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白の襲撃者  作者: 田中 遊華’s
シーズン1 Trigger of Catastrophe

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18/306

1-11 ルビリア・サフィア

龍閃りゅうせん【未確定情報】【極秘事項(廃棄済)】

龍の国、最強の兵士であるドラゴンの用いる魔法の総称。

無尽蔵とも言うべき魔力を大量に使用するためコピーすることはできない。

最大の特徴は術式を用いない点にあり、ドラゴンはいつでも自身の意思で発動できる。

巨大な龍や無数に広がる光線、巨大な掌といった目撃証言から、光属性の魔法ではないかと言われているが、術式を前提とする魔法のそれと一線を画する特異性から否定されている。

なお、通常時はその威力を7割程度に制限されており、最大出力時は翼が出現すると記録されている。


トータスの鉄拳、パルの龍勁を受け、通常であれば死亡するに足るだけのダメージを受けたはずのウリエは、上半身の衣装をちぎるように脱ぎながら、落ち着きを払った声で、

「さすがです。ここまで再生に時間がかかるとは。」

トータスは依然としてきょとんとした顔をしている。

「いいだろう。数はこっちの方が上だ!」

ハウンドとパルがトータスの前に立つ。

彼は2人の肩に手を乗せ、落ち着け。と言い、2人を下がらせる。

「獲物を横取りするんじゃあない。これは俺の喧嘩だぜ。」

ゆっくりと進みながらシャツを脱ぎ捨てるトータス。

あらわになった肉体は衰えを感じさせない。

さぁ、続けようか。指を鳴らしながら悠然と進むトータスの進路を遮るようにパルが立つ。

「ちょい待て!見ただろうが!テメェのパンチじゃ…」

パルの説得を遮ったのはウリエだった。

ひと蹴りで接近し、パルの脇腹へ蹴りを放つ。

パルはそのまま横に飛ばされ咳き込む。

トータスとウリエ。

互いの渾身のストレートが交錯せんとする瞬間。

魔力の壁が2人の間に出現する。

拳の進路を塞がれたために2人の動きは鏡合わせのように固まる。

「おうおうおう!!どいつだぁ!うちのかわいい妹を吹き飛ばした阿呆はよぉ!」

呼吸の落ち着かないパルは呟くように、サ…フィア…。と声の主を呼ぶ。

ルビリア・サフィア。

龍の国海軍のNo.2であり、『オルカ』のコードネームを持つ女傑。

「これは…面倒なのが出てきましたね。」

ウリエは彼女を睨みつける。

「うるせぇぞ、オカマ。」

オルカの体から炎が出ているような錯覚を覚えるハウンド。

オルカ、トータス、ウリエは互いの拳が届く距離だ。

「おい。あそこで伸びてるヤツ。やったのはクソガメとオカマ…どっちだ?」

その一言にウリエだけでなくトータスも警戒する。

答え方次第では戦闘は避けられない。

逃げようとも地の果てまで追いかけてくるだろう。

そんなことを予感させるような怒りを肌で感じる2人。

「こいつ」「トータスさんです。」

示し合わせたようだった。

2人はお互いがパルに危害を加えたと宣言する。

ウリエが舌打ちをしながらバックステップで距離を取ろうと膝に力を入れた瞬間、右側に立っていたオルカのムチのようなローキックが炸裂する。

視線がオルカの目から離れない。

その目は怒りを超えて殺意を感じさせるほどだ。

激痛に顔を歪め、膝をつきそうになる。

それを許さなかったのは、天使としての誇りではなく鳩尾に叩き込まれた衝撃だった。

トータスのボディブローは背骨を砕かんとせんほど深々と突き刺さり、そのまま2、3秒の空中歩行をウリエに与える。

今度こそ膝をつき、体を捻り、逃れようとする。

だが、位置が悪かった。

風切り音が聞こえてくる。

顔が、目が、その正体を捉えることはなかった。

回転ノコギリのようなオルカの蹴りは、直撃した左目を抉りだす。

体が半回転してうつ伏せになるほどの衝撃。

立ちあがろうとするが、右手を地面に置いた瞬間、手の甲に氷の杭が打ち込まれる。

「『おいた』はそこまでにしてもらおう。」

ハウンドは手首や腰などの関節に杭を打ち込む。

お前には聞きたいことが山ほどある。クロガネの刀身をウリエの首筋に当てる。

「まず、お前らはトラ教団の指示で動いてるのか?天使は何人いる?その再生能力はどうなっている?お前らは死ぬのか?何故ここに来た?」

再び矢継ぎ早の質問攻めだ。

まあまあ。とトータスが割って入る。

