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白の襲撃者  作者: 田中 遊華’s
シーズン1 Trigger of Catastrophe

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20/306

1-13 追想

天の国【一般情報】

世界を形成する3つの大陸の内、最大の大陸であるサンヨウの中心に存在する巨大国家。

軍事、生産ともに世界最大規模であり、国土、人口も最も多い。

ヒロヨシと呼ばれる山を切り開いて作られており、行政機関のある上層、住宅街や市場を有する中層、工場や軍事施設の下層からなる。

龍の1体である天空の龍が死した山を切り開いている。

王政が現在も続いており、現在は建国者ソラ・ソライ直系のソラ・ソウテが治める。

また、龍の討伐に使用されたとされる剣を代々継承する剣術集団『天心』があり、天心最強の剣士が『剣聖』の肩書とともに宝剣を継承している。


これはある孤児ガキの話だ。

なに、気にすんな。

ただの昔話さ。

天の国ってのは世界最大の国だって言われてるが、中層は魔境だ。

行政区画の上層はスーツ以外着た事ねえようなエリートの集団でしっかり管理されてる。

逆に軍隊や工場のある下層は隅から隅まで整備されている。

商業的な農業ができないからな。

工場は特にしっかり管理される。

んで、中層。

いろんな奴がいる。

外国から夢を持って来た奴。

生まれも育ちも天の国の奴。

そして、行くあてのねえ孤児ガキ

奴隷として拾われて来た奴もいれば、行商のキャラバンに潜り込んだり、拾われたりしてこの国に流れ着いた浮浪児ガキ

天の国の中層ってのは人の出入りが激しい。

いや、増減が激しいって言えばいいのか?

