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プロローグ テンプレートは突然に

恋愛要素がほぼ無い気もします。

気楽にお読みください。

「リアリーゼ・メイベル。貴女との婚約を今この時をもって破棄する!」


 声高に宣言する第3王子ルイス・ルーメリウス。

 その隣でオロオロとしている風な少女メイサ・シーゼル。

 2人の背後に陣取る数人の男女。誰もが名家の御子息御令嬢達だ。


 ――ついにこの時がやってきたのね。


 準備には10年を費やした。


 前世の記憶を思い出したのは父に連れられて訪れた王宮。婚約者だという人物に初めて会った日。

率直に感じた「キラキラしてマンガの王子様みたい。ん? マンガ?」という思いをきっかけに自分が転生者だと気付いた。


 それからが大変だった。


 この世界は剣と魔法のファンタージーな世界だった。

 ドラゴンがいて魔物がいて精霊がいる。

 文明レベルは中世並み。移動は徒歩か馬、極々一部の上流階級には飛竜という自家用ジェット的な高級移動手段を持つ者もいるが、基本的には隣町まで数日。なんていう世界だ。


 我が家は王国一の名門公爵家、超やり手だったらしい曽祖父が有用な鉱脈地帯を隣国から切り取ったり、無人島を港として整備して海洋交易の拠点に作り変えたりと大活躍したおかげで、現在では王家も頭の上がらない感じらしい(ただしちゃんと臣下の礼を尽くしている)。

 そんな家の末娘として生まれた私は超よ花よと大事に育てられてきた。


 そんな状態にマンガ、ゲーム、小説等、様々な記憶からある疑念が生まれた。


「私、悪役令嬢じゃね?」


 生まれは公爵家。婚約者は王子様。我侭で高飛車で他人を見下し自分が一番でなければ気に食わない性悪。まだ子供だからと微笑ましくも見られていたが、このまま大きくなれば……。

 おう、テンプレ!

 きっとその内ヒロイン様がやって来て何もかも奪っていく。嫉妬に駆られ陰湿ないじめを繰り返し、最後にバッサリやられるのね。


 冗談じゃない!


 何とか回避しなければ。そう考えた私だったが、問題があった。

 この世界の事を何も知らない。悪役令嬢逆転物はよく読んだジャンルだけど、大抵のパターンは前世でやりこんだゲームの世界とかで、物語の流れや登場人物を知っているが故の逆転劇。

 でも、私はこんな話を知らない。リアリーゼ・メイベルという名前にもルイス・ルーメリウスというキラキラ王子にも覚えがない。

 初見で回避プレイとか、難易度イージーでもなければ無理じゃん?


 そんな訳で私にできる事は、思いつく限りの回避策を張っていくだけ。

 ①ヒロイン様イジメない。イジメ良くない。カッコ悪い。

 ②婚約破棄万歳。嫉妬しません。欲しがりません。

 ③最悪に備え1人でも生きていけるだけの知識と技術を身につける。


 特に大事なのが③。何をどう頑張ろうが物語の補正力的な物で無駄に終わる可能性もある。そうなった場合に備える事が重用だ。

 なにせ私には物語通りなのか否かを判断する事ができないのだから。



 そんな決意から早10年。知識教養、礼儀作法のみならず、いざという時の為に剣と魔法の習得に明け暮れ迎えた学院生活。

 穏やかに、目立たず過ごそうと心がけていたのに、「公爵家のゴリ押しで生徒自治会の役員になった」「気に入らない生徒を退学に追いやっている」等の全く身に覚えのない悪い噂が聞こえてくる。

 これが物語り補正というものか。


 上等! 10年かけて磨き上げた私の力を見せてあげるわ。


 そう意気込んで過ごした2年。

 ついにこの日がやって来た。


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