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白の襲撃者  作者: 田中 遊華’s
シーズン2 Visitor from the Past

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95/307

2-37 旗を掲げてラッパを鳴らして

大同盟軍【一般情報】

天の国ソラウ・ソラが刃の国への侵攻を宣言したことで組織されることとなった多国籍軍。

龍の国、港の国、天の国の軍人が中心として組織された。

総指揮官は龍の国の官僚長で元軍総括の『トータス』という老兵。

天龍事変で活躍した白の部隊や大戦争で活躍したギガト隊の隊長などの猛者が揃っている。

なお、今回は大同盟として初の軍隊派遣であり、所属各国のモチベーションが高く、多くの食料品をはじめとする物資の提供が行われた。

その経済効果は数十億に登ると言われている。


パルとサラそして、大地の龍が一同に会してから1週間が経過した。

大同盟による刃の国侵攻戦。

その前線拠点となる龍の国にはこの短期間で天の国、港の国から派遣された多くの軍人が揃っていた。

加えて、これに伴って大量の物資の流入も行われており、龍の国の活気は最高潮を迎えた。

そして、それらの処理が落ち着きつつある今日、派遣された軍人向けの最終ブリーフィングが龍の国王城で行われていた。

「よーし。全員そろってんな?各部隊長は人員確認してくれ。」

マイクを手に全体へ呼びかけたのはトータスだ。

この場に集まった軍人はおおよそ100人前後。

かつての大戦争から考えれば各国が軍隊を派遣したのにも関わらず少ない数だ。

だが、その1人1人の戦闘能力はかつての比ではない。

総合力で言えばかつてのそれと遜色ないだろう。

軍縮の進む現代にこれだけの質と量が揃ったのは奇跡的ともいえる。

トータスは会場を見渡す。

遅刻者はいないようだ。

トータスはコンに視線を送ると、彼女は頷く。

それを確認すると再び会場に呼びかける。

「んじゃあ始めるぜ。今回の最終目標は刃の国の首都にある議場の制圧。ここは同国の総合指揮所として機能している。そこを抑え、風の国侵攻への橋頭堡とする。」

コンは端末を操作すると刃の国の議場や、周辺の地図が、トータス後方のスクリーンに表示される。

地図には首都への進路を塞ぐように赤い長方形で示された地域が3か所表示されている。

「作戦は2段階で行う。まず、赤い四角で示している地点、ここに設置された小規模拠点を制圧する。担当は龍の国第2班、天の国第1班、港の国第2班。」

トータスの声に該当者はそれぞれ頷く。

龍の国第2班はオルカを班長にドルフィン、バイソン、魔法小隊のウル3兄弟の6名。

天の国第1班は天虎士てんこじ第一小隊のマナブを班長とした10名。

港の国第2版はサムを中心とした特装課12名。

残りは本命である刃の国首都への本隊となる。

「明日、3班は同時にこの小規模拠点へ同時に奇襲をかけ、頃合いをみて本隊が首都への攻撃を行う。本隊の担当はパルとカイン。この2人が突っ込んで大型火器を潰し、脅威度の落ちた首都へ制圧部隊が侵入して議場を確保する。」

先陣を務めるパルとカインにはそれぞれハウンドとヴァンの使い魔がサポートに入る。

半自立型使い魔の利点を生かし、大型火器をはじめとする脅威度の高い目標への案内役とする。

ハウンドとヴァンの戦闘力はそれによって低下するが、2人は本陣の制圧部隊配属のためそこまで問題にはならない。

「民間人への被害は最小限にせよ。との通達が何度も来てはいるが、偵察部隊の話では民間人が義勇兵となっているとの話がある。加えて、大同盟としても退避勧告を行っている。よって本作戦開始と同時に刃の国に残っている全ての人間を敵対勢力と断定。義勇軍含め攻撃対象とする。」

花の国のような平和主義者から見れば軍人以外、義勇兵への攻撃は避けるべきと声を挙げたかもしれない。

だが、銃を持ち、軍人と並んでこちらを殺しにくる相手を差別することはできない。

釣りに出たものは『魚』を釣ることを目的とする。

そこでは『魚』を選ぶことを考えない。

釣りたいものはあっても、特定の種を狙うことは難しい。

それに似たものがある。

放った弾丸が誰を殺すのか。

それを選ぶことは難しい。

だが、『敵』を殺すというのなら非常に簡単な話になる。

無論、トータスはそんなところまでは考えていない。

ただ、反対する者が出るかもしれないとは思っていた。

だが、それは彼の勘違いだった。

ここに集まったのはごく一部を除き、大戦争の生き残りと言って差し支えない。

大戦争終盤、戦場には生まれたばかりのデザインベイビーが跋扈していた。

そして何より、最大の損害を与えて回った『ドラゴン』は十数歳の少女だった。

今更、自分が誰に銃を向けるのかを気にするような人間はいなかった。

上が敵と言え討つ。

そういう人種の集まりだ。

コンが空気を呼んでか端末を操作した。

スクリーンに無人戦車とゴーレムのデータが表示された。

トータスはそれに気付くと説明を再開した。

「予想される敵戦力は少数で運用可能な無人戦車と半自立型のゴーレムの配備が報告されている。兵士の数を補う必要のある刃の国としては妥当なチョイスだが、無人戦車については最新式の多脚タイプが多数確認されている。これは既存のものより走破性が高いだけでなく、射角の自由度が高い。懐に潜り込んだから安全というわけじゃないし、無人機である以上、特攻や自爆といった行動も想定される。くれぐれも注意は怠らないように。」

