2-12 俺たちただの4人組
天使【未確定情報】
トラ教団の実働部隊として作成された人型兵器。
分類としてはデザインベイビーやクローンに近く、マイセンが主導で作成されている。
ベースにはトラ教団のトップが選ばれている。
教義に合わせ最初の成功例を7としてカウントダウンするようにナンバリングされている。
各天使のコンセプトは以下の通り。
第七天使 全てのベースとなるスタンダードモデル
第六天使 単独での大規模戦闘を想定した指揮官型
第五天使 第六同様の指揮官型。使い魔の展開を前提。
第四天使 第五同様、指揮官型。自身の戦闘能力を高めた前線指揮官モデル。
第三天使 対ドラゴンを想定した魔力捕食型。
第二天使 人体改造型。実質的に1.5世代天使。
第一天使 教団のシンボルとして作成されたフラグシップモデル。
連絡会の後、リエル、ラキエは以前にシュリーを招いた廃坑に集まっていた。
「ようやく行動が起こせそうですね。貴方はどうしますか?」
「さぁな。子守りでいいぜ。」
ラキエの問いかけにリエルは興味なさげに答える。
「心配には及ばんさ。私は白の襲撃者と話がしたいだけだ。シュリーと段取りは打ち合わせているよ。」
2人の前にリトが現れる。
「ならば麦の方はお任せしていいですね?私とリエルはバックアップと行きますか。」
「餌に食らいつくものなのか?相手はレイモンド・サイカーだろう?」
エルカの言葉にリトに追いついたシュリーが口を挟む。
「どうだろうな。私が思うにレイモンドという男は慎重なタイプじゃない。必要になれば迷いなく大胆な手を打つタイプだ。それに今の彼らには教団に近づく手っ取り早い手段としてシュリーとの接触があるというのも事実。大同盟として、ではなくあくまで彼の個人的な復讐か龍の国の独断調査としてシュリーに食いついてくる可能性は非常に高い。」
リトが答える。
シュリーは今ひとつ納得できない様子だが、
「まぁダメならそれまでか?」
と割り切るように呟く。
「気楽に行こうじゃないか。要は大同盟にパーシヴァルを消させればいいんだから。」
そう言ってリトは笑って見せた。
4人の出会いは2ヶ月前に遡る。
パーシヴァル・プルトの指示で各地の有力者を回る天使たちの行動ははっきりと分かれた。
プルトを崇拝するラキエ、グディ、ウエルは自警団やハグレモノに声をかけて周り戦力の直接的な強化を測った。
一方でリエルは砂の国、藁の国で戦闘を起こし『大同盟に参加させるきっかけを作った』。
ラキエは三賢人の内、存命だったリトの元を訪れた。
「トラ教団に興味はありませんか?」
「宗教の勧誘としては120点だな。異形の人。」
ラキエの第一声に皮肉で返すリト。
そして彼は一見、人に見えるラキエを『異形』と形容した。
彼の目には人工的に生み出された天使は歪んだ命に見えたのだ。
「まあまあそう言わずに、ね?宗教なんて大袈裟なもんじゃないんですよ。我々の目的はパワーバランスの制御ですよ。大同盟なんて作っちゃって、ますます大国の力は強まるばかり。」
「詭弁だな。それが戦争をやろうとする連中の行動かね?」
ラキエは手応えを感じる。
教団に否定的。
三賢人の1人が教団の対立姿勢に嫌悪感を抱いている。
それは無関係や肯定的な意見より遥かに『都合がいい』と感じた。
「そうですか?大同盟の力を正面から削ぐ。それが何かおかしいですか?」
ラキエはおどけて見せる。
「揶揄っているのかね?君がここにきた理由を考えれば、君のしようとしていることはわかるよ。」
「ほう。流石、老いても三賢人ですか。では答え合わせと行きますか?なぜ私が貴方を訪ねたのか。その理由とは?」
両者の目の色が変わる。
ここからが本番だとラキエは理解していた。
「簡単だ。教団は大同盟との対立を進めている。ならば必要なのは悪知恵の働く老人ではなく、山賊や野盗のはずだ。それでの君が私の元を訪れたということは別の目的がある。」
「素晴らしい!やはり貴方の頭脳は必要だ。」
「君の目的を聞こうじゃないか。」
ラキエは笑みを浮かべる。
リトの興味が自分に向いている。
ここで彼を納得させることができれば、彼らの進める教団への造反はより確実なものとなり得る。
「ならば語りましょう。私の狙いは全ての国を大同盟へ加入させること。それにより、パワーバランスという概念を消し去ること!」
「筋はいい。だか、足りんな。」
リトの鋭い視線にたじろぐラキエ。
しかし引き下がるつもりはなかった。
「不穏分子の抹消!及びそれへの誘導!教団がそれを成す。いえ、我々がそれを成すのです!その汚れ仕事によって教団の理念を達成させる!」
違うな。とリトは返す。
「君の言っていることは先の話だ。教団と大同盟の対立の先にあるべき話だ。今すべきではない。」
「だからこそ教団であり続けるのです。大同盟に勝ってもらい、我々の手で教団の理念を達成する。」
「そこまで見えていれば及第点ってところか。」
リトはここで初めて笑顔を見せた。
「貴方が協力してくれるのなら、私から心ばかりのプレゼントが…」
リトの教団合流から1月後、ラキエはリトを車椅子に乗せ、教団のラボにきていた。
「これは…いやはや…歪んだ命もここまで来ると個性に見えしまうな…」
2メートルほどのカプセルに浮かぶ少女の肉体。
それが3つ。
赤髪、黒髪、銀髪。
「第二世代天使。私から派生した再生能力に重きを置いたクローンである第一世代の戦闘データと回収されたルビリア・パルの血の解析データによってより強く再設計された天使。その肉体。」
ラキエの説明にリトは興奮した様子で答える。
「それは…つまり…人格は私ということか?!実質的な若返りじゃないか!?」
「キメラ兵士だのデザインベイビーだのやり出した時点で倫理観は犬の餌にもならなくなった。ならば…」
「行くところまで…行く…か。」
こうして、赤髪の肉体にリトという人格がインストールされ第二世代天使の1号機、リトが誕生することとなった。
そして残る2体の肉体については教団の本部地下にあるラボで今もインストールされる人格を待っている。
時は現在に戻る。
各々、それぞれの目的のために行動を開始していた。
獣の国を訪れることを決めたハウンド、ツスル、カインは明朝出発し、その日の夕方ごろ到着、翌日、会談となる。
教団は獣の国と大同盟の会談の当日に獣の国へと侵攻する。
最後にパル、レイモンドはシュリーを追って麦の国への移動を開始した。
次回は土曜日。
活動報告更新してます。
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