いざシュルエへ
師匠がギルド近くの路肩にイカつい車を停め、こちらにやってくるのが見えた。
「よう、クソ坊主みんなはどうした」
開口一番師匠はそう言った。別に驚くでもなく、怒るでもなく居なかったから事務的に聞いたみたいな感じだった。
「フルメルさんは自宅に戻って遠征の準備を、ユリさんは軽食を買いに行ってます」
「ふん、そうか」
別にそんな事自分に関係無い、興味無いみたいな返事をされた。自分から聞いておいてその態度は無いだろうと思いつつも、師匠はこんな性格だから仕方ないと割り切っている自分がいた。
「遅くなりました、すみません」
そう言いながら、フルメルさんがたくさんの荷物が入ったリュックを重そうにしながら小走りにやってきた。
「フルメル、その荷物、車入れてこい」
師匠にそう言われフルメルさんはまた小走りに車の方へと向かった。
「まったく、ユリのやつまた遅れてんのか」
怒ってるというより、呆れているといった感じで師匠はそう言った。
「そうですね。ユリさん遅いですね」
いつもながらユリさんは遅い。仕事の日も、俺を呼び出した時もいつも遅れてくる。4、5分なら待ってもいいが、30分や、1時間も待ってられない。だが、ユリさんは平気でそれくらい遅刻してくるのだ。いつも、女の子は準備に時間がかかるんです、と言っているが男の俺にはそれが嘘か本当かは分からないが、恐らく本当なのだろう。
なぁんて特に生産性も無い事を考えていると、ユリさんがやってきた。
「ごめーん、また遅れちゃった」
そんな事を言ってはいるが、決して走ることは無い。マイペースというか、他人の事を考えていないというか、とりあえず良くも悪くも自分勝手な人だ。そこが良いのだが。
「まったく、ユリ、オメェはもっと時間に気を付けろって前から言ってんだろが」
「いやー、私もね気を付けようとしてるんだけどさぁー、なんて言うか、この世界が私を待ってるんだよ。だから、私は溢れ出る好奇心と冒険心を止められないんだよ」
この人バカだ。とんでもない程バカだ。根本的に頭のつくりが違う。悪い意味で。
「ユリさん、本気でそんな事言ってるんですか」
「当たり前でしょ!この私のありがたいお言葉をなんだと思ってるのかな」
「今のどこがありがたいんですか」
「うーんとね、あれ、私特に何も言ってない」
「やっと気付きましたか」
そんな他愛の無い会話をしていると荷物を車に積み終えたフルメルさんがまた小走りにやってきた。
「じゅ、準備、終わり、ました」
何故かフルメルさんは、息が上がっている。急いで準備したせいか、それとも単に体力が少ないだけか。真相は闇の中なんてカッコづけて言ってみたもののこれは完全に後者の意見が正しいだろう。
何はともあれこれでやっと、仕事が始められる。
師匠がみんなが集まったのを確認してから、号令をかけた。
「よし、行くぞオメェら」