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第三話 超絶イケメンダンディ父さんからの手紙

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

 フィーネの話はとても衝撃的なものが多かった。


 そもそも、日本人が異世界に召喚された根本的な理由。

 それは、種族間の代理戦争。

 世界の支配者を巡り、より豊かな生活を求め、何千年と続く戦国時代に国同士は終止符を打つことに決めたそうだ。

 手っ取り早く、互いに物資や金をかけずに戦いを終わらせる方法こそが代理戦争だった。


「貴方は異世界に行ったことが無いので分からないと思いますが、異世界には魔法と呼ばれるものがあり、それを使うには魔力というものが必要です」


 魔法とは、この世界の科学に変わるものらしく、生活に欠かせないものらしい。

 そして同時に、戦いにおいても欠かせないものらしく、この世界で言う銃火器のような役割を果たしており、長距離や中距離から攻撃ができる。だが、日本人は生まれながら魔力を持たない。なので、戦いはよりシンプルに、近接戦闘が主になり、通常の戦争よりも決着が早いらしい。


「それに、異国の人に情なんてありません。装備も最低限。食事なんて与えなくても召喚すればいいって考えですから。闘技場が昔から愛されているように、ニホンジンの殺し合いに多大な金が動きます。私的には全く意味が分かりませんけどね~…それが嫌でこっちに来たってのもありますし」

「じゃあ皆はもう助からないのか?」

「そんなことは無いと思います。戦争に決着が付けばニホンジンは邪魔者になるだけですから。今は魔法によって奴隷として縛られているから帰れないだけで帰ろうと思えば帰れます」


 召喚魔法によって異世界に召喚された日本人は、転移であれ、転生であれ、一つの『外門』を通って異世界に現れるらしく、現れたと同時に奴隷として魔法で契約を結ばれ、自由を奪われる。

 その『外門』を通れば日本にはいつでも帰って来れるらしいが、奴隷の契約があるため不可能。少なくとも戦争が終わるまでは日本人が日本の地を再び踏むことは無いそうだ。


「じゃあ助けに行くことはできないのか?」

「《飛竜》を素手で倒せるなら出来るんじゃないですか?言っておきますけど、ニホンの状況はよく知ってます。極一部を除いて平和ボケした人々の集まり。頭はいいが、戦闘技術に関しては皆無。半魔と言えど、そんな環境で育った貴方には無理ですよね?」

「空飛ぶ戦車に素手で勝つなんて誰だって無理だろ。異世界にはそんなことが出来る奴がいるっていうのかよ」

「いますよ、それも沢山。沢山と言っても、百や千なんて単位じゃありませんからね?そんな連中が本気でドンパチしたら死者も増えるし、環境も破壊されます。これも、お金以外で代理戦争が行われる理由の一つです」

「まじかよ…」


 日本どころか、世界にも戦車を素手で倒す漫画みたいなファンタジーびっくり超人なんて存在しないだろう。この状況が十分ファンタジーなので、探せば一人くらい、いそうな気もするが…。


「代理戦争については、ニホンジンが異世界に召喚される理由。次に、貴方の出生についてですね。ニホンジンをこちらに召喚するにあたって、当然ニホンの情勢や、生体について知る必要があります。そこで各国はそれぞれ一名ずつ信頼にあたる優秀な調査員を派遣しました。それが『エリート』と呼ばれる最初の派遣調査員です。これがこちらの暦で今から二十年前の話です」

「さっき言ってた奴か」

「はい。そして『エリート』に帰還命令が出たのが今から十五年前、おそらくこの五年間の間に貴方の父親と、『エリート』の誰かが恋に落ち、貴方が産まれた。魔力無しと、魔力持ちが交わった時、生まれるのが『半魔』…貴方です。こういう事例は向こうでも多くはありませんが起きています。まあ、産まれた子は忌み子として扱われますけど」

「だからさっき世界出とか訳の分からないことを言ってたんだな」


 実感は湧かないが、フィーネの言うことは本当なのだろう。

 そもそも母親の顔の記憶も無く、名前も知らない俺にとって母親が日本人であろうと、異世界人であろうと、関係の無い話だ。

 俺の家族は父さんだけ。これを知ったところで幼い頃から何も変わらない。


「そこでさっき私が食いついたこれ、魔法言語が記された多くの文献に話は戻ります。おそらく貴方の父親は、『エリート』である母親から色々聞いていたのでしょう。召喚は魔力の有無で決めますから、貴方が召喚されないことも、代理戦争のこと、魔法のことも色々と」

