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召喚術師と白聖女 ~転生した殺人カップルは異世界ハネムーンを満喫する~  作者: 結城 からく


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第86話 殺人カップルは対面する

(きっと我々はこのままだろう)


 破壊と再生を繰り返す。

 いつまでやるのか分からないが、不老不死となった現在、終わりはなくなってしまった。


 ひたすら殺して創るしかない。

 その道しか残されておらず、いつか気が狂ってしまうまで変わらないはずだ。


(そもそも既に狂っていたな)


 私は考えを改める。


 我々は史上最悪のサイコキラーだ。

 何百年も殺し続ける狂気の夫婦である。

 世界が滅んでも蘇らせて、無理やり同じことを繰り返してきた。

 人類史には様々な殺人鬼がいたが、我々ほど悪質なコンビも珍しいのではないか。


 それを自覚しつつも、別に治すつもりはない。

 改善の余地があるのなら、七百年も経つ前に変わっている。


(しかし、ここからさらにおかしくなるのだろうか)


 我々はまだ正気だ。

 世間一般の基準では十分に狂っているだろうが、まだ正気に違いない。


 こうして普通に会話できて、理性も働いている。

 世界を再生させる過程で、人類に様々な手助けをすることもあった。

 彼らともそれなりに交流できている。

 だからまだ狂気に浸り切っていないはずだった。


 ただ、正直よく分からない。

 一つ確かなのは、我々がこの疑問を抱くのは数万回目ということだ。

 そして、これからも永遠に続く。


 その時、私の近くが遠くに存在する生命を探知した。

 この七百年で鍛え上げた勘は、接近してくる気配をしっかりと捉えている。


「――少し待ってくれ」


「どうしたの?」


「来客のようだ」


 私が言うと、ジェシカも意識を集中させて、コンマ数秒で同じ方角を見る。

 彼女は難しそうな顔で唸った。


「うーん、誰かしらね。こんな巨大な気配、初めて感じるわ」


「少なくとも私が召喚した存在ではない。元から世界に生息していた個体だろう」


「……そんなことあり得るの? 何百年も世界を滅ぼしているのよ」


「現実を認めるしかない。久々のイレギュラーだ。楽しもうじゃないか」


 私が笑顔で提案すると、ジェシカも嬉しそうにする。

 何やら相手はよく分からない存在だが、不規則な変化は我々が何よりも歓迎すべきものだった。


 家屋から出た我々は数分ほど待つ。

 廃墟を突っ切って一人の少年が現れた。


 腰布だけ巻いた格好で、どこか超然とした雰囲気を持っている。

 何より内包された魔力の底が知れなかった。

 我々を凌駕しかねない勢いである。


(ただの少年……ではないな)


 私は警戒心を強めながらも話しかける。


「やあ、初めまして。君の名前を聞かせてもらえるだろうか」


「――我は、神だ。汝らを罰するために降臨した」


 少年は感情の読めない声音で答える。

 それを聞いた私は手を打って感心した。


「ほう、神か。存在しないものかと思っていたが」


「汝らの目に余る行いを放っておけなくなった」


「それにしては登場が遅いのではないかな?」


「たった七百年程度だ。自滅するまで待つつもりであったが、その兆しが見えないのでな」


「なるほどな。それは反省しなくては」


 私は納得したように頷きながら召喚魔術を行使する。

 頭上から降り注ぐ爆撃が少年に襲いかかった。

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