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悪魔勇者 立志編  作者: 響 翔哉
第1章 依頼
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姉と情報と噂と その2

 姉さんによると、最近、いやもっと前10年程前からちょくちょくドラゴンの目撃情報が上がっていたらしい。だが、最近特にここ2,3ヵ月のうちに何件もの目撃情報が寄せられているらしい。

 確かに、ここはファンタシーの世界だ。魔物や、モンスターなんかが普通にいるような世界だが、ドラゴンは格が違う。

 ドラゴンは魔物や、モンスターの頂点に君臨する生物だ。ただ強いだけでなく、非常に知能が高く比較的人間とも友好的な生物でもある。そんなドラゴンは、自らの身に危険が生じない限り人間を襲ったりしない。

 それもそうだろう、なんでまた好き好んで人間を襲うのだ。ドラゴンからすればメリットなんて何一つもない。人間なんて栄養も無ければ、肉も無くドラゴンからすればまったく美味い食べ物では無いだろう。しかも、人間を襲えば自分が傷つくだけだ。下手すれば死んでしまうかもしれないのだ。知能の高い彼らがそんなバカげたそんな事をするはずがない。

 では、そんな彼らが何故そんなに目撃されているのだろうか?

 考えられるのはなんだろう。

 人ではなく何か他の魔物や、モンスターに襲われた。

 これは一番考えずらいだろう。

 もしくは、魔王のペットがここまでやってきた。

 これは無いだろう。

 はたまた、誰か人間に使役されているのかもしれない。

 これも可能性は低いかもしれない。

 では、何なのだろうか?いや、今これを考えている暇はない。

「フィリア姉さん、他に何か無い?」

「うーん、さっきから言っているけどね、何も特筆して言うべきことがないのよ。ごめんなさいね。」

 フィリア姉さんが言うくらいだからほんとに何も無いんだろう。それにしても弱ったな。どうしようか。

「そう言えば、らぁくんいつ頃会えるのかな?お姉ちゃんずっっっと、待ってるんだよ」

 我が姉ながら、完全にブラコン+ヤンデレという弟からしたら最悪の組み合わせの性格をしている。弟として、毎日合わなくて済むというのに何故か安心してしまっている。もし、今も一緒に住んでいたら自分の貞操の危機なんてレベルでは済まされない事態になっていただろう。

「うーんと、よくわからないかな……じゃ、またね」

 これより先が怖いので、電話を切ることにした。我ながら素晴らしい判断だと思う。

 そんな事はさておき、これからどうしようか。とりあえず、他を当たってみるか。

 ラバルは、そんな事を考えながら電話に付いている連絡先機能で、連絡先を確認してみる。

 幾らたくさんの人達の連絡先を知っているとはいえ、今回の件を聞いて誰が情報をくれるのかしっかり見極めなければいけない。なぜなら、時間が無いからだ。あのバカ姉のせいでめっちゃ時間が取られたからな。

 どうするラバル、どうする俺。一旦深呼吸。吸って、吐いて。

 よし、落ち着いたぞ。これで良し、と。

 とは言ったものの、この場合頼れる人なんていない。となれば、他のアプリで検索してみよう。

 ラバルが次に使ったアプリは、Googleのようななんでも検索できるアプリだった。

 検索欄に『シュルエ』と打ち込む。すると、たちまち検索結果が出てきた。1番上にはシュルエの観光協会のホームページ、その下にシュルエ町のホームページが出てきた。

 ラバルは、町のホームページを開いた。

 ホームページを見ても、これと言った情報は無かったか。じゃあ、どうする。他の記事や、誰かの書いたブログにあるなんてことの無い情報を見つけるか、冒険者仲間に情報を聞くかのどちらかにしなくては。

 ラバルはもう一度連絡先を開いた。次は、父に電話しようと思ったが、よく思い出してみれば今は仕事中だった。母も一緒に仕事しているだろうからこちらも無理だろうと判断し、開いた連絡先をすぐ閉めた。

 どうしよう。万策尽きた。もう何もすることが出来なくなった。

 ラバルはどうしようかと悩んだ末に、両親にメールを送る事にした。こうしておけば、仕事の休憩時や、夜に見てくれるだろう。そう思ってメールを打ったが、よく考えてみると両親にそもそも今から遠征というか、遠出というか、これから仕事で2、3日留守にする事さえ伝えていない事に今更ながら気づいたのだった。

 はぁー、どうしようか。ウチの家族は何故か俺に優しいというか、過保護というか。姉さんだけでなく弟も、両親もだ。俺からしたらいい迷惑だ。14歳にまでなって、なぜ俺はこうまで甘やかされているのだろうか。これは、由々しき問題だ。別に元近衛騎士の父さんに厳しく叱られたいとか、リアル鬼嫁の母さんに雷を落とされたいとか、鬼教官フィリア姉さんに詰られたいとか、優等生の弟に貶されたいとかそういうことではなく、こう、なんというか、もう少し放任主義でもいいのではという事だ。

 まぁ、とにかく結論としては、ほっといてくれた方がいい事もあるという事だ。

 そんな事を考えていると、師匠が装甲車と見間違える程のイカつい車に乗ってやってきた。

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