「父さんは知ってたのか…」

「おそらくこれは、貴方のためのものだと思います。探せば魔法の使い方や、この世界のことに付いて色々書いたものが見つかると思います」

「でも父さんは何で俺にそれを直接言わなかったんだ?早く言っておけば、皆を助けられたかもしれないのに」

「それは分かりません。ですが、親心ってやつだと思いますよ」


 フィーネの言った通り、紙の山をどけて色々と探してみると『息子へ』と俺宛に書いた手紙と、魔法についての基礎から応用までをまとめた紙束が見つかった。


「息子へ…お前がこの手紙を読んでいるということは俺が異世界へ召喚され、その後に自称超絶可愛い美少女エルフと名乗るちょっと残念な女の子と出会った頃だろう。その子とは今すぐ縁を切りなさい…」

「待ってください。この状況でボケとかいりませんから、絶対そんなこと書いてませんよね?」

「チッ…息子へ、お前がこの手紙を読んでいるということは俺が異世界へ召喚されたということだろう。…長いな。端的に読むか…本棚の上から三段目の本は中身を見ずに処分するように…オッサンがいい歳してハッスルするんじゃねぇよ…それと、まあ大体はフィーネに聞いた話ばっかだな」

「こっちからしたら五歳児でも知ってる一般常識ですけど、日本人にとっては重大な話ですからね」


 俺は、父さんの残した手紙に、もう一度視線を落とす。


 『息子へ お前がこの手紙を読んでいるということは俺が異世界へ召喚され、その後に自称超絶可愛い美少女エルフと名乗るちょっと残念な女の子と出会った頃だろう。その子とは今すぐ縁を切りなさい。

 そして、その子から色々聞いたと思うが、それは紛うことなき真実だ。受け入れ難いと思うが、本当の事だ。

 お前は、こちらの世界に来ようとすると思うがやめておけ。もし、何か日本のためにしたいと思うのなら、決して日本から出るな。それと、日本に住み着いた魔物たちを少しでもいいから減らしておいてくれ。それが今、一番大切で重要な事だ。

 最後に、そのエルフとは縁を絶対に切れ。お前は後悔することになる。だが、どうしてもその子と一緒にいたいというのであれば、この森の《飛竜》を倒せるくらい力を付け、愛知に迎え。そこにお前の生まれ育った家がある。地図は二枚目に載せておく。もし、父さんの言う通り、縁を切るのであれば、この森に残り、魔法を勉強しろ。

 愛する息子よ、俺に遠慮することは無い。自分の選びたい道を行け。

 P.S.本棚の上から三番目の本は中身を見ずに処分するように。

 超絶イケメンダンディ父さんより。』


 フィーネには何かがある。そもそも、ここにいる事自体がおかしいんだ。


「どうかしました?」

「いや、何でもない。フィーネは魔法が使えるんだよな?」

「もちろん、私に出来ない事はありません!」

「後方伸身宙返り四回ひねり」

「ごめんなさい、できないこともあります」

「それで、悪いけど俺に魔法を教えてくれないか?」

「まあいいですけど、なんのために?」

「父さんの手紙に《飛竜》倒せるくらい強くなって、愛知に迎えって書いてあったからさ。当面はそれを目標に生きていこうかと」

「アイチ…というのは分かりませんが、分かりました。はっ!なに自然な流れで美少女と二人屋根の下生活を送ろうとしているんですか!」

「あぁ、大丈夫。お前は外だ」

「うわーん!私にも屋根くださいよー!!この人でなし!」

「俺は半魔らしいから、人では無いな」

「すーぐ、覚えたての言葉をすぐに使いたがる。これだからニホンジンは駄目なんです」


(父さん、俺はもうちょっとフィーネと一緒にいることにするよ。一人きりで寂しいってのもあるけど、楽しいんだ。)


「なに笑ってるんですか、まさか私の体を吟味していたんですね」 

「貧乳、ペチャパイ、洗濯板、ペったんぺったんこ、スマートフォン、ベルリンの壁、俺の方が胸あるんじゃね?、まな板、ロードレーサーが喜ぶ胸、これが匠のかんな掛け、床と一体化」

「半分くらい意味が分かりませんけど、すごく貶されているのは理解しました」

「理解が早くて助かる。とりあえず、飯にでもするか」

「おいこら、壁を見ながら笑顔で私を誘わないでください、私はこっちです」

「これが魔法か…」

「「ぷっ……アッハッハッハッハッ!!!」」


 二人同時に吹き出し、腹を抱えて笑う俺とフィーネ。

 フィーネが何か隠しているのかは分からないし、問い詰める気もない。後悔すると言っても、この状況自体が夢みたいなものだ。今更何が起きても驚くことは無いだろう。

 今は、美少女エルフと共に今を満喫しようじゃないか…。

説明回ですね。ごめんなさい。

まだ色々と最初に話しておきたい設定が残っているので、会話の中に交えつつ、書いていきたいと思います。

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