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ショーケースの向こう側  作者: 脇汗ルージュ
12/14

りんごのタルト

「今日はこれをください」


黒川さんが指差したのは、りんごのタルトだった。


「焼き色、いい感じに出てますよ。…あ、でも、少しだけ甘さ控えめかもです」


そう言うと、黒川さんは静かに頷いた。


「うちの子、りんごが好きだったんです。甘いより、ちょっと酸っぱいのが好きで。よく、切って冷やして出してやってました」


「そうなんですね」


菫は、タルトを包みながら手を止める。


「小さい頃は、お菓子作りも手伝ってくれて。…とは言っても、型にバター塗るくらいだったけど」


「でも、それって一番大事なやつですよ。私もバター塗り、最初はぜんぜん上手くいかなくて」


黒川さんが、初めて少しだけ目尻を下げて笑った。


「うちの娘も、角のところを塗り忘れてよく怒ってました。自分で怒ってたんですけどね、“もう!パパのせい!”って」


「……ふふっ、なんか、目に浮かぶようです」


包み終えたタルトを手渡すと、黒川さんは小さく礼をして、いつものように帰っていった。


その背中が見えなくなってから、菫はそっと小さくつぶやいた。


「ケーキの人の、ケーキじゃない思い出……なんだなあ」


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