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悪魔勇者 立志編  作者: 響 翔哉
第1章 依頼
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シュルエと朝と仕事と その2

 ハズキの髪を梳かし終えると、パジャマから普段着に着替えたユリさんが洗面所から出てきた。

「ユリさんも準備が出来たみたいなので、食堂に行きましょうか」

「うむ」

「レッツゴー!」


 1階に降りて三人で食堂へと向かった俺達は、空いている席を手っ取り早く見つけ、食堂の奥、注文カウンターへと向かった。

 食堂は、宿の店と、昨日ユリさんがパンをアホみたいに買ったパン屋と惣菜屋がある。

 食堂の構造は、大学の学食やショッピングモールのフードコートみたいな食べるための席があるところが入口すぐにあって、その奥に店があるという構造だった。

 俺達はこの宿の店に行くことにした。昨日パンを食べたというのもあるが、それよりこの店一番人気のモーニングセットというのが気になったからだ。

 ユリさんも同じようで、モーニングセットに興味津々だった。

 ハズキはというと、とりあえず食べ物にありつけて嬉しいようで、今にもヨダレが口から零れ落ちそうだった。

 俺達は、それぞれ違うセットを頼んだ。

 俺は、卵とハムとレタスのサンドイッチにコーヒー、コーンスープ、サラダのセットを頼んだ。

 ユリさんは、バタートーストにミルクティー、コンソメスープ、サラダのセットを頼んだが、ミルクティーをオレンジジュースに変更していた。

 ハズキは、フレンチトーストみたいなパンにリンゴジュース、ポタージュ、サラダのセットを頼んでいた。

 ユリさん子供かよ。ミルクティーをオレンジジュースに変えるなんて。

 頼んだセットができるまで注文カウンターで待つことにした。

「そう言えばユリさん、今日の仕事の前にハズキの服を買っても良いですかね?」

「時間がって事?」

「はい」

「別にいいんじゃないかな。そんなに時間かからないと思うから」

「ところでそれは買い物がですか。それとも仕事がですか」

「どっちもかな」

「そうですか」

 俺は知っている女子の買い物が長い事を。

 そんな事を話していると俺達の注文した朝食が受取口から出てきた。

 席に向かい歩き始めると、師匠とフルメルさんが食堂に入ってくるのが見えた。

 彼らもラバル達の存在に気付いたようで、ラバル達のところにやってきた。

「よォ」

「おはようございます皆さん。昨日はよく寝られましたか?」

「ええ、まぁ」

「元気いっぱいだよー!」

「うむ。よく寝られたのだ」

「そうですか。それは良かったです」

「そうか。じゃ、行くぞフルメル」

「はい。それじゃあ、また後で」

 そう言うと二人はさっきまで俺達のいた注文カウンターに向かっていった。

「ねぇ、なんでラバルくんさっきリーダーにハズキちゃんの服の事話さなかったの?もしかして忘れてたとか?」

 ユリさんにそう言われてハッとした。

「た、確かに。なんで俺忘れてたんだろう」

「え、ホントに忘れてたの」

「すみません」

「もう、次からは気を付けてよね」

「ぜ、善処します」

「なははは!ラバルが怒られているのだ!なんかうれしいのだ!」

「こらハズキ!人の不幸を笑うんじゃない!」

「む!面白いものを面白いと言って何が悪いのだ!」

「面白いだなんて言ってなかったろうが!嬉しいって言ったろうが!」

「そうだった?」

「そう言ってました!ねぇ、ユリさん」

「えっ!?うーん。嬉しいって言ってたような言って無かったような」

「ユリさんにまで裏切られたー!」

「なははは!ラバルとユリは面白いのだ」


 閑話休題


 俺達は席に着き朝食を取った。

 師匠達の朝食がまだ終わらないようなので、ハズキの服を買いに行くというメールを師匠に送った。

 ついでに姉さんと両親からのメールとメッセージを見た後、返信しておいた。

 俺達は宿を出て、おそらく服屋の有るであろう南地区へと向かった。

「俺、女の子がどんな服を着てるのかよく分からないので、ユリさんお願いしますね」

「え!?ラバルくんお姉さんやラムちゃんロムちゃんの服よく買いに行くんじゃないの!?」

「確かに一緒に行きますけど、それは荷物持ちとしてであって選んでるわけでは……」

「私も使用人が買ってきてるからそんなに詳しくないんだけど……」

「え……!」

「え……?」

 俺とユリさんはお互いに目を合わせて固まった。

 そんな事お構い無しでハズキはぐんぐん進んで行った。

 俺とユリさんは暫く言葉を失い互いを見つめ合った。


 な、なんだと……。俺はてっきりユリさんなら女の子が着るような可愛くてナウい服が分かると踏んでいたんだが、これは勘違いだったようだ。

 よく考えれば分かる事だった。

 ユリさんはお嬢様で、しかも幼少期は劣悪な環境で生活していたんだ、分かるはずも無いというと失礼だが疎いという事は明白だった。


 え、まさかラバルくん私を頼ってくれてたの!?

 でも、私そういう事には疎いからてっきりラバルくんが、そういう事には詳しいけどハズキちゃんと一緒だと恥ずかしいから私も一緒に来て欲しいのかと思ってた。


「だ、大丈夫、ですよね……」

「そ、そうだよね。服なんて着る人が良ければ何でも良いよね」

「あは、あはははは……」

「あははははは……」


 どうする俺!このままじゃユリさんに気を使わせてしまう。考えろ考えろ俺!

 ユリさんが言ったみたいにハズキの選んだ服で良いよな。

 良いですよねー!


 ど、どうしよう。私このままじゃラバルくんに見捨てられちゃう!どうにかしてラバルくんの信頼を取り戻さなくちゃ!

 よし!私の着てる服の感じから何かハズキちゃんにアドバイス出来ることをしよう!

 よし!これで良いはず。

 頑張れ私!


 俺達が一向に歩いてこない事に腹を立てたのか、ハズキが俺達のところにドシンドシンと効果音が付きそうなほどドタ足でやってきた。

「早くするのだ!我の服選びは時間がかかるのだ!」

「早くする理由が酷ぇな。何自分で私は遅いです発言してんだよ。恥ずかしくねぇのか?」

「む!我は事実を言っただけなのだ!」

「そんな悲しい事実を言わなくてもいいだろ」

「ふん!そんな事より」

 ハズキは俺とユリさんの間に割り込み右手を俺、左手をユリさんと手を繋いだ。その様子は若い夫婦とその愛娘と言ったところだろう。

「「え……!?」」

 俺とユリさんは驚いてまた暫く停止した。

「早く行くのだ」

 俺達の手を引いてハズキが歩き出した。

 初めは俺もユリさんもハズキに引っ張られていたが、だんだんこの状況に慣れたのか、俺とユリさんも楽しくなってハズキと一緒に朝の大通りを歩いた。

 俺はいつまでもこれからもずっとこんな光景が続けば良いのになと思った。

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