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召喚術師と白聖女 ~転生した殺人カップルは異世界ハネムーンを満喫する~  作者: 結城 からく


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第20話 殺人カップルは魔族と戦う

「な……ッ!?」


 魔族は驚愕し、膝をついて倒れた。

 残る片腕が紫色に発光し、私に向けて何かを放射しようとする。


(魔術か)


 素早く判断した私は、地面を転がりながら回避した。

 リボルバーを消した代わりにショットガンを持ち、腕がこちらに向き切る前に発砲する。


 魔族の手が爆散し、肉が抉れて弾け飛んだ。

 骨が破片となって割れるのが見えた。

 暴発した紫色の光は上空へ放たれて、誰にも当たらず遥か彼方で弾ける。


 私が発射したのはスラッグ弾だ。

 弾は散らばらず、一つの大きな弾となっている。

 故に威力は抜群だった。

 魔族の腕を破壊することなど実に容易い。


「こっちも忘れないで」


 魔族の背中にジェシカが落下した。

 彼女は剣を突き立てて、円を描くように動かす。

 心臓を抉ったらしい。


「ゥヌウッ」


 魔族が唸って吐血する。

 剣を刺された背中が白煙を上げていた。

 肉が蒸発しているのだ。


 ジェシカの握る剣は白く発光している。

 彼女の魔術が付与されており、聖なる力が魔族を焼いているのだろう。

 聖女と呼ばれていた彼女は、それに相応しい能力を持っている。

 落ちこぼれだったノドルと違って、聖女レアナはエリートだった。


 倒れたままの魔族だが、腕の断面は肉が盛り上がって新たな腕が生えようとしていた。

 ものの数秒で小さな指まで出来上がっている。


(再生能力か)


 魔族は背中に乗るジェシカを振り払うと、治りかけの足で立ち上がろうとした。


 そこに私はスラッグ弾を連射し、魔族の胴体に穴を開ける。

 強烈な銃撃が次々と炸裂して彼の動きを阻害した。

 再生するのなら、それ以上のスピードで破壊してやるまでである。


「人間ごときがアアァッ!」


 魔族が私に突進しようとするも、その両脚が斜めに切断された。

 足下を滑るように横切ったジェシカの仕業である。


 転倒した魔族が両手を伸ばしてきたので、私に触れる前にスラッグ弾で粉砕した。

 魔術はまたしても見当違いの方向へ炸裂する。

 無関係な家屋に命中したが、もちろん私の責任ではない。


「そろそろ諦めたまえ」


 私は魔族の顔面にショットガンを突き付けて、スラッグ弾で吹き飛ばそうとする。

 しかし、少し考えてから銃口を下ろした。


 倒れたままの魔族は憎々しげに見上げてくる。


「情けでも、かける気か……?」


「とんでもない。むしろその逆さ」


 私は朗らかに答えつつ、ジェシカに合図をした。

 一瞬でその意味を理解したジェシカは、嬉々として剣を魔族の背中に突き刺す。

 柄までしっかりと沈め込んで固定した。


 私は似たような剣を召喚しては、ジェシカに投げ渡していく。

 受け取ったジェシカは、それらに聖魔術を付与すると、魔族の四肢に突き刺して地面に縫い止めていった。

 そうして出来上がったのは、身動きの取れなくなった魔族だ。


 我々は魔族を見下ろす。

 こちらを睨む瞳は怒りと恐怖を孕んでいた。

 後者がだんだんと強まっていく。


「良い顔だ。記念写真を撮っておこう」


「それは名案ね。ちょうど新しい服だし」


 気分の乗った我々は、服屋の店員を呼び出して写真撮影を行った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第20話到達、おめでとうございます! ……この最凶カップルにかかれば、ゴディ何とかというこの魔族もまるで釣りか狩りの後の成果写真のネタwww ……作中描写を見る限り、単体で小国の1つや…
[良い点] さすがは稀代の召喚術師と聖女様 魔王軍の魔族を臆することなく倒してしまうとは! [気になる点] この世界カメラあるの? まあ、なかったとしても召喚すればいいだけか
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