第十話 落ち着きすぎってのもなんか逆にあれだけど
グットモーニング。おはよう、いい朝?
目が覚めました。あ、そうだ。最初に目覚めた時は忘れてたけど、あのセリフを言わなくては!
「知らない天井だ。」
いやまぁ、実際ここで寝泊まりするのは二回目だし、仰向けじゃないから天井見てないんだけど。まぁ、言いたかった。
しかし、初めて今念話を使ったけど、普通に喋るのと全然変わんないな。口を動かさないのに声がでるかんじ?不思議だ。
それはさておき、まずは体をのびーっと伸ばして、ウーーン、あーっ、よし。ストレッチ終わり。
あ、そうだ。俺の桃源郷で寝てたあいつはどうなった?割と普通に寝てたけど。
昨日マイホームで見つけたドラゴンの事を思い出し、栄光の地の方を見てみると、そこには……
皮だけになったドラゴンらしきものがあった。
「ほごぉっ!?なんだ!?これは!?」
驚きのあまり、つい念話で叫んでしまった。いやだって、なにこれ?中身だけなくなった感じよ?ちょっと気持ち悪い。
「それは脱皮した皮ですよ。」
「うはぁっはぁ!びっくりしたァ!」
また念話で叫んびながら、後ろを振り返ると、そこには昨日のドラゴンがいた。
「え?おまえ…念話?」
「?ネンワ、というのはわかりませんが、言葉を話す事はできます。」
「え、いやちょっと待って。えー…と、え?いやいや、待て待て。とりあえず、えっと?えぇ?あ、あれだ。一旦座ろう。」
少し動揺しすぎたので、俺は一旦座る事を提案する。すると向こうは、
「あ、はい。そうしましょう。」
乗ってきた。よし、オーケイ。落ち着ける。
という事で、テーブルに見立てた比較的平らな感じの岩を挟んで、座った。さて、まずはこれを始めなくては。
「うん、とにかく色々聞きたい事はあるんだけどぉー。」
「はい。」
「朝飯にしよう。話は食いながらね。」
「朝ごはんは大事です。」
そういうわけで、朝ごはんだ。
おれは早速、昨日の残りである肉とナウバの実を取り出し、テーブルに並べる。
「この木の実は5個ある。ちょうど分けるにはどうしたらいい?」
「半分に切りましょう。」
「わかってんじゃないの。」
「フルーツはオーケーとして、メインの肉を焼かなければ。外で焼いてくるわ。」
「私も近くで見てます。」
「そういう趣味?」
「なんでですか。」
そういうわけで、外で肉を焼く。
枝もまだ残っていたので、それに火をつけ、また同じく串に肉をさして、焼く!っと。
「火が吐けるんですね。」
「かっこいいだろ。」
「割と。」
「どうも。」
そんな会話をしながら、肉を焼いていた。
一通り焼けたのを確認すると、それを中に持って行ってテーブルの前に座り、フルーツ同様並べる。
「さて、食いますか。」
「はい。」
「いただきます。」
「?、その掛け声はいったい?」
「ん?あぁー、まぁ食事の前の挨拶みたいな感じだわ。」
「なるほど、では私も。イタダキマス。」
「お、いいねぇ。」
ムシャムシャと食いながら、気になっている事を聞いてみる。
「なんでここに居たん?そしてボロボロになっていたのは?」
「魔物に襲われてしまいまして。私、見ての通りドラゴンなのですが、モグモグ、私の種族は独り立ちがムシャムシャ、早い竜種でして、つい先日独り立ちをパクパク、して旅をしていたところを襲われムシャモグ、たわけです。比較的弱い敵だったのでしたが、数が多かっバクバク、たため、あそこまでの弱ってしまったのです。フラフラとさまよってモシャモシャ、いるところで、この洞穴を見つけて入ったわけです。」
「うん、まずは飲み込んでから話してくれ。そして話せるのはなんで?」
「はい?いや、ドラゴンのような種族は基本的にみな話せますよ?基本的に高い知性を持っているので。」
「あ、なんか常識のように言われた。」
「ジョウシキですよ。」
「おまえ、常識って言葉知らないだろ。」
「して、お前の名前は?」
「ルペロ・ド・マルェデです。」
「長いわ。ルーペでいい?」
「気に入りました。」
「やったぜ。」
その後も幾つか質問をし、朝食も食べ終わった。
「うん、なるほど。一通りの事情はわかった。そして、食事も一通り終わった。というわけで、」
「イタダキマス。」
「いや、ちげぇよ。」
「え?食事の挨拶なのでは?」
「それは食事前!」
「では、食後は?」
「いい質問ですな。」
「それほどでも。」
「食後はごちそうさまだ。おれはごちそーさんって言ってるけどね。」
「では、私はゴッソさんで。」
「なんでやねん。」
「いいじゃないですか。」
「まぁいいか。」
「それでは…」
「ごちそーさん。」
「ゴッソさん。」
食事が終わって、とりあえず一つ言える事は…
こいつ、ふつうに馴染んでやがる…!
この二体の会話は独特の雰囲気があります。なんていうか、ボケ役が2人いて逆にツッコミ役になったみたいな。
あ、もう既によくわかんない。