ラスマンド侯爵。
身勝手ながら交信……じゃなかった更新させていただきます。では。
あ~~皆さん、ご存知だとは思いますが第2の人生ヴァンパイアに転生いたしました”雅 煌太”こと、リュードです。元の世界じゃ、しがないオッサンサラリーマンで人生これで終わりなんだろうな……と思っていた矢先に、いきなり異世界に転生?まして人間ではなくヴァンパイアですよ、驚きの連続です!
ただ、この世界でもぽっちなのかと思っていたらあれよあれよと僕が出来てしまって……。
その後成り行きで色々とありまして、ラザルドと言う街の再興の為に僕達の手を借り、動き出した所なんです。
私と元騎士団長のルージェ、白狼女のアリシアで街を再興する為の場所を探しに。宝石商のバルジオと魔族で武具屋を営むサリーナが資金の調達に。二手に分かれて行動に移したんです。
私達は何とかエンルージュの樹海で拠点となる場所を見つけました。そしてバルジオ達の方は……。
「さて、次はラスマンド侯爵の所だな……。」
二つ目の宝石を売るために、次の訪問地をバルジオは口にしていました。
「ラスマンド侯爵とも、繋がりがあるの?」
サリーナが、意外とばかりにバルジオに聞き返します。
ラスマンド侯爵はハラル国の隣の領地に居て、国王の親戚でもあります。いくら商売と言えど、高額の取り引きなので反感を買って逆に捕らえられてしまわないかと心配でもあります。
更には国王の耳に入り、買い取ってくれるならまだしも捕らえられて没収でもされたりしたら……いや、バルジオの事です切り抜けてくれるでしょうけど……。
「うむ、実は侯爵とは遠縁になるんだよ。時々うちの店を使ってくれる事もある。」
「ちょっと待って、親戚だなんて初耳だわ。でもどうしてそれなら助けてくれないのかしら?」
確かに……繋がりがある割には、連絡も救助も来てないんじゃあ……?
「それが、国王から手出し無用となったそうなんだ。相手がヴァンパイアの貴族だから事を構えたくなさそうなんだ……。」
「…え?だってルージェの騎士団を派遣してたじゃない?」
「うむ、一応そうしないと国の威厳に関わるとでも思ったのだろう。大義名分と言う訳だ。」
「……ふうっ……、つくづく貴族さんは……って事よね。」
サリーナが肩を竦めて飽きれた顔をしていました。
「そうだな、だが良い面もあったりするから、全てが駄目とも限らんぞw」
ニヤリと笑みを浮かべてサリーナを見るバルジオ……。
「ふ~ん、何か方法がありそうね。」
サリーナもバルジオに考えがありそうなので、興味津々になってました。
「ふむ、実はな…………。」
何やら2人でないしょ話をしてます。私も入りたかったなぁ……はっ、失礼しました。こっちは任せているので、私が割り込む訳にもいきません。まあ、2人を信頼しているので心配はしてませんけどね。
丁度その頃、ラスマンド侯爵の所に国王からの使者が来ていました。執務室で使者から手紙を受け取り、内容に目を通していました。
「なっ!ラーウッド男爵が倒されただとっ!い、一体何者なのだ男爵を倒したと言うのは………?」
侯爵は目を疑っていました。ラーウッド男爵は優しい口調に甘いマスクでしたが、裏腹に猟奇的な面を持った手練れでヴァンパイア貴族……彼に勝てた私も疑ってます、まず2度目は無いよなぁと……。
椅子に座り机の上で手紙を読む彼は、黒髪のオールバックに髭を生やし、確かに貴族の正装……いや、普段着(公務用)を着た2枚目の男……それがラスマンド侯爵。
武人寄りで、名の知れた武将でもあります。
民には手厚く、民からも信頼されている人物だそうで密かに国王よりも人気がある様だと、後でバルジオ達から聞きました。バルジオの親戚でもあると言うのですから、信頼度は確かにあるでしょう。
それでも、宝石が売れるかどうかは別の話なので侯爵がどう受け止めてくれるかによるでしょうね。
「なっ!?倒した者が、同じヴァンパイア……だと? これはどう言うことだ……?」