「とりあえずだ。何しに来たのかね?BBQか?」

笑顔で語りかけるが、警戒は肌で感じるに十分なほどだ。

「あ…挨拶ですよ。あなた方とは…長い付き合いになりそうなのでね…」

ウエルは余裕そうな当初の態度を崩さずに答える。

「猟犬殿の疑問にもお答えしましょう。我々は7人で組織された導きの集団。それが天使です。」

ウエルとは異なる声にウエルを除く全員が振り返る。

フードをかぶった人物が、いつの間にか、彼らの後方に現れていた。

「テメエも天使か?」

起き上がっていたパルが、アギトの銃口を向ける。

「ドラゴン、あなたのそれは私には通用しませんよ。とりあえず…」

フードの人物は右手をゆっくりとウリエに向ける。

オルカとパルはそれを止めるべく動いた。

オルカはその腕が攻撃のそれと判断し、蹴とばすことで照準を外そうとする。

パルは狙いをつけていたアギトを発砲した。右は頭を。左は心臓を。フードの人物の右手側から撃ちぬこうとした。

そのはずだった。

しかし、何かがおかしい。

弾丸はまるで吸い込まれるように何処かへ消えた。

オルカはバランスを崩した。あるはずの手ごたえがない。

空回りした自分の足は彼女のバランスを崩し、反射的に距離を取った。

鍛錬に裏付けられた動きだ。

パルもオルカもあっけに取られる。

「どんな手品かな?」

トータスには先ほどの笑顔はない。

ハウンドは状況の確認に時間がかかった。

先ほどまで自分のすぐそばにいたウリエがいない。

刀身となっていたクロガネも警戒していたはずのツララも感知できていない。

「手品はタネがわからないからこそ…」

誰も油断などしていなかった。

だがいつの間にかフードの人物はトータスの目の前にいた。

だからこそ面白い。驚く事しかできない一同をあざ笑うかのように言う。

舌打ちとともにローキックを放つ。

かつて、この距離で銃を突きつけられたことのあったトータス。

その引き金よりも速く、相手の足を粉砕したローキックだが、オルカと同様、その蹴りは素振りのように感触がない。

笑い声。

「ハウンドッ!」

ハウンドはその声を聞き、反射的に伏せる。

後ろにいる。

その事実はパルの迷いのない発砲で把握する。

「無駄ですよ。」

弾丸はやはり、虚空に消える。

外してはいない。

「後、なんでしたっけ?死ぬのか?でしたか。そうですね。不死身といえば不死身ですね。」

そんなはずはねえ。パルは無駄とわかってもなお、銃口を向けたまま反論する。

「前のグディはあなたが殺したんでしたっけね?今は代わりが来ていますよ。」

「7人揃ってなにがしてぇんだ。」

パルの言葉は質問というより、事と次第によっては許さない。という脅しだ。

「それは今、語ることではありません。トラ神様の御心はその目で見れば良いのです。」

ゆっくりした動きでフードをとる。

バカな。トータスは狼狽える。

他のものもどこかで見たような感覚を覚える。

竜の返り血を受けて染まったと言われる赤い髪。

肖像画の人物。

「私は第1天使エルカ。質問されそうなので答えておくと元の名前はドラゴ・ドライム。初めまして。我が子達。」

そして。と言いエルカは左手の人差し指をトータスの邸宅に向ける。

その先には腰を抜かして怯えるトータスの孫、ケンジがいた。

皆、走り出す。

「また会いましょう。」

閃光。

パルは咄嗟にケンジを庇う。

ハウンドは声を上げることすらできなかった。

炸裂音。

「貴様ぁぁぁぁッ!」

トータスの振り返りながらの手刀は空を斬る。

「パルッ!」

ハウンドが駆けだすとオルカは、心配ねえよ。と止める。

土煙の向こうには一枚の魔力防壁。

パルとケンジはその奥にいた。

引き金を引くより速く防壁を生成するオルカの技術。

絶対防御。

それが、サフィアがコードネームを名乗る所以でもある。

「泣かなかったな?いい根性してるぜ。」

パルはケンジの頭をなでる。

今にも泣き出しそうな顔は、恐怖よりも、安堵からくるものに変わっているようだ。

「どうやらトンデモねえ連中に目をつけられたらしいな?」

トータスはハウンドに声をかける。

ハウンドは柄をしまいながら、

「戦うしかないですよ。誰であっても。」

女王のために戦うと誓った。

相手が神であったとしても。

覚悟が迷いを消してくれる。

ハウンドの目は、トータスが見たこともないほど気力に満ちていた。


次回は土曜日

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