出会い
僕は君のことが好きだ。
そう思った時には、もう遅かった…
君に出会った時、僕は働いている会社で上司にこき使われて、もうやめてやろうと思ってた時だった。
ある日、仲の良い友人に嫌々連れて行かれた合コンで君は浮かない顔をして座っていた。
「僕と同じ気持ちなのかな…」
僕は合コンなんて興味もなかったし、女の人と関係を持つ気もなかった。だからこそ、浮かない顔をしていた君に話しかけれたのかもしれない。
「はじめまして。」
僕から声をかけるなんて珍しい。なぜか君には僕から声をかけれた、不思議な気持ちだった。
「は、はじめまして…」
少しおどけて、まるで子犬のような小さな返事だった。
僕は勘違いしていた。そして、気がついた。君は浮かない顔をしていたんじゃない。ただ、人見知りなだけだったのだ。
僕は少し戸惑った。浮かない顔ではなく、人見知りで顔を見せれなかった、恥ずかしくてどんな表情見せればいいのかわからない顔だったのだ。
「あっ、えっと…あの…名前はなんて言うの?」
どういう会話を切り出せばいいか分からなくなり、とりあえず名前を聞くことにした。
「絆奈…」
きずな。これが君の名前だった。苗字は聞かなかった。初めは、名前だけでいいだろうと思ったからだ。
「あなたの…名前は…?」
「僕の名前は、凛斗。」
僕も名前だけしか教えなかった。これから君とどんなことが起こるか考えてもいなかったからだ。
その日、僕と君は名前を知り、高校時代の話を少しして合コンは終わった。帰り際に、絆奈の連絡先、LINEを聞いた。絆奈は、恥ずかしがりながら教えてくれた。正直、可愛かった。夜中、家について母におやすみとひとこと言い自分の部屋へ戻った。ベットに寝転がり携帯を見ると絆奈からLINEが来ていた。
「今日は話しかけてくれてありがとうございました。凛斗くんの予定が空いてれば、またお話ししたいです。」
また絆奈と会う機会が出来るなんて考えてもなかった。僕はすぐ返信した。
「ぜひ!絆奈さんの予定が空いてれば、またお話ししたいです!」
こんな僕、僕じゃない。女の子に積極的なのは、僕じゃない。でも、たまには冒険してみるのもいいだろう。そう思った。
高校時代には、一応彼女がいた。
僕の事を愛してくれてた。
でも、その愛は重すぎた。
その時の僕には恋愛なんてわからず。
その子に引っ張られるだけだった。
それっきり女の子に関わるのはこりごりだった。
そんな僕にとって絆奈は人生の機転なのかもしれない。そう考えるようにした。
「絆奈さんなんて、絆奈でいいですよ?それと、次お話し出来る日は来週の土曜日とかどうかな?」
一気に距離が縮まった。
びっくりした、いきなり呼び捨てさせてくれるなんて。あんなに人見知りをして子犬のようだった絆奈が呼び捨てさせてくれるなんて。その辺は、僕自身の経験が足りないだけかもしれないけど…。それでもびっくりした。
「じゃ、僕も凛斗くんじゃなくて、凛斗でいいよ!うん、大丈夫。空いてるよ!」
どんどん話が進む。恋愛ドラマみたいだ。こんなに話が進むなんて思ってもいなかった。
「それじゃ、また来週。今日はお疲れ様。おやすみなさい。」
僕は予定が決まったので、そこからは既読をつけて返信はしなかった。疲れたのかわからないが、そのまま眠りについてしまった。
今でも、明確に鮮明に覚えてる。絆奈と出会ったあの日のことを。
次の日…