夢破れた料理上手、歌自慢は乞食になるか、格安で外国人向けのホテルに雇われる。

女は娼館。

男は下層の工場。

そうやって部屋が空く。

だが、次の週末には新しい人間が入ってくる。

孤児ガキはゴミ漁りと小銭拾い、後は盗みとか器持って物乞いみてぇに観光客から金をもらう。

そうやって生きるしかねえ。

明るい町も一歩道を間違えれば、生ごみみたいな臭いの孤児ガキのたまり場。

死んでも誰も気にしねえ。

死体はゴミ拾いの乞食が持って行ってたよ。

家畜の餌とか狩りに使うんだと。

そう。

そこにいた。

いつだっけか。

歳は覚えてねえ。

ただ、生きる術は今でも覚えてる。

朝、日の出とともに起きる。

寝床は市場の裏、朝の競りでの売れ残りが捨てられてるからな。

砂がついてても気にしなかったさ。

だが、間違えてヘンなもん食ったら大体助からねえ。

浮浪児ガキには病院にいく金も、薬を買う金もなかった。

ついでにゴミを見極める知識もな。

腹が痛くて何度か眠れねえ日があったよ。

昼には市場の端で観光客から金をもらう。

器をおいて、物欲しそうにみる。

汚いガキを買うような奴は中層にはいない。

でも観光客は余った小銭をくれたよ。

それでも大した額にはならねえ。

夜にはその足でパン屋に行く。

格安で余ったパンを譲ってもらうのさ。

今思えば、タダじゃなかったのは、あの店主もどこかで浮浪児(オレ達)縁を斬りたかったんだろうな。

金がなければ譲ってもらえねえ。

紛争で片足を吹っ飛ばされた奴が店主に泣いて頼んでも話を聞かねえどころか憲兵呼んでたからな。

そんで金曜には決まって娼館にいく。

女だしな。

食い扶持稼ぐには体売るしかねえ。

いや、男もいた。

そういう趣味の客もいるにはいたからな。

相手は、両手の指で歳を数えられるような子供を犯すのが趣味の変態ども。

あいつらには、性別も関係ねえってのも多かった。

声を出せば喜ばれる。

声を出したら怒られる。

声を出さなければ喜ばれる。

声を出さなければ怒られる。

理不尽。ってのを知ったさ。

部屋にはいかがわしいおもちゃもあった。

歩けなくなることだってあった。

一番ひでえのは鞭だ。

ショーじゃねえからよ。

素人が加減なく振り回すあれは、相当痛かった。

皮膚が裂けて、背中から、血流してよ。

ひいひい泣きながら謝るんだよ。

そしたら、また鞭を打たれる

何度も、何度も。

あいつら笑ってたんだよ。

ゆがんだ奴ほど上客だ。

地元じゃ楽しめないからってわざわざ天の国に来る奴までいた。

それでも娼館に行かないって選択肢はなかった。

一晩遊ばれて、それでもらえる額は二束三文。

それでも安全な水を飲むにはそうするしかねえ。

娼館での仕事の後は川で体を洗う。

そうやって何年か生きてたら、ある日、娼館に軍人がやってきた。

軍服着たまま来たから珍しくてよ。

控室のカーテンを少し開けて覗いてたんだ。

テーブルには一晩働いてもらうぐらいの額の金。

子供を買いたい。って言ってて、1人選ばれるんだと思ってたら、全員だった。

15人だったかな。

罪人みたいに手を繋がれてゴーレムに引っ張られて、そんでトラックに載せられる。

説明なんてない。

みんな不安がってた。

トラックで運ばれてきたのが龍の国。

そうだ。

あの施設。

トラックを降りてすぐに白衣の男が全員に紙を配った。

当時は字が読めなかったからよ。

なに書いてあるかわからなかった。

男が言うには簡単な検査に協力してほしいってな。

個室と3食出してくれるってんだから、誰も疑わなかった。

字は書けないって言ったら指印でいいって言われてな。

すぐに印を押したよ。

それで、地獄の始まりってわけだ。

最初は採血とか、点滴とか、投薬とかそんな感じ。

体に変化はなかったな。

ただ、しっかり飯を食えたから健康にはなった。

今思えばそれが目的だったのかもな。

2か月くらいしてから薬の種類が変わった。

眠たくなる薬らしくて、飲んでほどなくして眠ったよ。

起きたら体が動かねえ。

近くにいた白衣の男が、薬の影響だ。しばらく寝てればいいって言ってた。

だが、そのころからだ。

眠くなる薬の後は体に手術の跡ができてた。

体に変化はなかったけど、傷が増えるのはいい気はしねえ。

そんな生活が一年くらい続いた。

途中で死んだ奴も多かったと思う。

だんだん飯の量と質がよくなったからな。

ある日、最後の検査を受けることになった。

いつもの白衣の男がそう言ってた。

嘘じゃなかった。

ただ、問題は内容だ。

右手の甲に注射針を刺されて真っ黒い液体を注がれる。

痛いっていうか。

そうだな。

血管を掃除用のブラシで磨かれるような異物感と痛み。

それが右手からだんだんと全身に回っていく。

おかしくなりそうだった。

麻酔?そんなもんなかったさ。

多分、途中で死ねば次の子供ガキに変えるためだろうな。

信じられるかよ。

やったのは手術室じゃなくて防音室だぜ。

悲鳴が外で待ってる奴に聞こえないようによ。

叫んださ。

痛いとか言えなかった。

叫ぶだけ。

ベッドに拘束されたままひたすら叫んでいた。

白衣の連中がその時なにしてたかはしらねえ。

多分データを取ってたんだろうな。

どれぐらい泣き叫んでいたかわからなかった。

黒い液体が入ってくるのが止まった。

そして針を抜かれて拘束を解かれた。

それでも痛かった。

体の内側を巨大な蛇がのたうち回ってるような異常な感覚。

床に転がりながら泣き叫んでいたら何かが切れたんだよ。

こう。プツッとな。

後のことは覚えてねえ。

気絶してたんだよ。

次に気が付いたときは自分の部屋。

鏡を見ると黒かった髪は真っ白になった。

目もそうだ。

緑だったのが真っ赤になっていた。

それがオレの真実だ。

そのあと、ドクがやってきて一緒に暮らすようになった。

お前と初めてあったのはその半年ぐらい後だ。

なんだよ。

そんな顔するなって。

お前がオレの過去に興味を持ってたらしいから話してやったんだぜ。

あぁ。

悪かった。

今日のオレは確かにちょっと感傷的だったな。

そう落ち込むな。

お前が悪いわけじゃねえ。

もちろんドクもそうだ。

ドクも研究を悪用された被害者だ。

それに、あの時娼館にいたから。

研究に巻き込まれたから。

オレはこうして名前も家族もある。

もちろん、お前という戦友ともだちもな。

だからお前が思いつめるんじゃねえ。

オレはちょっと夜風に当たってくる。

どこにも行きやしねえよ。

あぁ。じゃあ、また明日な。

おやすみ。ハウンド。


次回は土曜日

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