政略結婚でしたが愛していた夫から庶民で笑顔がかわいい女性を愛したので離婚してほしいと土下座されました。
「真実の愛する相手にであってしまった今、君との愛のない生活には耐えられない頼むから離婚してくれ」
私は男爵の娘で17のとき同じく男爵の令息であった彼に嫁ぎました。
最初は貴族のなかでも序列が低く縁談がまとまりにくかった私と私の持参金目当ての夫の実家の政略結婚だと思っていましたが彼は優しく私はいつしか彼を愛してしまっていました。素直になれず愛してると言えない日々が1年続きそしてよりにもよって今日、彼に愛した人ができたと告げられたのです。
下町で見かけた笑顔がかわいい花売りの娘で私と同い年だそうです。
私はそれを聞いて絶望に囚われたのです。
新しいテーブルクロスに私が作った手料理をたくさんのせて結婚記念日をお祝いしよう。
今まで愛しているからと言えなかった私を反省して暖かい笑顔で彼を迎えるの。今までも努力はしたけどひきつった笑顔しか向けられなかったが練習したので今日こそはなんて思っていましたが。なのに結婚記念日にこれを言い渡されるなんて。
なんて皮肉な。
「私とあなたはまだ婚姻関係にあります」
「だから離婚を」
「有責による離婚の申し出は受けられませんわ」
もっと早くに素直になれたらよかったのか彼と同じテーブルにつきながらもただ料理人が作った料理を口に運ぶだけで会話すらしない私が悪かったのか。
貴族の娘が食事の席で相手に促されることがなければ口を開くのはだめだと教えられて。
彼が私に話しかけてくれたことなどほぼなかったのです。
愛されてなかったんだと絶望しました。
私が離婚を拒否した日から夫は家に帰ることがなくなりました。
下町で笑顔がかわいい花売り娘とやらと一緒にすんでいるそうです。
妾にすればいいと義母に忠告され腸が煮えくり返りました。
私は彼を連れ戻すべく下町に行きそこで二人を見て……。
「あんな女と結婚したのが間違いだった。にこりともしない、話しかけてもはいとかええとかしか答えない氷のような女だ、君とは大違いだ」
「かわいそうなあなた。私なら幸せにしてあげるのにひどい奥さんね」
歩いてくる二人、路地裏に隠れる私。私の悪口を言い合う二人を見て自分も悪かったのだだから素直になって愛しているから戻ってきてとお願いしようなんて考えていた私が馬鹿すぎて泣けてきたのです。優しさと思っていたのはただの優柔不断だと思い知りました。
笑顔のかわいい娘さんですね。庶民で屈託なく育ったんでしょうね。
ならその方と結婚したいというあなたの望みは永遠にかなえてなんてあげません。
私は多分この時から魔物に成り果てたのかもしれません。
私は夫を訴えました。女からの訴えなど普通は取り上げられません。貴族は妾を囲うのが普通でしたから。
訴えの内容は私の父の遺産を夫に貸したのを返金がないということでです。半年前に父が亡くなり受け取った遺産を夫に渡したのです。
貸してくれといわれたので証文は書きましたがあげたつもりではいました。
所領から入ってくる税金が不作のため予定より入らず困っているというので渡したのです。
分割払いのはずが一度も返金されていないという内容なら訴えはとりあげてもらえました。
証文があるので妻のお金でも返さないと罪になります。
しかし夫は返せないと言います。なら屋敷を担保に借りるようにと命じられました。
彼は再び私に土下座してお願いだから少し待ってくれというのです。私は返金がされるまで離婚はしませんと笑いました。夫の実家の内情も苦しいのは知っておりましたから。
笑顔がかわいい娘さんのところに行かれます?と微笑みかけました。
「有責の場合、慰謝料も貴族の離縁の場合妻側からでも申し立てはできますのよ」
「私が悪かった勘弁してくれリーア」
私はにこにこと笑いました。彼の顔をまっすぐに見て離縁はしませんとまた冷たく言います。
笑顔がかわいい庶民の娘さんの周りで不義の噂をたてて彼女を下町から追いやりました。
家に夫は帰ってきましたがもう私は彼を愛していません。
愛のない結婚。
母はもう家に帰ってくるようにいってくれています。うちは夫の実家よりは裕福でしたから。
私は父の遺産はまだ手元に半分残っているのでこれをとっておいてあと私の得意とする刺繍で生活費を稼ぐことにしました。
真実の愛する相手と結ばれないかわいそうな旦那様、私が一人で生計をたてられるようになったらお望み通り離縁してあげますわ。
私は過去の無邪気な少女だった私と決別し向かいで憂鬱そうに食事をする男を見ながら笑顔を向けたのでありました。心がない相手なら愛想笑いができるようになったのはあなたのお陰よと思いながら。
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