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召喚術師と白聖女 ~転生した殺人カップルは異世界ハネムーンを満喫する~  作者: 結城 からく


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第26話 殺人カップルは魔王領に赴く

 我々は旅客機でひたすら移動。

 途中で燃料補給を挟みながらも、ほとんど寄り道をせずに進み続けた。


 その間、魔王からの攻撃は無い。

 だから退屈だったかと言えば、そうでもなかった。

 様々な国の軍隊や魔物が襲撃してきたのである。

 無断で国境を越えたり、縄張りに侵入したせいだろう。


 そういった輩を我々は暇潰しに殲滅していった。

 飛行の魔術で迫る兵士達を撃ち落として、ナパーム弾で焼き払う。

 鳥やワイバーン系統の魔物は、マシンガンやロケットランチャーで粉砕した。

 或いは刃物を持ったジェシカが空中で解体する。


 せっかく出迎えてくれたのだ。

 それに見合った態度で応じるのがマナーだろう。


 能力を試す良い機会にもなった。

 記憶は存在しているものの、我々がこの世界で目覚めて日が浅い。

 獲得した能力についても、まだ検証できていない部分があった。


 何をどれだけできるのかは知っておくべきだろう。

 それに魔術を使うほどに力が馴染んでくる感覚がある。

 しっかりと扱いに習熟しておいた方が得に違いない。


 ただし、魔王から監視されていることも忘れない。

 見られたくない能力に関しては、使用を自重しておいた。

 いくつかの策は本番でいきなり試すことになるが、人生とはそういうものである。

 これくらいのギャンブルで勝てなければ、大人しく死を選ぶべきだ。


 そうして空の旅を続けること二週間。

 腐臭の漂う沼地を抜けた先に、荒涼とした大地が見えてきた。

 赤紫色の地表がどこまでも続いている。

 たまに枯れ木や池があるものの、およそ文明的な痕跡は見られない。


 魔族の支配地に到着したのだ。

 詳しい場所は不明だが、ここからさらに進めばいずれ魔王城が見えてくるはずだった。


 私は自動操縦を解除して、機体の高度を落としながら嘆く。


「それにしても寂しい土地だな。魔王は環境保全に無頓着らしい」


「きっとセンスが無いのね」


「ハハハ、違いない」


 私有地にはその者の趣味嗜好や性格が表れる。

 このような土地を持つ魔王は、さぞつまらない性質なのだろう。

 強大な能力を持つモンスターで冷酷さも備えているらしいが、美的感覚が欠如している。


「魔王にどんな攻撃を仕掛けるか決めたかい」


「ええ、候補は絞ったわ。ダーリンはどうなの?」


「まだ迷っているな。せっかくの大物だからね」


 雑談で盛り上がっていると、遥か前方の地上に変化が生じた。

 不毛な大地が広がる中、そこだけが色鮮やかだった。

 ちょうど隆起した大地で死角となっていた地点である。


 遠くからでも分かるのだから、かなりの広範囲だろう。

 正体を見極めるために目を凝らす。

 そこに整列するのは、数十万にも及ぶであろう魔物の集団だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >せっかく出迎えてくれたのだ。 >それに見合った態度で応じるのがマナーだろう。 ……う、うん、そうだね! (最凶カップルの進路に沿って造られた屍山血河から目を逸らしつつ) [一言] 続き…
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