表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚術師と白聖女 ~転生した殺人カップルは異世界ハネムーンを満喫する~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/99

第33話 殺人カップルは魔王に備える

 私は自分の身体を見下ろす。

 あちこちがボロボロで、土と砂埃と血と肉片で汚れ切っていた。

 みっともない姿には違いないが、ひたすら魔物を殺しまくってきたのだ。

 こんな状態にもなってしまうだろう。


 幸いにも大きな傷は負っていない。

 ただし、全身に軋むような痛みと倦怠感があった。

 ジェシカから身体強化の魔術を受けているとは言え、肉体的にかなり無理をしてきた。

 その反動がちょうどやってきているのだ。


 ここからでも負荷を抑え込んで戦うことも可能だが、辺りに散乱するのは死体ばかりだ。

 敵性的な存在は残っていない。

 しばらくは身体を休めることもできそうだ。


 私は息を吐いて死体に腰かける。

 すると向こうからジェシカがやってきた。

 彼女の持つカタナソードは途中で折れている。

 ピアノ線などは大量の血を吸って太くなって見えた。


「ダーリン、大丈夫?」


「ああ、平気だとも。君こそ怪我はないかい」


「問題ないわ。魔術で全部治しちゃった。やっぱり便利ね」


「それは良かった」


 ジェシカが晴れやかな顔で言う。

 思う存分に殺し尽くしたことで満足したのだろう。

 ただし、さすがのジェシカも疲労が見え隠れしている。

 快楽が誤魔化しているが、心身の疲れは蓄積していた。


 異世界に転生したことで、我々は凄まじい力を獲得したものの、本質的にはただの人間に過ぎない。

 過度な無理は禁物だろう。


「ここで少し休もうか」


「そうね。魔王と戦う前に回復しておきたいわ。向こうも消耗しているだろうけど」


 ジェシカは皮肉を込めた口調で述べる。


 この三日間の戦いで、何度か魔王からの介入があった。

 彼方から禁呪の連打が飛んできたのだ。


 あのような術を放てるのは魔王しかいない。

 自らの配下を囮に我々を始末しようとしたらしい。

 なんとも冷酷だが合理的な戦略だ。


 こちらはジェシカの魔術で防御した。

 ただし、乱戦の最中なので対処も疎かになり、撒き散らされた瘴気については放置していた。


 代わりに彼女は再生の魔術を常に発動した。

 瘴気に蝕まれる肉体を強制的にベストコンディションで固定することで対応したのである。

 私にも同じ術を施してもらって瘴気の被害を減らした。

 そうして気が付けば攻撃も止んでいた。


 かなりの数の禁呪が打ち込まれたが、現在は静かなものだ。

 さすがの魔王も疲労しているのではないか。

 現在は魔力回復に注力しているのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