表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白の襲撃者  作者: 田中 遊華’s
シーズン1 Trigger of Catastrophe

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/306

1-49 決着

冷凍装置(人体用)【平均評価:2.8】

ヤタ重工のカタログに掲載されたりされなかったり担当者以外知らないようなマイナー商品をご紹介するコラム『ヤタマイナー〜あれ作ってるの弊社です~』。

今回は人体保管用冷凍装置をご紹介!

おひとりの体を収納することが可能な本商品は主に医療現場で活躍しています!

重体の患者さんを冷凍、冬眠状態にして病院まで安定した状態のまま搬送する運用がされています。

他にもご遺体をお葬式まで綺麗な状態でキープするといったことにも使われているそうです!

地味に便利な移動用車輪や魔力タンクで最大1週間の連続稼働を実現!

お求めはお近くのヤタ重工支店へ!


「もっとスピード出ないのかよ!」

「アクセルベタベタに踏んでるのよぉ!」

ハウンドと合流したシュンちゃんは龍の国への道を急ぐ。

焦っているのはすでに戦闘が始まっており、銃声や爆発音がかすかに聞こえて来ていたからだ。

ハウンドの頭には獣人になった時の名残か犬耳が生えていた。

この時の彼は気付いていなかったが犬歯も鋭くなっている。

10数年前に使った際にはなかった変化だが、その耳は敏感に戦場の音を聞きつけていた。

「見えたわよ!」

シュンちゃんの言葉よりも早く、それが見えていたハウンドは座席に立ち上がり、獣のような咆哮を上げる。

彼も意図したものではなかったが、戦場にたどり着いたという感情の高ぶりからか。

それとも、戦闘中の敵、味方へ己の存在をアピールしたのか。

どちらにせよ、何体かのディプタドは彼の方へ向かってきた。

「受け身取れるな。」

ハウンドはシュンちゃんそう聞くだけ聞いてツムジを使って車から追い出し、自分も飛び降りる。

着地をツムジが風のクッションでシュンちゃんを着地させる。

ディプタドの集団に突っ込んでいった車は衝突と共に爆発炎上する。

ハウンドは、戦場に降り立った。

「どこのテーマパークで遊んできたんだ?猟犬殿?」

「地獄ですよ。番犬ケルベロスを連れてきたんです。」

オルカの煽りに冗談で答えるハウンド。

そして、龍の国の防衛ラインにトレスフィエラが加わる。

その姿は灯台にいたサーペントの目にも写っていた。

「撤収してはいかがかな?」

背後からの声に、サーペントは驚き振り向く。

「君はあくまで天の国失敗時の保険。ここで死ぬ必要もあるまい。」

サーペントはやってきたエルカを睨むことしかできなかった。

「上陸済みのディプタドを自立戦闘モードに切り替えろ。我々は撤収する。」

この言葉をもって、天の国、龍の国を巻き込んだ戦闘は集結することとなった。

最後のディプタドが活動を停止したのがそれから2時間後。

龍の国、サーベルタイガーともに死者及び重症者なし。

歴戦の猛者達らしい横綱相撲と言えた。


守護の森に入ったドク一行だが、森は異様な状況だった。

木々が道を開いているのだ。

まるで彼らを迎え入れるように。

導かれるように進んでいくと森の中心付近の開けた場所に出る。

そこには滝があるが、二股に裂けるような形になっている。

これにより、パルが以前訪れた際に滝の裏に隠されていた洞窟があらわになっていた。

ママは車を停める。

「一応、私はここに待機してるわね♡戦場も近いし♡」

車を降りたドクとレイアは、冷凍装置に備え付けられた車輪を引きながら洞窟の闇に吸い込まれていった。


天の国王城の混乱は落ち着きつつあった。

ツスルとソラの人徳によるものでもあるが、混乱の原因であった教団の人間が死亡、ないし撤収したこともある。

