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悪魔勇者 立志編  作者: 響 翔哉
始まり
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プロローグ

「やっと気ずきよったか」

 うん?聞いたことも無い幼女?の声がどこからか聞こえてきた。

 周りを見てみると、そこには何も無い真っ白な世界が広がっていた。そこに俺は立っていた。

 そこに二人の人物がいた。

 一人は長い黒髪長身の女性。もう一人は10歳くらいの赤い髪をした幼女だった。

「おい、おぬしは妾の声が聞こえんのか」

 少し怒ったような拗ねたような声で、また赤髪の幼女が話しかけてきた。

「あぁ、えーっと、ここは?」

 とりあえず俺は尋ねてみた。

「ふん。まぁ良いじゃろう。ここは、天国の一歩手前と言ったところじゃな」

 は?この幼女は一体何を言っているんだ。

「おぬしはもうとっくに死んでおる。覚えておらんのか?」

「あぁ、全く覚えて無い」

「そうか、仕方ないのう。妾が説明してやるのじゃ。光栄に思うがいい」

「頼む」

 こんな傍若無人な幼女にお願いするなんて嫌だが、仕方ない、背に腹は変えられない。

「まず、おぬしは高校生じゃった。趣味は、読書。そして、アニヲタであった」

 なんか、壮大なファンタジーゲームのオープニングみたいな話し方になってきたぞ。

「そして、ある日の放課後の事だ。おぬしの最初で最後の善行をした時の事」

 最初で最後の善行って俺はそんな酷い奴だったのか?

「学校からの帰り道、交差点にさしかっかた時事件は起こったのだ」

 なんか今度は、サスペンス風のナレーションに変わった。

「右側から猛スピードでトラックがやってきた。普通なら止まらなければいけないのだが、運転手は居眠りをしていた」

 今度は、さながら怪談の様な口調に変わった。

「おぬしは気がついた!トラックが迫る中そこを渡ろうとする女の子を。気がつけば、体が反応していた!そう、その女の子を助けるため道に飛び出したのだ!そして、女の子を突き飛ばし、おぬしは身代わりになった」

 ついつい聞き入ってしまった。でも、あまり実感が無い。

「それ、本当なのか?」

「当たり前じゃ、妾がわざわざ嘘を付くとでも思うておるのか?それより礼はないのか?」

「あ、あぁ。ありがとうな」

 本当でよかったぁ〜。

「うむ、苦しゅう無い」

 めちゃくちゃ嬉しそうだ。なんか、チョロいなと、思ってしまった。

「ところで、君、名前は?」

「妾か、妾は『聖なる炎 フェニックス』じゃ」

「えーっと?」

 どう反応していいか全くわからん。どうする。これはツッコミを入れるところか?それとも流すところか?

「おぬし、さては、信じておらぬな」

 とんでもない殺意の目と圧をかけられた。

「すみませんでした。わたくしめが悪うございました。どうかお許しくださいませ」

「まぁ良い。分かれば良いのじゃ」

 ああ、よかったぁ。にしても、チョロいな。『聖なる炎』改め、チョロ神様なんてどうだろうか。

「ところで、どうして、俺はここに?」

 死んだのなら天国に逝かせてくれてもいいのに。なぜ?

「そうじゃな、そんな英雄的死をしたおぬしを転生させようとしてな」

 は?俺が転生する?ご冗談を。

「冗談では無い」

 目がマジだった。その目から自分の目を逸らすことなく暫く二人で見つめ合った。

「えーっと、御二方ともその辺にしておいて下さい」

 先程まで一言も喋らなかった、長身の女性が俺達の目線を遮るかのように二人の間に割って入った。

「なんじゃ、レインよ。今、折角楽しんでおったのに」

「フェイ、この方に説明することがまだまだあるんですよ。あなたがしてくれるんですか?」

「えーっと、それは、すこーしムリかもしれんな」

「そうですよね。だったら、少し静かにしていてくださいね」

 フェニックスも凄い圧だったが、それ以上の圧を感じた。女の人怖い。

「それでは、気を取り直して。私は『破壊の聖剣 レーヴァテイン』です。よろしくお願いします」

「ああ、こちらこそよろしくお願いします」

 彼女は、俺に握手を求めてきた。恐らくこれは友達になったという事だろう。

 俺は、もちろん握手をした。そうすると、レーヴァテインは少し嬉しそうだった。

「私の事はぜひレインとお呼びください」

「レインだけずるいぞ。妾の事はフェイと呼んでも構わんのだぞ」

「わかった。レイン。フェイ。よろしく」

 二人共とても嬉しそうだった。喜んでくれるならよし。←誰目線だよ!

「おっと、すみません話が逸れました。それでは説明を始めます」

 長かったので説明部分は割愛させて貰うことにする。

 ざっと要約するとこんな感じだ。

 1.魔族と人間が争いを繰り返している。

 2.神や悪魔、名ある龍や精霊、神獣、魔獣といったものの魂が武器となって存在している。

 3.その武器を扱えるのは認められたものだけ。

 4.魔法と科学が密接に関わっている。

 5.対魔王のための都市がある。

 6.俺は、勇者になる。

 うーん、イマイチ分からないが、行ったら分かるとのことだ。

「そうじゃ、最後に重要な事を言い忘れておったのじゃ。おぬしは、当分の間この事を忘れておるじゃろう。じゃが、必ず思い出す。その時妾達がおぬしの前に現われるのじゃ。その時まで待っておれ」

「あぁ、わかった」

「良い返事じゃ」

 レインも、満足そうに頷いていた。

「それでは、新たな人生を楽しむのじゃ」

 その言葉を聞くと俺は、深い眠りに付くかの様に気を失った。

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