、俺は防御なら自信がある。それにこれ以外作戦がないだろう?」


 仕方なく、アスロとフィオナは同意することにした。もしセウルドが防御魔法の使い手でなかったら、絶対賛同しなかったであろう。アスロはこの時何か引っかかるものを感じたが、気にしないことにした。


─────少しおかしい気がする。ギブロアが狙っているもの………どこかで聞いたような……?まぁいいか。とにかく作戦を成功させ村長を助けよう。そして早く『無色透明』を…!!



 こうして、セウルドは盗賊団のアジトへと向かった。アスロとフィオナは距離を取り、フィオナの魔法で中を探ることにした。案の定セウルドは見張りに捕まり、中へと入れられていく。いつでも戦闘態勢がとれるように、アスロは黒刀だけでも出しておいた。




「俺が捕まって二分足らず経ったら、突入してくれ!!」


―――――あいつはそう言った。もうすぐ二分経つ。よし、行くか!


「姫、貴女は待っていてください。俺だけで片をつけますから。」


 アスロは少しでも危険にさらさせないように、フィオナを待機させておくことにした。もとより、自分の実力があれば盗賊団など一ひねりであるという自信からもきていた言葉だが……。


「わかった。けど、絶対死なないでね。それと!!『姫』って呼ぶの止めなさい!!『フィオナ』と呼んで!!敬語もなし!!」


 フィオナはアスロの意見に同意した。そして、かねてから抱いていたことをぶつけ、姫の権限みたいなものを行使した。本人はそういうつもりで言っていないが、つまりはそういうことになってしまう。


「わ、わかった……よ? フィ、フィオナ。」

 目に見えてほほを紅潮させ、俯きながらアスロは答えた。注文した本人も、なぜかほほを赤く染めていく。




アジト


(かしら)、外に魔力の反応が2つ。1つは凄まじい大きさでさぁ。」


 若干暗いが地下に広がる広い部屋で、下っ端とみられる男が言った。絨毯のしかれた床の上にはいくつものテーブル、いすが並べられており、数名の男が座っている。テーブルの上には、札束、金貨、それと武器などのものが置いてある。


「へぇ、そいつは期待できそうだな。まったく、今日は客が多い。 おい! アジトにバレないように誘き寄せろ!」

 部屋の奥にある、一際上質の椅子に腰かけている若い男が答えた。この若さでこのあたり一帯に名を轟かせる「ギブロア盗賊一家」の頭、ギブロア/ブレーチス である。


「了解」


部下の声が、静かなこの部屋に響いていた。



 アスロは深呼吸をすると、肩を回した。…闘いの前にいつもする仕草である。



「よし、行くか!」


 歩き出したアスロの脳に、ある言葉が浮かぶ。…彼は闘う時になると、自分に闘い方を教えてくれた人物のことをいつも思い出すのだ。


────────────闘いは、自信を無くしたほうが負けるんだ。


 その言葉を忘れずに、彼は自分の力を最も信頼していた。


────────────決して裏切らないこの力、それが最も信頼できるものだ。









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