第83話 殺人カップルは破壊と再生を繰り返す
過去の人間を召喚することで、歪んだ形ながら蘇生する。
それを国という単位でも再現できるのではないか。
途方もない魔力が必要だろうが、きっと私なら可能である。
前々からその可能性に気付いていたものの、実行にまでは至らなかった。
しかし世界の滅亡に焦った私は、ついにその最終手段に手を染めた。
染めてしまったのだ。
まず、最初に滅ぼした帝国を復活させた。
クレーターだらけとなった大地を覆うように都市ができて、そこに暮す人々も出現した。
魔術による遠視でその様子を眺めていたが、まさしく奇跡のようだった。
これを自分でやったのだから、なかなか驚くものがある。
私の召喚魔術は、国家規模の疑似蘇生を当然のように成功させたのだ。
この結果に我々は興奮し、激しく歓喜した。
滅びた世界に命の芽吹きが生じたのであった。
そこから再び殺戮を開始した。
今度は浮遊島を使わず、じっくりと追い詰めていく。
状況が分からず混乱する帝国の人々を蹂躙していった。
そして帝国が再び滅亡の危機に瀕した頃、今度は王国を召喚した。
一国を蘇らせた以上、ここで追加しようと大差ない。
たまには別の国と殺し合いがしたいという考えもあった。
とにかく我々は、殺戮に飢えていたのである。
召喚した王国は、先代の王が生きていた時代だ。
すなわち我々が前世の記憶を取り戻す前にあたる。
国として華々しく繁栄し、周辺諸国の中でも強い立場にあった。
しかし現在の世界は、そもそも周辺諸国という概念が無い。
あると言えば、半壊した帝国くらいだ。
それも復活した後の姿である。
人々の記憶は召喚に選んだ時代で止まっていた。
彼らからすれば、唐突に王国以外の世界が滅んだように思えたに違いない。
そこから我々は少し実験をしてみることにした。
殺戮を少し我慢して、王国を観察し始めた。
異常な状況に放り込まれた彼らがどうするのか気になったし、殺戮の中毒状態を緩和するための休暇でもあった。
とにかく傍観することに決めた。
結果は散々だった。
王国は、神々の怒りによって世界が滅びたのだと解釈した。
唯一国家としての繁栄を目論み、内部分裂が発生してしまった。
様々な派閥が争いながら、国全体が疲弊することになった。
限られた資源を奪って命を浪費し続ける。
見かねた我々が二度目の滅亡を突き付けるまで、王国民は内乱を止めなかった。




