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「フラスコがあるだけね。道具を介さない優秀な魔法使いみたいね」
「では、死体だけ運びますか?」
「そうね、解析班に渡して終わりにしましょうか。お疲れ様」
「いえ、私は何も………」
部屋を見渡すも魔法の道具らしきものは無く、科学で使うフラスコが3つだけ。
他にそれらしいものもないし、それらを回収して死体と一緒に解析班に渡せば今回の任務は終わり。
朱葉は労ってくれるが、何も出来なかった。
もしかしたら、未だに殺しを躊躇してしまう欠陥品に気を使ったのかもしれない。
育成組織では優秀な成績だとしても実戦では無能。悔しくはある。東京に居るのに他地方に飛ばされるのも時間の問題かもしれない。