003;攻防一体
ルーウェンはのちにまた登場させようと思ってます。
バトルシーンが短すぎます
次は頑張ってみますww
───────この国の騎士で一番強いのか知らないが、そんなもの簡単に打ち破れる。
アスロは自分の力に自信を持っていた。何度も手練れの騎士を打ち破ってきたこの剣で、今回も楽々と勝たせてもらう。と、思い切りルーウェンを見くびっていた。
「OVER-DRIVE の力はどれほどのものだ…?」
ルーウェンは勢いよく踏込み、右の太刀で一閃、アスロに加えようとした。狙ったところに空を切り裂いて向かっていく太刀をアスロは灼熱の翼で払いのけ、悠々と構えた刀を振り下ろす。ルーウェンは爆炎をまとい垂直に振り下ろされる刀を、左手に握った短刀で受け止め、素早く手元に戻した太刀で二撃目を放つ。
「並の騎士以上の実力は当たり前か…。」
そう呟きつつアスロは刀で太刀の二撃目を受け流し一度後方に下がると、突きを放とうとする。アスロの剣先から、火花が散り、鮮やかな炎がアスロの前進まで三角形状に包みこむ。
「火炎刀:流星!!」
激しい威力の突きは、ルーウェンに向かっていく。息をのむ展開に、フィオナは目をそらすことができなかった。今まで見たどの戦闘よりもはるかに迫力があり、国防騎士たちの稽古試合とは比べることすらできなかった。
ルーウェンは自らに向かってくる灼熱の突きに対し、真っ向から勝負を挑んだ。左の硬い短刀で突きを一瞬受け止め、その一瞬を利用して右の太刀を思い切りアスロの刀に振り下ろした。
「バカな!?」
この凄まじい反応により突きの軌道はそれ、ルーウェンの腰をかすめただけで終わった。アスロはバランスを何とか保ち、そのまま連続攻撃に移ろうとする。剣と刀が激しく交錯し、ルーウェンは短刀で、アスロは灼熱の翼で相手の攻撃をはねのけていた。
──────畜生、このままじゃらちが明かない。ここは大技でやつの構えを……。
アスロのは考えを張り巡らせた。しかし彼はルーウェンの魔法を想定するのを忘れていたのであった。
ルーウェン・エルフリートの魔法、それは、
『大気の読』
空気の流れを寸分の狂いもなく読み取り、物質の動きを予測し反応速度を高める魔法。剣技との相性がよく、彼はこの二刀を組み合わせてオリジナルの型に仕上げた。
アスロは刀を構え直し、息を整えた。そして駆け出し、右斜め上の角度から勢いよく一閃を放つ。ルーウェンは読み通りアスロの一閃を短刀で受け止め、そのまま押し切った。
「このまま押し切りながら太刀を振り下ろせば、翼を広げられないぞ!!」
押し切られたことでバランスの崩れたアスロは、翼を後ろに回しバランスをもとに戻す。この隙をルーウェンは見逃すわけもなく、防御をしていないアスロに太刀を振り下ろした。
「甘いな!!!!!!!」
アスロは翼から思い切り炎を噴出した。凄まじい勢いで出た爆炎はアスロを加速させ、ルーウェンの太刀が振り下ろされる前にアスロの刀を逆に押し返した。太刀をぎりぎりで回避したアスロは、空を切り裂いたルーウェンの太刀を横目で見ながら、逆に押し返したその刀でルーウェンの腹部に激しく一閃。
「豪火の竜撃!!!」
翼から爆炎を噴出しながらルーウェンを切り倒したアスロはそのままルーウェンを灼熱で包み込んだ。押し倒されたルーウェン地に叩きつけられ倒れ去った。アスロはルーウェンに刀を突きつけると、こう呟いた。
「………やっとお前の魔法の正体がつかめたと思ったら、勝負は終わってたな。」
「……あ、あの一瞬では、大気を読むことすらできなかったみたいだな……。」
ルーウェンは苦し紛れに笑いながら言う。彼は負けたというのに、なぜかうれしそうだった。騎士として、より強いものに巡り合えたのが嬉しいのだろうか?
それを見ていたフィオナには到底理解できなかった。
「覚えていろ…灼熱の化身……。次は必ずお前を打ち負かす!」
倒れているルーウェンを通り過ぎ、アスロはフィオナの手を引っ張る。フィオナの頬が少し赤くなった。後ろではまた大勢の騎士たちがこちらに向かって走ってきていた。
「ちょ……いきなり…。」
「姫様、急ぎましょう!さすがの自分でもこの疲弊では、あの騎士たちを相手取りたくありません………手加減ができなくなります!」
「あ、そっちなの!?…負けるとかじゃなくて!?」
アスロはフィオナを抱きかかえ、翼を展開し、大空へ飛び出した。彼女は、まだこの男の目的も、素性も、何もかもわからない。しかし、彼女に不安はなかった。言葉にできない安心感がアスロに見えたからかもしれない。
「やっぱりあんた飛べるんだ!?」
抱いていた疑問を投げかけたところで、そういや城から降りたとき飛んでいたなと思いだす。
OVER-DRIVEと姫との旅が始まった。
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