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召喚術師と白聖女 ~転生した殺人カップルは異世界ハネムーンを満喫する~  作者: 結城 からく


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第75話 殺人カップルは衝動を解放する

 傍観を続けているうちに、戦闘機の部隊が壊滅しそうになっている。

 逃げようとした機体が投げ槍で貫かれて墜落した。

 残り僅かの機体が魔王都市へ撤退していく。


 一方で竜騎兵は士気が向上していた。

 勝利を目前にしてハイになっている。

 あとは我々のヘリを落とせば勝利といったところか。

 記念すべき初戦を制するのは大きい。


(――だからこそ、それを彼らに明け渡すつもりははない)


 そろそろ動くべきだろう。

 絶望のどん底に叩き落としてやりたくなってきた。

 我慢の限界である。


 刹那、遠方から投擲された槍が飛来し、風防のガラスを破壊した。

 そのまま後部席の軍人の一人が首を穿たれる。

 ちょうど私に怒ってきた男だった。


「ぐ、ぐぇあっ……!?」


 男が絶命するその間に、ヘリが大きく傾き始めていた。

 槍が機体を大きく損傷させたせいだ。

 コックピットに警告音が鳴り響く。


「やれやれ、また墜落か」


「いつもの展開ね」


「まったくだよ」


 私とジェシカは苦笑気味にぼやくと、回転し始めた機体から脱出した。

 そして、生成された魔術の床に着地して落下を免れる。


 一方、逃げ遅れた二人の軍人は、大地に引き寄せられるヘリと運命を共にした。

 悲鳴は間もなく爆発音に掻き消されて聞こえなくなる。


 何らかの活躍をしてもらおうかと思ったが、その前に戦死してしまった。

 残念ながら運がなかったようだ。


(さすがに不憫だな。後で召喚し直すか)


 実質的に命のストックは無限だ。

 どの時期を選択するかによって記憶が前後するものの、同一人物には違いない。

 すなわち何の支障もないだろう。


 私は軍人の死を脳内で片付けると、召喚したショットガンを構えた。

 ジェシカも既にククリナイフと斧を握っている。

 周囲には三十体ほどの竜騎兵が待機していた。


 最奥に大量の槍を持った男が滞空している。

 二回りほどサイズが大きいドラゴンに跨っていた。

 ヘリを破壊した投げ槍は彼が放ったのだろう。


 男は並々ならぬ気配を漂わせている。

 絶対的な自信と風格は、こちらの殺意を刺激するには十分すぎる要素だった。


(あの男が英雄か)


 私は笑みを堪えながら隣を見る。


 ジェシカは、小刻みに震えて英雄を凝視していた。

 瞬きをしない目は、瞳が限界まで縮小している。

 涎を垂らしながら至福の表情を浮かべていた。

 狂気と殺気が蕩けて混ざり合い、彼女を衝き動かそうとしている。


「ジェシカ」


「……何、かしら」


 少し反応が遅かった。

 獲物のことで夢中になり、意識が遠のいていたらしい。


 私は努めて冷静に提案する。


「競争をしようじゃないか。先にあの英雄を仕留めた方の勝利だ」


「素晴らしいアイデアね。さすが私のダーリンよ」


 ジェシカの震えが大きくなった。

 彼女の踏み締める光の床が、ミシミシと軋みを上げる。

 今にも砕かんばかりの力が込められていた。


 愛する妻の煽情的な姿に、私も殺人鬼の本能が刺激される。

 気付けば大量の爆弾を召喚して、周囲の竜騎兵に叩き付けていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] >実質的に命のストックは無限だ。 >どの時期を選択するかによって記憶が前後するものの、同一人物には違いない。 >すなわち何の支障もないだろう。…
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