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第四歩「注文の多さに応えるステータス画面」

 マジかー。超マジかー。浮かんでんね、私のステータス。

いや、確かに思ったよ? 忠実に私の中二病ことシステムは応えたよ。

別にシステムちゃん悪くない。私が求めて、システムが与えた。

しっかり、書いてある。宙空に浮かぶウィンドウに文字の羅列がびっしりと。

載りきらない部分はスクロールバーまで付いてるよ、ご親切に。

うん、これで状況把握しろって喉元に突き付けたね。


「……(まじかー-!)」


 私は膝に手をついて大きなため息とともに現実への逃避の想いを吐き出す。

背を丸め、水面を眺めつつもやっぱり、自分のサイズに違和感を感じている。

地面までの距離が遠いし、石がとっても小さく見える。

よし、ちょっと気合入れ直すか。私は両拳を握り、天を仰ぐ。


「……(うぉぉぉぉしょなこんんにゃろぉぉやぁあああああっ!?)」


 おぅ、解ったよ。つまり、今はなんつーか私がコレなんだね。

どういう世界とか理屈とか解かんないけど、コレなんだね!?

これで、生きろと。これでお前、今生なんとかせいと。

ありのーままのー私がコレだと! ……誰だよ、マジで。


【名前が入力されておりません】


 ああ、まぁーそうだね。うん、出来たら本名つーか生前の名前?とか入れたいけど

忘れちゃったしね。まぁ、仕方ないね。いや、そもそも死んだのかなー。

あー、まぁそれ考えても仕方ないか。簡単に元に戻れる訳ないだろうし。


 取り敢えず、私は近くに転がる大きめの岩に腰掛け、足元を川で冷やしながらも

改めて私のステータス画面とやらを見る。なんというか手抜きに見えるというか

意味不明な箇所が多すぎる。勿論、言葉のニュアンスで大凡の予想はつくものもある。

えーと? んあっ! 指先で合わせると選択できるっぽく光るね。


「……(まず、種族から見てみよう。はち、しゃく、さま? 八尺様?)」


 これをちょん、ちょんっと。お! 凄いヘルプ機能? なんか説明文が出たよ。

ええと、どれどれと私は新たに開いた小さい窓の文章を読み上げさせる。

枠の右下にいかにもなスピーカーマークを突っつくとシステムの声が

私の頭に響いてきてくれた。うん、なんか便利だ。


【〘八尺様はっしゃくさま〙 Level1 [怪異][女性]

女型の怪異の一種。近年に伝承され詳細が定かでない。

文明の発展度が低い田舎に現れる八尺(2m40cm)はあるかと思われる女性。

未成年の男性を誘惑するなどの言い伝えがある】


 ふむふむ、えーとなんだ。ただのでかい女の人?

未成年の男性って事は要するに少年を好むショタコンって奴なのかな?

う、なんか記憶はないが心当たりが無いでも無い気がする。

いや、これはこの種族になったから特性が感性に干渉している……と思いたい。

そして、私が別の所を指先で触れようとすると何やら南京錠っぽいマークが出る。


【この情報は現在、開放条件を満たしておりません】


 ぁー、これはアレか。一度に情報開示し過ぎて混乱しないようにってのと

今の私の体には適応されてないって事なのかな?

なんだろうか、こう無駄とはいうがなんか凄い丁寧な仕事というか

そういう気遣いもありがたいけど、情報って多い方が……ねぇ?

って、この場合、私はコンテニューとか出来ないだろうから

実はそうだったのかくやし~!ってのは無さそうね。うん、そう考えよう。

今、解る事を取り敢えず飲み込んで全力で動こうか。


「……(まぁ、さて他に見れる情報はっと?)」


 取り敢えず、〘伝承スキル発現〙と〘怪異スキル発現〙ってのは見れる。

これは基本的な技とかなのかな? オオカミさんにも撃ってたって事だよね?


【〘伝承スキル発現〙LevelMAX [怪異][パッシブ]

 伝承に伝えられた特徴及び逸話をスキル化したモノの総称。

 種族的に可能な行動や動作、存在や逸話を形成するに当たって

必要とされる能力等を付与する為に発現される】


うーんっと、つまりアレか。例えば、空飛べる種族とかだったりが翼があっても

飛び方が解かんないってのだと駄目だからスキルで飛べるって事にするのね。

なんかオートマチックなノリ? 私の場合は気配消したり、音消して近づけるって

逸話とかがあるから、まぁーそれで持っててもおかしくないよと。

さてさて、〘怪異スキル発現〙ってのはどんなんでしょ?


【〘怪異スキル発現〙LevelMAX [怪異][パッシブ]

 他の存在がスキル保有者に対し、恐怖を感じた際に発現したスキルの総称。

 種族の特徴に縛られず、相手が感じた恐怖や悪い予測に対して効果を発現する】


 ぁー、これは怖がったり、悪いイメージを感じるとそれが現実になるのか。

……うわ、軽くあるだけで凶器だね。つか、なんかホラーっぽい設定だから

基本的に誰かを怖がらせたりするのが前提なのかな?

オオカミさんと睨んでる間にこれも出てきたと。で、その〘畏怖の眼差し〙は?


【〘畏怖の眼差し〙Level2[怪異][状態異常]

   対象に恐怖を与える視線を送り、恐怖状態にする。

New知能が高い生物ほど恐怖のイメージが想像し易く効果が高くなる。

   また、相手が自分を未識別の状態の際は更に効果を与えやすくなる】


 お、これはアレか。Newって書いてあるのはレベルが上がると細かく説明が

開放されるってシステムなのかな? あ、となるとさっきの諸々の設定は

まだまだ、Levelが低かったから簡単な説明で済まされているのかもね。

使い続けたり、美味しい所で使えばLevelが上がるって感じだろうか。


 うー、となるとアレか。私はいろんな動物さんを睨み付けて

Level上げないといけないのか。いや、そんな昔の不良じゃないんだからさ。

もっと[平和]的なスキルとか無いのかなー。仲良くなったり、敵避け出来たり。


【[平和]タグに属するスキルを所有する称号及びスキルを取得していません】


……何? タグ? 属性的なのはあるのか。称号があってスキルが付随する?

まぁ、称号枠とかあるし、そーいう事か?

うーん。なんかゲームのトロフィー獲得じゃないけど、行動の逐一で

色々と評価されたり、スキル取ったりする訳で……ぁー、やり込もうと思うと

幾らでも色々できるけど、私そこまで突き詰めるゲーマーじゃなかった気がする。


「……(つっても多分、これら駆使しないと私、ヘタしたら退治されるよね)」


 うー、まぁ人生頑張るのが肝要。黙って落ち込んでいても

このサバイバーな状況がなんとかなる訳でもなし。

やることは一杯多分あるだろうね。ほら、宿無し文無しだし?


 ま、最後に気になっていた部分があるから其処だけ見て色々とやってみよう。

なんだろう、この《CONFIG》って?

隣にあるのは《CLOSE》。これは画面を閉じるから、やっぱあの《CONFIG》だよね?

ゲームとかで色々と設定とか細かい部分を調節する奴?

なんか無駄に色々と凝り性なシステムさんっぽいから

これもやっぱ手が込んでいるのかな-? 

ま、試しにちょっと見てみましょっと。ポチっとな!


―その数時間後、私はその選択をした事に後悔と狂喜を感じるのであった。


                第五歩「お好きな声優を設定して下さい」に続く


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