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「申し訳ありません」
路地裏を走りながら凛が言う。
走る足は止めない。握りしめた手も離さない。
凛は今、危うい。
手を離したら止まって死にに行きそうだ。
私はそれは望んでない。
「何対して謝ってんの!」
「……分かりません」
煮え切らない態度が腹立つ。
こんなに走ってるのに息も切れない身体能力にも腹が立つ。
お前は隠し事ばっかだなと。
「はぁ、はぁ……っ。マスターとはぐれた、けどっ、場所は追える」
「……私はどうしたらいいかな」
「自分で考えたらっ!?」
ウダウダとウジウジと!自分の意思をもてよ!
チラチラ見るな!
決めて欲しいならそうしてやる!
「あーもうっ!!私と来い!!」
「……ッ!はいっ!」




