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不思議な少女

 舗装もされていない獣道をただひたすら歩く一人の少女がいた。その少女は白銀に輝く髪を腰まで伸ばしている。少女が歩く先には狼や兎、鹿などといった自然の動物達がいた。

 動物達は少女を見て身体をビクッと震わせたが暫くすると恐る恐るといった調子で少女の元へ歩いていく。


「……よしよし」


 少女はその場で屈むと近くにいた狼に手を伸ばしながら優しげな声でそう呟く。狼は暫くその様子をその場で立ち止まり眺めていたが、安全と判断したのだろう。狼は素直に少女の元へ歩み寄ると自身の鼻先を少女の掌に押し付ける。


「ふむ、ヌシは賢いな……。この森を仕切るものとしてしっかりやっておるみたいだ……」


 少女はそう言いながら、奥でこちらの様子を伺っている動物達を眺める。本来食物連鎖上、狼は肉食で今少女の事を奥から眺めている兎や鹿を食す。だが、この狼は兎や鹿を前にしても食べるどころか襲いもしない。


「主、さてはあ奴等を主食としとるな?」


 少女は狼に対して不敵な笑みを浮かべる。狼は舌を出しながらヘッヘッと言っている。


「そうか、奴等の方が上手いかっ。主は大物になるぞっ!!」


 そう言って少女が笑った瞬間、辺りの空気が急激に変わった。少女はその事に気付き顔を引き締める。が、その目は笑っていた。


「どうやら、主の餌が来たみたいじゃな?」


 ――ワオオォォオオォォンッッ!!


 少女の傍にいた狼が雄叫びを上げる。すると奥にいた兎や鹿が森の奥深くへと逃げていく。


「ウム、下の者を逃げさせるのは正しい判断じゃ」


 ――グルルッ。


 少女に褒められて嬉しそうに喉を鳴らす狼。

 その瞬間目の前の空間がぐにゃりと歪む。


「厶、主構えろ……。来よるぞっ!!」


 少女はそう言うが全く構えすら取らない。対する狼はいつでも飛びかかれるように態勢を整える。

 目の前の空間が歪んだ場所から、肌が緑色の人形の生き物が出てくる。が、その口からは牙が剥き出しの状態で耳は横にピンと伸びている。人間よりも身体はでかいが背は成人男性より低めだ。


「ゴブリンか……。わらわの出番ではない。が、これも何かの縁じゃ。主を死なすのは惜しい。なので」


 と口にした瞬間、少女の姿がその場で消えたかと思うと、ゴブリンの真上に現れた。そして拳を握り締めるとゴブリンの頭目掛けてその握り締めた拳を振るう。瞬間ゴブリンの頭部がグチャリと音を立てながら破裂する。そして頭部だけに留まらず、少女の拳はグングンと突き進み地面へとその拳が辿り着く。よって、ゴブリンの身体は少女の拳によって引き裂かれたような状態になった。


「お、やり過ぎてしまったか……」


 少女は冷たい視線を真っ二つになったゴブリンの身体に向けた。そして手に付いたゴブリンの緑色の血液を口元へ寄せるとペロリと舐める。


「う……、やはりゴブリンの血は不味いな」


 少女は苦渋に満ちた表情を浮かべながら言う。だがその目は語っていた。まだ血が足りない。もっと血をよこせと……。

 

 ――キューーン。 


 狼が少女の目を見て恐れを成したのか、か細い鳴き声を上げる。


「大丈夫だ。少なくともこの森に害は与えん。妾が害を成すとすれば」


 少女はそう言いながら、両手を前に掲げるとシュンッと言う音と共に茶色い外套が現れる。そしてそれを頭から羽織ると歩き出しながら言う。


「魔の生き物だけじゃ……」


 そう言いながら不思議な少女は、後ろを振り向く事なく去っていった――。

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