第十三話 オオカミがコップを使うのって難しいと思う
「もっとこうしたほうがいい」とか、
「こういう表現はわかりづれぇわ!」とか、
「肉じゃがは一旦冷やすといいぞ」などのアドバイスなどがありましたら、感想欄などの場所に書いていただけると助かります。
「ようこそ!僕の家へ!」
「ほぉーん、中は以外と綺麗なんだなー。」
「そこらへんで用を足せないですね。」
「ちょっと待って。お花は外で摘んでね?ここ僕の家だから。」
フィルという人物がこんなやつだから、いったいどんな家かと思ったが、割と普通だった。中はドーム状になっていて、周りに棚などがおいてある。中央には割と大きめなテーブルがあり、周りには椅子もある。
あ、よく見たらこれ中華テーブルじゃん。昔、回しまくってたら餃子が吹っ飛んで、俺も親に吹き飛ばされたっけ。懐かしいのぅ。
「まぁ、とりあえず座ってよ。話はそれからだね。」
「そうだな。よっこいせっと。」
おれはオオカミなので、椅子の上に乗っかる形で、
「よいしょっ、と。」
ルーペもやっぱり乗っかる形で座った。
「あ、そうだ。お茶でも出すよ。人間のだから口に合うかどうかわからないけど。」
「そこそこの温度でな。あと、できれば食べ物も。。」
「私も。肉が食べたいです。」
「うん、もう少し遠慮っていうのがあると思うんだ、僕。」
入り口とは別のドアに入り、それから数分後、お茶と、しっかりなにかの肉を持ってきた。
「ほら、お茶と肉だよ。1人ひとつだよ。」
「なんだ、フィルも食べるんだ。」
「小腹が空いたからね。」
「すみません、これってなんの肉ですか?」
「あぁ、これはチキチキという鳥の肉だね。主に家畜として飼われていて、人の街中じゃよく見るよ。」
「へぇ、イタダキマス。もぐもぐ、あっ美味しいですね。」
「ちゃんと焼いて塩をふってあるからね。」
「生を覚悟してたから嬉しいなこれは。」
「あ、そうか。君たち生肉食べれるもんね。わざわざ焼かなきゃよかった。今度からは手抜きでいいかな。」
「そういうのって客がいる前で言う言葉じゃないと思うんだけど。」
「焼いた方が美味しいので、今度からも焼いてくださいよ。」
「あ、また来て食べる前提なんだ。」
うん、しかしこの肉はうまい。味的にはチキンなんだけど、地球のチキンと違って肉自体に結構脂がのっている。デブ直行だわ。
「とりあえず、食べながら聞きたい事質問するけど。」
「いいよ、なんでも聞いてくれ。」
さっそく一つ目。
「この世界はどんな大陸とかがあるんだ?」
「うん、そうだね。大陸はまず2つある。一つは僕たちのいる『セルドラ大陸』大きさ的にはここの方がでかい。人間と獣人の分布が多くて、魔物もF〜Bランクのものをよく見かける。ただ、君たちのように高ランクの魔物が出る事も少なからずある。まぁ、割と平和な大陸だと思ってくれ。そして、二つ目が『グライドロ大陸』という。魔族と言われるものたちが住んでいて、出てくる魔物も高ランクなものばかりだ。魔族というのは基本的に戦闘能力が高いから、こういった魔物にも対処できる。また、人間の冒険者が出稼ぎに行く事も多いけど、魔物の危険性と環境の過酷さから行けるのはBランク以上のベテランだけなんだ。つまり、セルドラが下位で、グライドロが上位、といった感じかな。まぁ、あくまで冒険者基準だけど。
それで、大陸はここまでなんだけど…」
「うん?他に島とかあるんかいな?」
「島自体はたくさんあるさ。しかし、その中に一つ、絶対に立ち入り禁止の島があるんだ。」
「それはいったいどういう事ですか?」
「うん、それは出てくる魔物のランクがバカみたいなんだ。出てくる魔物は最低でもAランク。AランクというのはSランクの冒険者が3人以上いて初めて倒す事のできるレベルの強さなんだ。もちろん冒険者の個人差、魔物の個体差もあるけど、それでも災害級の魔物がゴブリンのようにいるらしい。」
「そこだけ集中しているのか?」
「うん。原因は全くの謎だけど、生態系がインフレを起こしているんだ。一般人なら生存率は0%。S級冒険者でも四人以上、そしてなおかつ3時間以上の滞在は許されない。」
「一応冒険者は行けるんだな。」
「でも、ほとんど中には入り込まないで、浅いところで比較的弱めの魔物を狩るぐらいさ。それでも、年に20人以上は死んでるけど。」
「なにその無理ゲー。」
「しかし、ごく稀にそんな地獄のような場所の最奥までいって、無事に帰ってくる冒険者がいるらしい。彼らは国からS級の更に上、SSSランクという最強の証をもらっているんだ。」
「もう人間止めてるんじゃないの、それ。」
「人間をやめるくらいの事をしてるからこそそこまで強いんだと思うよ。」
なるほどねー。もしそんなのに狙われたら絶対死ぬわ。大人しく、慎ましく生きていこう。
「いやしかし、大陸の話からそれてしまったね。まぁ、だいたいこんな感じだよ。」
「オーケイ、ありがとう。」
そして二つ目……といきたいところだが。
「ルーペ寝てんじゃんよ。」
うつ伏せになり、時節「グルルルル…。」と唸りながら寝ているルーペの姿がそこにあった。
「…どうしようか?」
「とりあえず、ルーペは置いといていいか。一応掛け布団的なのをかけてあげてくれないか?」
「わかったよ。ゴローって意外と優しいんだねぇ。」
「寝てる奴にはそうしとけっと教わったからのぅ。」
棚から取り出した掛け布団のようなものをルーペにかけ、フィルは言った。
「このまま二つ目の質問をするかい?」
「うーん、いや待って。まずはチキチキ追加で。」
「当たり前のように注文したね。はいはい、持ってくるよ。」
そうして、フィルはドアを開けておそらくキッチンがあるであろう場所に向かった。
そういうおれは、飲み忘れていたお茶を飲んだ。
「あ、緑茶。なかなかのもので。」
その後ゲップをし、軽く火が出てボヤを起こしかけたのは余談である。
作者「ヒロインはルーペかなぁ…(ボソッ」
護郎「えっ?美少女との出会いは?ハーレムは?」
フィル「まずゴロー、君オオカミだから。」