侯爵も訳が分からない様子です。ただ、手紙の内容からすると男爵がラザルドの街を襲っていたのを止めに入った者が居たと……それもヴァンパイアであったと書かれていた様です。あ、もしかしてその情報って…まさか……ねぇ……。
「それで、陛下より侯爵様にも警戒を怠らぬ様に……との事です。」
使者は、言伝てを伝えて国へと戻って行きました。
まあ、彼は詳しいことは聞かされてはいないでしょうけどね。
「…ふうっ、つくづく悩みが尽きない事だらけだな……。」
「どうされますか?ラスマンド様。」
「ヒューイか……そうだな、確かこの後バルジオが来る予定だったな。何か詳しい情報を知っているかも知れん……よしヒューイ、密会の準備をしろ。」
「密会……ですか?」
何故?と言いたそうな面持ちで聞き返しています。
「そうだ、バルジオとの面談を秘密裏にするのだ。どうも本家はまだ何かを隠しているようで引っ掛かる。だからバルジオから話を聞き、その上で国に報告するかどうかを決める。」
「成る程…分かりました、ではその様に手配を……。」
「頼む。」
侯爵の側近である、ヒューイ宰相が部屋を後にしていました。彼は黄緑のストレートなロングヘアで、優しい顔立ちをしています。しかし、戦いになれば侯爵の右腕と言われ、かなりの手練れだそうです。あの……仮に私が狙われる事になったらどうしよう……怖っ!
…と、それぞれの思惑が絡んだ秘密の面談が始まろうとしていました……ってあれ?宝石の売買じゃなかったでしたっけ?
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「何だあれは……?」
遥か上空から樹海の中を見る2人の者の姿が……。
2人とも背中から立派なコウモリの羽根を生やし、ホバリングで上空に留まっています。
1人は女性で美人です。1人は男性で白髪の年配者の様ですが、スーツ姿で背筋が良く白髪でなければ年配者に見えない感じの男性でした。
彼等は滝の傍に造った私の丸太小屋を見付けてそう言葉を漏らした様で。
大した出来じゃないのであんまり見ないで欲しいです、恥ずかしい……。
「どうやらあの小屋の様ですな、いかがなさいますかお嬢様。」
「フンッ、樹海の中に小屋を作る様な奴だ。警戒もしておろう。我の魔力に気付くかどうか試してやろう。」
その女性が魔気と呼ばれる気を放ちます……かなりの大きさ……明らかに強さがうかがえます……。
「フンッ、黙りか……。」
私達がなんの反応を示さなかったので、無視をしていると誤解されているようです。
彼女は地上に降り立ち、更に魔気を強めに放ちます……近くに居た小型のモンスター達が逃げて近辺に居なくなっていました。上位種が現れたのだと分かっているようです、強力な広範囲の魔気……耐性の無い人間ならば気絶ものでしょう。私も近寄り難い……。
「ほう、これでも我を無視するか……大した度胸だ。ならばその下手な作りの小屋ごと消し去ってくれよう、覚悟せよ。」
彼女は腰からバトン位の棒を持ち出し前に出します。するとあれよと変形をして大型の鎌の形となって、黒く光り輝きました。それを両手で持って腰を低く構え、刃に魔気を溜めてます。
丁度その時です。私達が戻って来たのは……。
「な、何あれ?」
「敵か?」
「いや、まずい!その前にあれを止めないと小屋が壊される……ちょ、ちょっと待った~~!!」
私は飛び出して小屋の前に立ち爪の盾で攻撃を止めようと構えます。折角の小屋を破壊されてはかなわない、こんな素人で下手な小屋でも建てたんですから壊さないで欲しい……。
「む……何と、中に居た訳では無いのか……。」
……はい!?まさか居ると思って攻撃をしようとしてました?マジですか?ヴァンパイアって何で思い込みが強い人ばかり居るんですか!
「貴女は?」
「我はミレーヌ……貴様か?ラーウッドを倒したのは?」
「ラーウッド?」
名前を言われても一瞬ピンと来ませんでした。
「リュード殿、あの時貴殿が倒したヴァンパイアだ!」
「……おおっ!」
ナイスルージェ、あの男爵の事でしたか。でももう情報が?
