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召喚術師と白聖女 ~転生した殺人カップルは異世界ハネムーンを満喫する~  作者: 結城 からく


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第53話 殺人カップルは各国について考察する

(各国の立ち回りも調査しなくてはならないな)


 私は手帳を開いて内容を読み直す。

 そこには通達に関するすべての事項が記録されていた。

 つまり我々の二カ月の成果と、ここ最近の動きについてである。


 最初に訪れた共和国は、混乱で意見がまとまっていない。

 やむを得ず我々の通達を聞き入れた形だが、その後の反応がどうにも鈍かった。

 有力者の間で意見が割れており、議論が遅々としているのが原因である。

 具体的な行動に移るのはまだ先のことだろう。


 スタート地点である王国は再起の真っ最中であった。

 我々が王を始末したことで、その息子がトップとなって舵取りをしている。

 彼は散り散りになりかけた国を束ねようと力を尽くしていた。

 その甲斐もあって、なんとか国家の形式と威厳は保たれている。


 まだ若いというのに大した力量であった。

 元は辺境の貴族で父である王と仲が悪かったそうだが、王位を継承して本領を発揮したらしい。

 我々にどう接触するかは不明であるものの、きっと楽しいことになる。

 有望な人間なので、早まった真似はしないだろう。

 経過観察を怠らずに実施しなければ。


 北の大地を支配する帝国は、国としての機能が麻痺していた。

 首都とその周辺が更地となったせいだ。

 通達の際、あまりに傲慢な態度が目立ったので、見せしめとして近隣一帯を爆撃したのである。

 あれは向こうの責任だろう。

 温厚な我々の神経を逆撫でした方が悪い。


 皇帝を失った帝国領土は、貴族同士による壮絶な争いを繰り広げている。

 誰もがさらなる権力を欲して殺し合っていた。

 結果として摩耗し、我々の話など聞く耳を持たない。

 見事に自滅への一途を辿っていた。


 古い歴史を持つ国であり、近年は無敗を誇っていたのが悪かったのだろう。

 久々の混乱に対処できなかったようだ。


 面倒なので領土全域を吹き飛ばしてもいいが、それはさすがにつまらない。

 崩壊する国が一体どのような形に至るのか気になる。

 もしかすると期待以上の結果になるかもしれない。


 諸々に興味があるので放置しておくことにした。

 現状は国としての機能が停止しているため、どうでもいい国という評価に留まっている。

 その評価を覆してくれることを期待しよう。


「ダーリンは帝国がどうなると思う?」


 手帳を覗き込んできたジェシカが尋ねてくる。

 彼女も興味があるらしい。

 少し考えた末、私は笑顔で答えた。


「分裂して他国に吸収されるか、一部が独立するのではないかな。まあ、良い意味で裏切ってくれるのが一番だが」


 帝国の浮けたダメージは致命傷だ。

 人間で例えるならば、心臓と脳を潰された状態である。

 そこから復活できるはずがないが、奇跡というものは確かに存在する。

 奇跡をたぐり寄せる人間がいるなら、まだ分からないだろう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『ゲームとして』魔王の役割を演じる最凶カップル。 我々の世界のコンピューターゲームにもプレイヤーが悪役を演じるゲーム(※1)が有りますが、 コンピューターの中ではなく物質世界(※2)丸ご…
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