番外編 がんばれ! 新人君!-2-
さぁて、次のお仕事は、また配達か。
おっと、ダメダメ。配達も立派なお仕事。
えっと、これをどこに届けるんだ?
え? 役所?
依頼人は、ヴァソスさん、四十五歳。宛名は、カズホ……
カズホ先輩だ! 嬉しい! これは嬉しいお仕事だぞ!
まさか仕事中の僕を、カズホ先輩に見てもらえるなんて!
よぉし、これは張り切らなくっちゃ。
役所が見えてきた。
いつ見ても、立派だなぁ……いつかこんな大きな家に、両親と住みたい。それまで頑張るんだ、僕!
それにしても、こんな立派な役所にまで頼りにされているなんて……やっぱりカズホ先輩はすごい人だ!
僕もいつか必ず、先輩の横で、いや、先輩を守れるほど強くなります!
よし、着いた。
カズホ先輩がいる所はどこかなぁ?
あ、あそこの受付の女性に訊いてみよう。
「あの、すみません」
「はい。いかがされました?」
「えっ、えっと、カズホ先輩、いますか?」
「あっ、カズホは今席を外していますが、どのようご用件でしょうか?」
「これを届けたくて……」
「あら、これは先日いらした旅のお方から。かしこりました、こちらでお預かりし、必ずカズホにお渡ししますね」
「えっ、あ……ああ、はい、お願いします」
「はい、承りました。ご足労ありがとうございます」
随分丁寧な接客になったなぁ……前はこんなんじゃなかったんだけど……
それに、カズホ先輩がいなかった。
会いたかったなぁ。
ちょっとでもいいから……