以上だ。トータスが締めに入ると、皆、眼の色が変わった。

最終のブリーフィングを持って覚悟を決める。

ここで決まらなければ話にならないだろう。

「今回は俺が総指揮官だ。やり方も龍の国のやり方でやらせてもらう。明日は0900(マルキュウマルマル)に合流地点αへ集合。パルちゃんとカインはちょっと話があるので残ってくれ。解散!」

その言葉に一部を除く場内の全員が立ち上がり敬礼した。

出遅れた一部は軍人ではないカインとリョーマだったが、慌てて立ち上がると敬礼を合わせた。


会議後、パルとカインはトータスの案内で別室に案内されていた。

そして待機していたシンゴからヤタ重工のロゴが入った箱を渡される。

「ヤタは笑いが止まらんだろうな。」

パルがそう言って箱を開けると中には2丁のショットガンが納められている。

「笑いが止まらないのは上層部だけですよ。我々下っ端は流れ弾におびえるだけです。」

シンゴはそう言って箱から片方のショットガンを取り出す。

「以前にニニギ君にお問い合わせいただいたショットガンの短砲身ソードオフタイプです。射程は落ちますが近距離での戦闘、特に市街地で出会いがしらでの発砲を前提とした調整を施しています。システム面はアギト-SWをベースに魔力プールを排することで軽量化、魔力弾頭を搭載することで2丁拳銃の要領で使用することが可能です。最新の多脚無人戦車のもつ傾斜装甲も5メートル以内であれば有効打になります。」

説明を受けたパルは残された方を手に取り、感触を確かめる。

シンゴの説目通り、同型の物に比べ軽量で砲身が短いため取り回しが効く。

散弾であるため、雑に照準を合わせても効果が認められる。

総じて、彼女が普段、携行している拳銃アギトより市街地を走り回りつつ損害を与えて回る今回の作戦向きの装備といえる。

既存のアギト-SWに炸裂ナイフ、そしてこのソードオフ・ショットガンこれがパルの装備になる。

加えて、衣装も新調された。

カインも箱を開けると、大きな布が納められていた。

「カインさんにはパルさんの衣装と同じ材質のマントを。剣をマウントするためのアタッチメントを追加してありますので今使われているものからそのまま交換できるかと思います。」

「感謝する。しかし、小生たちだけこのような装備を貰っていいのか?」

カインはマントを纏いながらトータスに聞く。

「気にすんな。作戦の要はお前たち2人がいかに素早く首都の脅威を排除できるかにある。そこに金をかけるのは当然といや当然なわけだ。」

カインは頷く。

筋は通っている。

「期待にこたえられるよう、全力でらせてもらう。」

初めての軍事作戦への参加ではあるが、カインに緊張は無かった。


翌朝、小規模拠点への攻撃メンバーを含む全員が、龍の国の北側国境付近に集結していた。

この場所は龍の国の魔力防壁の端ともいうべき場所であり、少しでもここから踏み込めば他国への侵攻となる。

集まった全員はその覚悟を目に宿し、危険さを孕んだ光を強く煌めかせる。

「作戦開始に先だってレイア女王からお言葉がある。聞くように。」

拡声器を通してトータスが声を張ると、全員の視線が場違いな少女に注がれる。

レイアはその視線を全身で受け止めながら、それ以上の気迫を見せるように胸を張る。

「此度の作戦に関して、私からいうべきことはありません。しかし、宴の用意は人数分、用意させました。食べ残すこと、また、食べそびれることのないように!」

生還を望むそれは、発破ではなく祈りのようだった。

そして、その祈りに答えるように雄たけびで答える。

レイアは一瞬、圧倒されたが、すぐさま、敬礼で返した。

これ以上ない士気の高まりを感じつつ、トータスはパルの背中を叩く。

龍の国伝統の出陣式はまだ半分しか終わっていない。

パルは一瞬、怪訝そうな顔をしたが、レイアと入れ替わるように壇上に立つ。

「旗を上げろォ!」

拡声器が悲鳴を上げるほどの大声に呼応するように各国と、大同盟の旗が掲げられる。

「まさか私たちがこれをやるとは…」

ママーは感慨深そうに呟く。

旗を掲げ、一番槍を担当する人間が発破をかける。

龍の国、伝統のスタイルだが、これまで敵国としてそれを見てきた彼らにとっては恐怖の儀式でもあった。

「我らこれより龍となり、肉を喰らい、鉄を飲む!!みなみな々(みな)!喰いそこなう事なきよう!食い足りぬことのなきよう!一番槍!このルビリアが全うさせてもらう!遅れることの無きよう!遅刻者には骨しか残ってねえぞ!」

パルの言葉に一同は更に声を大きくする。

いくぞ。そうつぶやいて、オルカはその雄たけびを背に受けながら装甲車に乗り込む。

声の止まぬまま、先発隊は出発した。

ここに大同盟による刃の国侵攻作戦が開始された。


次回は水曜日。

活動報告更新してます。


Twitter→https://twitter.com/yukks_sousaku?s=21

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