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「先生〜、入りますよ〜?」
無断ではいると怒られる事は過去の過ちから知っているから恐る恐る家に入る。
スンスンと鼻を鳴らして匂いを感じ取る。
人間の中には才能を持ったものは多い。才能という言葉は嫌いだ。あたかも天に選ばれた幸運な奴という風に取れてしまうから。
その才能を補える唯一が魔法だ。
結奈は先天的には何も無い女の子だった。
ただ少しだけ鼻が利くその程度。そこに魔力という血液みたいな物を体に刻み、流し、1種の才能のようなものに仕立てあげた。
もっと別の言葉を当てようとすれば当てれるだろうが、便利だからか使い続けられる。
シークレットの部屋。そこは凡そ魔法使いらしからぬ普通の部屋だ。しかし、何時もあるものがそこには無い。
「血清の魔法が!」
フラスコが無い。患者の手術は今日の午後だ。
「殺されたっ!?証拠が無い……でも……匂いだ」
シークレットがもう持ち出して手術の場所へ行っただけかもしれない。でも、でも!知らない人間の匂いがする!