004;森林の都市
中盤はかなり読みずらいと思いますが、今後に大きくかかわっていくのでじっくり読んでください^^
うっとうしいほどの快晴の空を私たちは飛んでいく。
とはいっても、私はしがみ付いているだけなんだけれど…。
ただ今は高度100メートルくらいの低空を飛行しています!
「姫様、この森の間に、私の知っている小さな町があります。そこで話をしましょう。」
「森の中に町!?」
この世界には、五つの大国とその他さまざま民族集団などが存在していて、私たちが抜け出した大都市アストラルを首都とするラヴェール王国もその五大国のひとつである。民族集団は主に森の中で街を築き上げ、それぞれの文化を保っている。
「…ええ、そこに自分の知り合いがいます。ほら、見えてきましたよ!」
アスロが先を指さす。指の先に広がる森林の中に、確かに建物が密集しているところが見えた。
あれが森林都市?
アスロは、上空で着陸のポイントを探すべく少し旋回すると、広場に着地した。
「おぉ、アスロだ!!本物だぞ」
住民たちがひそひそと、小声で言っている。
アスロはそれほど有名人なの…?
「ここに住む人たちには昔縁があったんで割と知られているんですよ。」
アスロはなぜか照れていた。今のは口に出したわけじゃないのに…。
表情で読み取られたのかな…?
少し歩いていくと、町……というか村の門が見えてきた。レンガで造られたその門をくぐり、私たちは森林都市ザフォニアへと足を踏み入れた。
「村長はどこだ??」
アスロは村の中にずんずん進んでいくと、村人の一人に尋ねた。都市って感じが全然しないから、村って呼んでおこっと。村の民家はほとんどが古いタイプの造りで、木だけや、レンガだけなどでできていた。生い茂る木々たちが周りを囲んでいるので、空気が澄んでいて、居心地は悪くないのかもしれない。
「村長なら、中央の今は「北峰」に出ているよ。」
若い青年が丁寧に教えてくれた。
北峰とはどこのことだろう??
「北峰とはどこのことなんですか??」
「あぁ、ここに始めてくる人は知らないかもね……」
アスロが「人はやめろ!「方」だ!」と青年に食いついていたが無視する。そんなこと気にされると話が進まないよ。
彼の話によると、
北峰というのは、ザフォニア北部に聳える「アルズ山脈」などの一帯の総称であるらしい。このあたりの山脈はあまり標高が高くないけれど、標高が低い…ということは、山賊が住み着きやすいって言うのを聞いたことがある。若い青年はこうも言っていた。
「村長は、山で閉ざされていた隣の町とのトンネルを見に行っているんだ。貿易をするためにトンネルを開通させるんだよ。」
貿易トンネルかぁ
この類の話には、結構嫌な話がある。私がラヴェール王国の姫で、お父さんが王の時(今もそうなんだけど)海の向こう側の東の帝国と貿易を開始する話があり、友好の証にお互い一流の特産品を贈りあった。だけれど、それを贈りあうルートで事件は起きた。世界中で暗躍する犯罪魔術師集団「降魔の金槌」が、貿易船を急襲した。船には腕に覚えのある魔法騎士が何人もいたけれど、その人たちもやつらの筆頭「豹帝のジェラルド」の異名を持つ、五大国連合が指定する国際指定危険魔術師「常闇の十三人の一人、ジェラルド・シンフォニアに返り討ちにあった。
「………村長さんには護衛をつけているんですか?」
私は聞いてみた。
このあたりでも山賊が現れるというのは聞いたことがあったから、もし護衛がいなかったら村長さんが危ない…村長さんがめちゃくちゃ強いって場合もあるけれどそれはないでしょ。
「ああ。五人ほどつけているよ。…安心してくれ、みんな腕に覚えのあるやつばかりだ。ま、村長も武術の達人だけどね」
え?嘘?マジで!?
村長強いパターンが存在した…!
ごめんなさい。それはないとか思って。
私たちはひとまず安心し、村の奥へ進んでいく。村の中心では活気があふれ、様々な店が立ち並んでいた。世界中を売り歩いている移動商人も何人か見かけた。
「姫、少し武器屋へ寄りましょう…姫も短剣くらいは持っていたほうがいいかと…。」
アスロが少し先の武器屋を指さして私に言った。
でも…あの武器屋にはろくなものがなさそう。
「ちょっとそこのお二人、良ければうちで買ってくかい??」
足を進めたくなかった私に、一人の移動商人が声をかけた。アスロが思い切り商人をにらんでいる。
………ちょっとやめてよ。あっちは商売だって。嬉しいのか迷惑なのか。
「なんだお前は?」
「おっと、そう睨まないでくれよ。俺はセウルド。ラヴェール王国を練り歩いている商人だ。武器を探しているんだろう?」
アスロの警戒が少し解けた。相変わらずいつでも攻撃できる体勢を保っているけれど。セウルドは自分の後ろにある荷台のシートを外すしわたしを見て、笑みを浮かべた。
「そちらの御嬢さん、もしかしてフィオナ姫じゃないのか?」
「どうしてわかるの?」
セウルドに私は敵意はないけれど、私のことを一発でわかるなんて、少し疑ってしまう。彼の荷台にはキラキラと輝く性能の高そうな武器防具、きれいに並べられたありとあらゆるものがあった。これを見るにそこそこ儲かっているんじゃないかな?ということは名のある商人?これが?
「見りゃわかるんだよ。あんただけほかのやつと雰囲気が違う。それに……」
セウルドが語りだした瞬間、アスロが黒刀を向けた。ぎらぎらと赤く燃えている翼がやけに迫力を醸し出している。
「こんな場所で、それ以上言うな。」
セウルドは刃を向けられても余裕の表情で、アスロを見ていた。風が私の髪をなびかせる。少し重たい雰囲気で、セウルドは笑った。
「そう刃を向けるなよ、灼熱の化身アスロ・ディンク。あんたもしってる。……けどな、悪いが俺はあんたより強いと思うぜ…???」
灼熱の翼の炎が…いっそう強まった。
あ、止められないパターンかも………。
早くもアスロのパターンが読めてきたかもね……ハハ