第13話 殺人カップルは出迎えに感謝する
広間に繋がる扉を開けると、前方に並ぶ兵士達がクロスボウによる一斉射撃を行ってきた。
空を切る音と共に幾本もの矢が飛来する。
大抵が壁に当たって突き立つだけだろうが、一部が我々に命中する軌道だった。
「ふむ」
私は二挺のリボルバーによる連射を披露した。
計十二発の弾が矢を粉砕し、飛び散った破片がさらに別の矢を押し退けて軌道をずらす。
結果、我々に当たる矢は一本もなかった。
一斉射撃に失敗した兵士達は、ぎょっとした顔でクロスボウの再装填を急いでいる。
私は両手のリボルバーを回転させながら苦笑する。
「危ないな。もう少しで額から矢が生えるところだった」
「そんなこと言って、実は余裕だったんでしょ」
「否定はしないな」
目を閉じていても同じことが可能だったろう。
もし私が動かなかったとしても、ジェシカが剣で防御していたに違いない。
つまりクロスボウの射撃など無に等しいわけである。
銃撃すら防げるのだから当然だろう。
私はリボルバーをそれぞれ真上に放り投げた。
その間にサブマシンガンを召喚し、薙ぎ払うように乱射する。
即座に前方のクロスボウ部隊を残らず撃ち殺した。
サブマシンガンを消滅させると同時に、落下してきたリボルバーをキャッチする。
「もし怪我をしても私が癒してあげるわ。治療用の魔術も覚えているの」
「ほう、それは頼もしい。いざという時は頼らせてもらうよ」
私は愛する妻にウインクし、リボルバーを回しながら広間を進んでいく。
その後も我々は城内に残る兵士を殺戮していった。
地上階までに遭遇した者を片っ端から始末する。
兵士達にも意地があったのだろう。
様々な兵器や魔術で抵抗してきたが、こちらの歩みを食い止めるほどの力は無かった。
我々はただ圧倒的な暴力を以て捻じ伏せていく。
グレネードランチャーで入口の門を爆破した私は、晴れやかな気分で外に踏み出した。
待ち伏せしていた兵士を撃ち殺そうとした瞬間、ジェシカの斬撃が彼らの首を切断する。
回転する生首が芝生を転がり、血の噴水が辺りを真っ赤に染め上げていく。
私は銃を下ろして称賛した。
「さすがだね。見事な剣捌きだった」
「ダーリンも素敵だったわよ。また惚れ直しちゃいそう」
「何度でも惚れてほしいな」
「まあ。ダーリンったら」
返り血塗れのジェシカが抱き付いてくる。
銃を消した私は、血で染まった手で彼女の頭を撫でた。
やはり愛とは素晴らしい。
彼女といるとそれを実感させられる。
こうして我々は王城を後にしたのであった。