第二話 うさぎって案外攻めるのね
微妙ォーにグロいかもしれません。まぁ、ある程度のひとには全然だとは思いますが。
森の中で俺はまず、食料を確保する事にした。腹減ったからね。狙い目としてはまず、転生した直後にちらっと見た、あのうさちゃんだろう。
ただ、正直言って狩りをする事ができるのか自信がない。だって俺、元々人間よ?加工済みの食物を店で買ってきて、整った設備の中で調理した料理を食べてたわけですよ?つまり、サバイバルには絶対向いていないもやし野郎なんですわ。腹減った。
しかし俺は今、狼的な感じの動物になっている。ケモノである。本能的な何かなのかは知らないが、なんとなーく狩りの仕方がわかる…ような気がする。腹減った。
まぁとにかく、やってみますか!腹減ったわ!
うさちゃんを探して移動してると、この体がなかなかすごい事に気付いた。
まず、歩くときにほとんど音が出ない。つまり、息を止めてそーっと歩けばほぼ完全に気配が消せるのだ。これはきっと、狩りをする上でかなり大きなアドバンテージになるはずだ。アイアム 忍。ジャパニーズ ニンジャ だ!まぁ、今はオオカミだけど。
そして、次にすごいのがこの爪だ。獲物を殺す時の素振りとして、試しにそこらへんの木を引っ掻いてみたんよ。そしたらね、ほとんど抵抗なくスッと切れたんだ!主婦の喜びそうな切れ味だよ!
さらに凄いのが、その収納性!指を動かすような感覚で自由に出し入れができます!また、収納をする際、自毛がしっかりと爪についた汚れをキャッチ!これは素晴らしい!それに何と言っても無料!ただ!もともと体に付いてますからね!しかし、大きさを選べないのがネックですが、それにしてもこの値段は安い。なんせ、タダですからね!
どうです?そこの奥さん!この機会にぜひ購入してみてはいかがてしょうか?
なんて言っているうちに、ウサギを見つけた。
なんというか、うん。俺の知ってるうさぎとはやっぱり違うなー。最初に見たときにも思ったけど、牙でかくね?遠目でもわかるぜ?そこにあるってのが。むしろ本体より存在感あるんじゃないか?
まぁとにかく、飯を見つける事はできた。あとはそれを確保する事ができるかどうかだ。くそう、ハラヘッター。我慢しろ俺。飯はもうすぐそこだ。それでは…
狩りスタート。
今うさぎがいる場所は少し開けた場所だ。少し光がさしている。近くにしげみがあるので、そこに隠れる。うさぎの数は三匹。できる事なら全員狩っておきたいところだが、二兎追うものはなんとやらと言うしなぁー。二兎でそれなんだから、3兎狩るのは流石に無理か。まぁ、いけたら狩るけど。
まずは1番手前側のあいつに集中しよう。
息を殺し、感覚を研ぎ澄ませる。姿勢を低くし、後ろ脚を上げ、右足にやや力を込める。
そして、うさぎがこちらに背を向けたその時………
しなやかに俺は、飛び出した。
「ギギィィッ!?」
しまった!?気づかれたか!?しかしもうおそい。俺は目標に向かって前足を振り抜いた。
「ギギャァァァぁっ!?」
よし、木で試した通りの鋭さだ。俺の放った一撃は、ウサギを簡単に切り裂いた。
ボトボトと臓物を撒き散らしながら、俺が攻撃したうさぎは絶命した。おお、我ながらなかなかの威力。ってうおおおぉぉ!?
「ギチチチッ!」 「ギギィィィぃッ!」
なかまの悲鳴を聞いて、俺の存在に気付いた他の二匹が同時に俺に飛びかかってきた。一匹殺せば他の奴らは驚いて逃げると思っていた俺にとって、この行動は予想外だった。
だがしかし、俺はそれに反応できた。
「ガァッ!!」
俺は一声叫ぶと、飛びかかってきた2匹を爪で切り裂いた。ちょうど横に並んでいたので、右手の一振りで二匹に当たった。
飛びかかってきた勢いが殺されず、切り裂かれたそのうさぎたちは、血や体液を振り撒きながら俺のやや後方に落ちた。
やったぜぇい!成功じゃぁ!初のハンティング!ウェイ!
いやぁ、まさか残りのうさぎが来るとは思わなかった。うさぎって臆病なイメージがあるから、すぐ逃げると思ったんだけどなー。予想外にアグレッシブなうさぎで少しとまどっちゃった。まぁそのおかげで、肉を3つ手に入れる事ができたんですけれども!はい!
結果的には大成功!クエストクリア!!ふはははは!!この俺にとってこんな事、もはやヌルゲーだよ!最初にやってたゲームは無理ゲーだがな!とにかくご飯!やったぁぁ!飯っ!肉っ!!うへへへへへ!
あっ、ちょっと待て。
俺、生肉食えるのか…?
うさぎのユッケって見た事ない。