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白の襲撃者  作者: 田中 遊華’s
シーズン1 Trigger of Catastrophe

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1-6 穂先の森

龍の国の軍隊(りゅう-くに-ぐんだい)【一般情報】

龍の国の防衛と侵攻を行う機関。

陸軍と海軍があり、全軍を軍部と呼ばれる事務機関が管轄する。軍部長は元陸軍のトータス。

空軍も龍歴150年頃まで存在したが、領空を覆う防壁の進歩と共に縮小。現在では海軍に統合される形で解体されている。


潜水艦は艦の周りに海水を取り込むことで沈み海中を航行する。

ノーチラスの場合は、船底に2基、ブリッジ直上に1基、艦上面後方2基の防壁ユニットでそれを行う。

まず、上面後方の2基がヴェールのように二重に防壁を展開、続いて、船底の2基のうち、1基が規定の間隔で防壁を展開し、第五層に搭載されたポンプが海水を隙間に取り込む。

もう1つは、さらにその上を覆い、艦の周りの二重防壁、海水、二重防壁となって潜ることになる。

ポンプの都合上、潜行と浮上にはそれぞれ、2分ほどかかる。

浮上の際は逆に防壁を解き、ポンプを空にすることで、浮上する。

二重の魔力防壁は耐圧も兼ねているが、最低でも艦上面の1基と船底の1基、ポンプが生きていればそれなりに潜ることは可能になる。

パル(ドラゴン)の解放、白の部隊発足、装備受領と慌しかった前日から一夜明け、ハウンドはノーチラスのブリッジで自分たちの拠点となる船について講義を受けていた。

「ブリッジの上にもあるんだったな?」

彼はメモを取りながら聞く。

「そちらは戦闘用の防壁です。深海での戦闘を想定して、航行時は使用しません。」

ハウンドは、そうか。と答え、今、潜れるか。聞いてみた。

体験に勝るものはない。

マザーの解答は、可能ではあるが念のため無人でも実施をしたい。というものだった。

ハウンドは礼を述べ、大体、わかったよ。とマザーの講義を締めた。


2時間ほど前、ブリッジに集まった面々に、ハウンドは簡単な指示を出していた。

パルには陸軍の設備を使用してのリハビリとアギトのテスト。

ドクにはノーチラス、マザーの調整。

ハウンドはマザーによる船の講義。

何もないようで、無数のタスクがあるような感覚をハウンドは覚えた。

そもそも彼は陸軍の人間で潜水艦の指揮など学んだことさえなかった。


3ヶ月という時間はあっという間だった。

特段のトラブルがなかったことも大きかったが、窓のない船での生活は時間感覚を狂わせているようでもあった。

ハウンドが不安視していたパルの動きは、訓練用のゴーレム相手とはいえ最強と謳われたそれは衰えることはなく、至近の1ヶ月は知識面でのブランクを取り戻す時間として、ハウンドやマザーからの講義に当てられた。

準備の傍ら、細やかな機能の改修も行われ、ノーチラスとパル達の直線距離からおおよその位置を割り出す機能をマザーに搭載したり、インカム間での通信機能なども実装された。

最低限の準備はできた。とハウンドは思っていた。

女王フレイルからの指令を受ける当日、時間通りに3人はブリッジに集合し、待機していた。

モニターにフレイルが映し出される。

彼女の耳にはパルとハウンドの持つインカムと同じものが装着されている。

「時間ですので、これより任務を通達します。」

パルは静かに頷く。

「龍の国の西側にある麦の国との境界地帯。俗に言う穂先の森ね。そこに最近、非正規の軍隊崩れがたむろしているの。」

説明に合わせてマザーはモニターに地図を出す。

「今回の任務はそこにいる逸れ者の始末。規模としては大きくないけど、場所が場所なだけにあなた達に依頼します。」

麦の国は龍の国と同盟関係の小国で、文字通り麦を始めとした農作物で栄えた国だ。

麦の国の軍隊は侵略に対する自衛力という面が強く、近年、問題視されている非正規の組織に対して消極的な対応をしている。

本件も、そんな麦の国の上層部からオフレコで持ち込まれた案件だとフレイルは言い、さらに続ける。

「目的は殲滅と対象の戦力と練度の調査よ。」

付け加えられた注文にパルは、面倒なことを、と悪態をつく。

「トータス軍部長からの注文よ。手段にはこだわらないけどデータをとるいい機会ですって。」

面倒だと感じたのはハウンドも同様だった。

単に殲滅であれば奇襲が有効な手段となるが練度を把握しろとなれば相手に被害を出さずに攻撃し、準備の整った状態で接敵することになるからだ。

ハウンドは、手段を問わないのであれば、と前置きして、

「ノーチラスから艦砲射撃を実施、その対応をパルに確認させてからパルによる殲滅を行うという流れでいかがでしょうか。」

彼の提案にフレイルは、問題ないわ。と答え、彼女の執務室にあるPCを操作する。

「作戦開始は3日後、連中の情報は陸軍の哨戒部隊からの報告書があるからそれを確認してちょうだい。」

マザーが、資料を受け取りました。と反応する。

「確認されている戦力は、20人ほど。出身は不明。ゴーレムも複数確認されています。」

と、資料の内容をかいつまんで報告し、書類に添付されていた対象の予測展開図を出す。

中央に組み立て式の簡易兵舎、武器庫と思しきテントが東側に2つ並び、西側には小型のトラックが2台停めてある。

「魔力防壁については報告書にはありません。また、最新の探知情報からも報告されていませんのでハウンドの言う戦術に問題はないものと判断します。」

マザーは流れるように説明していく、準備期間を経て大きく変わったのはマザーの会話能力も含まれる。

「戦術面はまるっきり素人だからお任せするわ。トータスも遠距離砲撃によって藪を突くことになるって言ってたからその方向で進めてちょうだい。」

フレイルはハウンドが頷くのを確認して通信を切った。

ハウンドはドクとパルの方へ向き、

「聞いての通りだ。単純な攻撃ではないが俺たちなら問題ないだろう。出航は明日とする。マザーとパルはここで俺とタイムスケジュールの調整。ドクは火器システムの最終チェックを頼む。」

ドクは、承知した。と答え、ブリッジを出る。

パルも、了解。と反応し、椅子の背もたれに寄りかかる。

およそ3時間後、ドクが作業を終えてブリッジに戻った時にはパル達の打ち合わせも終了していた。

予定通り、海上のノーチラスから敵拠点の外周に指定した損害の出ない程度に砲撃。その後、パルによる単独殲滅となった。

パルは事前に二輪車で拠点付近に待機、砲撃に対する敵の反応を確認し、襲撃を行う。

大方の動きをハウンドから説明されたドクは、火器システムと火器本体は問題なく稼働するとハウンドに報告した。

ハウンドは報告を受けると、

「それじゃあ解散。24時間後に出航する。」

と言い、立ち上がった。


次回は水曜日

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