「で、ミレーヌさんがどんなご用件ですか?」
「なにラーウッドを倒した者の実力を確かめたくての……我を楽しませてくれぬか?」
どういうつもりでしょうか?敵討ちに来た訳でもないような……と言って悪意があるようには見えませんし、訳が分かりません。
「リュード様…相手はかなり強いです!」
アリシアもそう言う位ですからね、相当の強さでしょう。ですが、勿論私も油断はしてません。
「どうした?来ないなら我から行くぞ。」
そう言われた刹那、眼前に彼女ミレーヌが!大鎌を振り下ろして来ました!実に速いっ!
私は咄嗟にキュアで大鎌を受け止めてました!目の前に三日月の刃の先がギリギリに……冷や汗ものです。
「ほほう、これを受け止めるか……楽しいな…愉しいぞ!貴様、名は?」
「リュ、リュードだ……。」
「ならばリュードよ、これはどうだ!」
今度は一歩下がった時点で、そこから大鎌を横に凪ぎ払って来ました!次のリアクションがスムーズで絶妙に速いっ!
「おおおっ!」
それに負けじと私も応戦!……。
周りが見守る中、ミレーヌと私のタイマン勝負が始まったのでした……。
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「ようこそ、おいでくださいました。ご案内します、こちらへ。」
そう挨拶を交わしたヒューイ宰相は、バルジオ達を城内へ案内していました。流石侯爵の館、玄関から綺麗な装飾や絨毯で広い!とんでもなく豪華!……やめて……私の造った小屋とは比べないで……滅茶苦茶切ないから。
その宰相の後ろをずっと付いていく2人。
「凄いお屋敷ね、廊下が向こうまで続いてるわ……。」
「うむ、私も何度か来たことはあるが慣れはせんな。」
2人も感心と呆れが混じってました。このお屋敷、どんだけ広くてどんだけ人を雇ってるんでしょうね?
やがて1つの扉の前に着きました。よくよく思えば、ここは屋敷の端の方で更に地下に降りた所にあります。
何故応接室ではないのか……。
「2人をお連れしました。失礼します。」
宰相はノックもせずに扉を開けて中へと進みます。
2人も不安に思いつつも中へと入りました。部屋の中は地下室とは思えない程に立派で、派手さは無いものの厳かな威厳のある雰囲気を醸し出していました。そこはやはり侯爵家と言ったところでしょうね、格が違う……。
「よく来てくれた、久しいなバルジオ。」
微笑みを浮かべて、出迎えてくれたのは勿論ラスマンド侯爵。
「お久し振りに御座います、ラスマンド様…お元気そうで何より……。」
「立ち話もなんだ、こちらに座ってくれ……隣の美しい女性は、バルジオの?」
「サリーナと申しまして、仲間として同行してもらっております。」
「サリーナと申します、お初にお目にかかります。ラザルドの街では武具屋を営んでおります。」
「ほほう、この様な女性が武具屋とは…世間は狭いようでまだまだ広いな…w」
そう言いながら、ソファに座るように促し、対面にそれぞれ腰掛けました。ヒューイ宰相が飲み物をそれぞれに出し、侯爵の座るソファーの後ろに立ち静かに見守ります。
「それで早速の所で悪いが、場所を変えて話をするには訳がある。」
バルジオが話を切り出す前にラスマンド侯爵が切り出しました。バルジオが意図を察したようで、
「分かりました、私共に訊きたいことがあるようですな。」
「うむ、実は我々の所にはほとんどラザルドの情報が入って込ぬ。調べに行かせようとも本家の兵士たちが封鎖していて中に入ることが出来んのだ。残っている村人に聞こうにも、話すなと言う命令だと頑なに喋ろうとせん。そこでお前たちが来訪すると言うので詳しく聞きたいと、本家にバレぬように場所を変えた。このような場所で申し訳ないが教えてもらえないか?」
「そうでしたか……出入り口がそのようになっているとは。我々も知らぬまま、別の場所より出入りしてましたのでこうしてお邪魔している次第ですが……。」
いや、私も驚きです。何故そこまで隠そうとするのか意図が読めません。ヴァンパイア同士が戦ったからなのか……それとも……。
「では、お話しましょう。その上で私共の話も受け入れて頂きたく……。」
「む、それは関係する話と言う事か?」
「その通りに御座いますw」
「フッ、分かった聞こうw」
お互い信頼の上での話と交渉……吉と出るか凶と出るか……この先を決める密会が始まったのです………。
読了ありがとうございます。果たして街の命運は如何に……では。