カインは暴動鎮圧の際に負傷したとして病院へ運び込まれた。

彼は自刃することを望んでいたが、

『アホみたいなこと言うな。償いは仕事でしてもらうで。』

というツスルの一言にソラも同意したことでその場を収めた。

トータスがノーチラスに戻ると、レイモンドがブリッジで出迎えた。

「元気そうで何より、だよ。トータス。」

「そうは言うがパルはかなりまずい状況だぞ。」

トータスは手短に彼女の状態を伝える。

「信じるしかないんじゃない?」

信じるしかない。

無責任にも聞こえる言葉だ。

だが、他にできることはない。

神に祈るのではなく、彼女を信じる。

それが戦友としてできることだと。

そうトータスもドクもレイモンドも思っていた。

初めて会ったのは昨日だったはずだが、共にこの危機を乗り越えたレイモンドをトータスは戦友と認めていることに気付いた。

「そうやイーグルはどうした?」

トータスは姿の見えないもう一人のことを尋ねる。

「あぁ。無理やりにでも龍の国に行こうとしてたからドクが麻酔で眠らせてるよ。」

トータスの笑い声がブリッジに響いた。


天の国下層の廃倉庫にリエルは呼び出されていた。

相手は第7天使ラキエだ。

「どういうつもりだ?ラキエ。」

「どうもこうも。なんというか手を組みませんか?」

「はっきり言え。」

リエルの追及にリエルは少し考えた後、口を開く。

「今回の1件ではっきりしたのは天使と歴戦の兵士達相手では天使がかなわない。ということです。そしてエルカはそれにいち早く気付いた。」

「そういうことか。」

リエルの脳裏に編み笠の男たちがよぎる。

「そう。我々には圧倒的に戦闘経験値が足りない。エルカとサーペントはそれに気づいた。だから傭兵を雇うことにした。確かに我々は彼らのような戦場に慣れた人間には勝てないでしょうから。」

「なにが望みだ?」

真意を隠そうとしているのを見抜いたリエル。

その追及にラキエは笑みを浮かべる。

「いいですねぇ!貴方のその知性が好きなんですよ。私の望みは生存だけです。いやじゃないですか?生み出されて使えないとわかれば雑に消費される。なによりあのサーペントに使い潰されるのが嫌なんですよ!私は!」

「それが本音か?」

「もちろん!サーペントは確かに少しばかり頭が切れる。しかし、レイモンド・サイカーのようなホンモノの切れ者が龍の国側についた以上、勝負にならない。戦闘能力も大したものはない。そんな男に使い潰される!悲劇でしょう?」

そこまで聞いてリエルの心は決まった。

「お前の意思はわかった。とりあえず、エルカは連中に始末させるか。」

「あの男も…ね。」

教団の最奥に控える男の顔を思い出し、ラキエは静かに笑った。


天の国暴動事件は多数の負傷者を出しつつも終結した。

また、同日に起こった龍の国の戦闘は龍の国に入り込んだ野党を港小島の守備隊が撃退した。という強引なカバーシナリオがあてがわれた。

世間の注目が暴動による混乱を収めるべく初めて人々の前に出たソラウ・ソラの方に集中していたことも幸いした。

若き賢王。

センセーショナルな文言と共に彼の姿は世間を賑わせた。

そして、彼は龍の国復興支援を表明、そのトップに先王フレイルの娘であり、ドラゴの血を受け継ぐレイア姫を推薦する。とした。

この際にレイアの血統を証明するという文言のフレイルの命令書が発表されたが、これはトータスの持っていた白紙の命令書によるものだ。

さらにソラは世界に向け、地下組織『トラ教団』の存在を公表、その脅威への対抗策として大同盟の発足を宣言した。

そして、トラ教団によるテロで破壊された龍の国の復興は大同盟として最初の仕事であると表明した。

この一連の流れは『天龍事変』と呼ばれ、明確にトラ教団と大同盟という構図が生み出されると共に次なる戦乱の時代の幕開けともなった。


次回は土曜日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