十七話 現実逃避ってしてるやつが危ない
なんか、ポ○モンバトルみたいになったかも。
フィルと別れたその後、俺とルーペはしっかりと地に足をつけて洞穴へと向かった。晩飯になる木の実などをとりつつ、ルーペが突然聞いてきた。
「そういえば、ゴローさんってどこで生まれたんです?」
「えっ、聞きたい?」
「だから聞いたのですが。」
うん、いつかは聞かれるとは思っていた質問だ。バカ正直に異世界の地球からきましたとか言ったらただのイタイ人、いや狼になってしまう。
「ここからめっさ遠いところだぜ。」
「へぇー、この森育ちではないんですね。」
「羨ましいだろ。」
「私も別の生まれですけどね。」
「あっそうか…。」
よし、まぁなんとか誤魔化せたかな。あ、そうだ。
「お前、狩りとかできる?」
「未経験なのです。」
「このニートめ。」
こいつが俺の家に居候する上で、働いてもらわなくてはいけない。その中で狩りというのは食料確保の中でも大きなウエイトがかかる。と、いうわけで、
「ひと狩り行こうぜ!」
「えぇぇー・・・。」
「あ、でも一旦住処に帰ってからな。」
「わかりましたよ…。」
かなりノリノリなルーペだ。よっぽど働きたかったのだろう。いいことだ。
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あれからしばらく歩き、やっとこさ家が見えた。とりあえずポーチに入っている木の実などの荷物を置いてから、ルーペによる初めてのハンティングにいきたいと思う。
「よしよし、やっと着いたわ。疲れたわ。」
「はやく寝床に行きたいものです。」
「いや、働けよ。」
なんて会話をし、洞穴に入ろうと向かった瞬間。
「っ!?」
中から人間が出てきた。
「・・・・・。」
誰もなにも言わず、少しも動かず、なんかすごく静かになった。
(やばいやばいやばい…!めっちゃ堂々と見つかった!え、なにこれ。なんで俺の家から出てくるんだよ!無理ゲーかよ!)
パッと見たところ、見た目は冒険者のような感じだ。腰に剣を下げ、革っぽい鎧みたいなのを着込んでいる。あれか、レザーアーマー的な?RPGでよくあるやつね。そして、見た感じ若い女性のようだ。そいつは口を開けて、足を震わせている。
(うん、かなり警戒されてる、ていうか怖がられてるなこれ。)
それはそうだ、洞穴から出てみたら目の前にオオカミとドラゴンがいるんだもの。俺だったらちびるわ。
とにかく、敵対心はないことをアピールせねば。
「なぁ(ry「どぅえいっ!?」
安心させるために声をかけようとした、変な掛け声とともに剣を構えられた。いや、まてまてまて。
「すこしおちつ(ry「わぁぁぁぁ!」ちょっ、危ない危ない!!!」
少し落ち着けと言おうとしたら、いきなり切りかかってきた。やべぇ!モノホンの剣だ!て、そうじゃない。
「 ルーペ!!こいつを無力化するぞ!!ただし殺すな!!」
「わかりました!」
「あぁぁぁぁっ!!」
相手は完全にパニクっている。こんなにはっきりと言葉を話しているで話の通じる狼だと気づきそうなものだが、いかんせんパニクっている。さっきから叫び声の間にたまに「幻聴が聞こえる!!幻聴が聞こえる!!」とか言っちゃってる。やだこわい。
てことで、無力化してそれから話をきていてもらうことにした。まずはあの剣をどうにかしないとね。
切り掛かってきた相手の剣を、俺は爪で横薙ぎに受け流す。そこからまた相手は切り掛かってくるが、また同様に受け流す。相手は混乱しているため、止めようとするばかりか攻撃を通そうと躍起になっている。そこで、ルーペに指示をだす。
「よし、ルーペ!俺が剣を弾いたらこいつにのしかかれ!」
「了解しました!」
また幻聴が幻聴がとか言ってる相手は無視し、俺はタイミングを狙って相手の剣を受け流す。と、そこで俺はいきなり相手に吠える。
「ガァァァっ!!」
「ひっ!?」
突然のことに相手はすこし体を止めた。そこを狙い、俺は剣を思い切り横に弾いた。
「あぁっ!剣がっ!」
からのー、
「今だ!ルーペ!」
「失礼します。」
ドシッといった感じて相手の背中にルーベが乗りかかった。呻きながら、相手は地面にうつ伏せになった。
「よし、オーケー!おつかれっしたー!」
「お疲れ様です。それで、この方はどうするんですか?」
ルーペに乗っかられているそいつはうーうー言いながら苦しそうにしている。まだ幻聴がー、などとぬかしてはいるが。
「ふふふ、これからどうしてやろうか…!」
「なにをするつもりですか、この人に。」
「よし、とりあえず…」
俺はそいつに近づき、背を向けると…
「?、ゴローさん?」
バブォオオオオオ!!!!!!!
そいつの顔前で、バースト(おなら)した。
作者「汚ねぇなぁおい!」
護郎「大丈夫、俺のは澄んでるから。」