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Over Drive...  作者: KeiTa
Story 1 灼熱の飛竜編
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005;朱色の眼


ついにフィオナの魔法の力が発揮されます!

 なんで、セウルドはこんなことを言うのか、皆目見当もつかない。目に見えてわかるように、アスロは魔法を発動させていた。


「―――我が身に眠る翼竜の力よその火の意思を翼として姿現せ―――OVER-DRIVE!!!!!!」

 

 やっぱり、呪文を詠唱すると本格的に発動したのがわかる。広場ではちょっとした騒ぎになりかけていた。野次馬が少しずつ集まっていく。


「ちょっと、アスロ!!こんなところで……」


 そう私が言おうとしたとき、アスロが黒刀で斬りかかった。

 案外喧嘩っ早いのかもしれないね。ルーウェンと戦った昨日と同じように、アスロの攻撃の初手は右斜めからの一閃……だった。きっとこれが一番得意な型なんだろう。


「おいおい!!こんなところで!!」


 セウルドが叫ぶ。いや、あんたが挑発したんだろ!

 この戦いの場と化した広場に流れる風が温められ、熱風になっているからかもしれないが、セウルドの額に汗がにじんでいる。セウルドは間一髪、アスロの斬撃をかわすと、後ろに大きく下がった。そしてにやりと微笑むと、軽やかに逃走した。


「悪いなディンク!! こんなところで戦ってると、ギブロアに追いつけなくなっちまう」


 彼は自分の持ってきた荷台を魔法で縮小してポケットに入れた。


「…喧嘩はこっからだぞ!それに誰だギブロアってやつは?」


 アスロには逃がす気もさらさらないらしい。走り去っていくセウルドに斬撃を放っていくが当たらない。


「ちょっと待って!」


 私も置いて行かれないように必死に追いかけた。

ギブロア………?

 どこかで聞いたことがある名前。こんな村にもあるんだと、少し感心しながら路地を走っていく。セウルドの足は魔法をまとっているかのように軽やかに地を蹴っていく。しかし、アスロも負けていなかった。灼熱の翼で先回りしたのだ。

 あぁ、このために無駄な斬撃を放ってルートを誘導していたんだ…!!


「やっべぇ!!早いな!」


「売られたケンカは、いくらでも買ってやるよ!!」


 アスロは空からセウルドに攻撃を放った。その姿は、獲物を狩ろうと急降下した飛龍(ワイバーン)のように見えた。


「豪火の竜撃!!」


 逃げ回るセウルドを、ついにアスロはとらえた。脇腹に灼熱をまとった黒刀を振り下ろし、翼で連撃を浴びせた。


「……凄まじい威力だな。さすがの俺でも、かなりのダメージを受けたぞ。」


「あなたは何者なの…??」


 私は尋ねた。アスロの一撃を喰らって立ち上がったのだから、かなりの実力をセウルドは秘めているはず。もしかしたら名のある魔術師なのかもしれない。少し息を漏らしながら、彼は答えた。


「……俺は傭兵もやっていてな。腕には自信があるんだ。西の大戦争にも参加してた。」


 あ、あの戦争に…。

 あ…聞いたことがあるかもしれない。西の大戦争で活躍した何人もの魔術師の一人に聞いたことがあるかも。

確か…。


「『不屈の闘志』だろ?」


 アスロが答えた。そうだそうだ!どんな攻撃にの耐え抜いた防御系魔法の使い手。不屈の闘志の二つ名を持つ傭兵商人。


「おお!!こんなとこにも俺を知ってる人がいたんだなぁ!」


 セウルドは感激していた。

いや、それはどうでもよくて…。


「それに、お前がさっき言った「ギブロア」ってのは、盗賊王ギブロアだろ?…何か引っかかっていた。」


 盗賊王ギブロア?またすごい名前が出てきた。ギブロアはこの王国に住み着いている盗賊団の頭で、国の騎士団も手を出せないほどの実力者で、騎士の最高役職 「聖騎士」(王国の精鋭騎士五名に与えられる称号で万国共通)くらいでないと捕まえることができないって噂もあるみたい。


「………お!そうだ!!あんたらも協力してくれないか?」


 セウルドは、急に語りだした。まるで今の今までアスロと戦ってたのがウソのよう。この人はすごくノリが軽いというか、ぬけてるというか。


 彼が言うに、ギブロアの盗賊団にかなり重要な品物を取られて、それを奪い返すためにここまでやってきたらしい。けれども彼は防御魔法を得意としているので、攻めるというのが得意ではないそうだ。


「もちろん報酬は弾ませてもらうよ!」


「姫、受けてもよろしいでしょうか?」


 アスロは何か考えてるようだった。う~ん、でもまだアスロの目的も聞いてないし…。


「じゃあ、アスロの目的を先に話すのならいいよ。」


 ここは、姫の権限的なものを使ってみよう。

 実はちょっと、使ってみたかった。


「わかりました。……セウルド、報酬は姫が自衛に使う、上物の短剣だ。」


「ホントに受けてくれるのか!?OVER‐DRIVEがいるなら助かる。短剣は任せろ!」


 自衛用の短剣か…だから武器屋によりたいって言ってたんだ。

 案外お互いの利点がみたされてるかも。


「盗賊団を探さないと」


 セウルドが呟いた。

それを私は見逃さない。

ここは私の出番だ!


「それなら私に任せて!――――――世界に光る朱色の眼よ我はラヴェールの王女なりその力をこの眼に授けよ―――――――  発動!「朱色の真眼(サンセットアイ)」!!」


 集中しろ、冷静に邪の魔力を探知しろ!私は静かにあたりを見回した。この眼は、強い魔力を見分け、探知できる能力も秘めている。


「…………………見つけた!」










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