第五話 自覚がないっていうのはどうかと思う
あぁ…そんな…シルバーウィークが終わっちまう…。
火を吐くコトがー、デキルよぅにぃー、
ナッタヨぉ!
そんな感じになった俺は、また探索を続けた。途中でまた何個か木の実(太いバナナみたい。あ、下ネタじゃないヨ?)をポーチに入れ、しばらくすると、森を抜けた。すると平原に出た。おお、めっちゃ広いなこの平原。なんか鹿みたいなのがいるなー。
などと思っていると、
おおお!?あれは!
人間の街じゃぁ!
距離的には4kmほどあるように見える。見た感じでは周りはでかい壁に囲まれてるようだ。まぁ、そりゃそうだろうな。これだけ猛獣のいる場所で壁のない方がおかしい。遠目では大きさがよくわかんないし、近づいて見てみたい。とりあえず、行ってみるか!
街までは都合よく道が伸びていた。と言っても、現代の道路のように舗装されているわけではなく、土がむき出しになり、少し固くなっている程度のものだ。
まぁそれでも、森の中よりは走りやすいが。
あ、ちなみに言い忘れていたが、オオカミになってからは体の基礎能力が、人間の時に比べると大幅に上がっとります。視力も上がり、聴力もばっちし。五感は基本的に強くなってる。もちろん身体能力もあがり、めっちゃ早く走れる。しかも持久力もある!下手したら自転車より早いか?いや、原付よりも早いな!
しばらくすると、向こうから道にそって馬車のようなものが向かってきているのが見えた。おお、あの馬……馬だな。普通に。
しかし、馬車なんて初めて見るなぁー。何が乗ってるんだろう?見た感じ商人かな?
何て思ってるうちに、少し違和感を感じた。
ん?なんか商人っぽいひとが焦ってるな。
(※主人公はオオカミです)
どうしたんだべ?なんか引き返そうとしてんのかな?
(※主人公は全力で馬車に向かって行ってます)
ああ忘れ物か!いや違うな。あの焦り方は。
(※くどいようですが、主人公はオオカミです)
そうか!わかったぞ!あの商人は………
(※重ねて言いますが、主人公は……)
ションベンしたいんだぁ!!
(※オ・オ・カ・ミです!)
なんて言ってるうちに、もう馬車の目の前まできてしまった。うん、これは馬だな。
馬車は珍しいが、今は街に行く事に集中しよう。というわけで、スルー。
したいところだったのだが、涙声で商人の声が聞こえてきて、俺は気付いた。
「あぁ……!もうダメだ…!あの狼に食われちまう……………!」
あ………俺、オオカミだったな…。
作者「お、おまえ…。」
護郎「な、なんだよ!」